ここでは、ラテン語、ギリシャ語、フランス語から英語に入ってきたことばの複数形を掲げている。 せっかくなので、英語の枠を離れ、それぞれのことばの複数形を整理してみよう。 なお、ドイツ語(ゲルマン語)起源の変化形は省いた。これはすでに英語と同化しているのでここでは扱わない。
まず a 幹の名詞は、末尾が a から ae になる。例:alumna → alumnae
ラテン語起源が意識される場合には上記変化になるようだ。 例:antenna
は、昆虫などの触角の意味では antennae 、電波を受けるアンテナの意味では
antennas となる。
もちろん、アンテナの語源は触角である。だから、「アンテナが触角のように見える」は「クレーンが鶴のように見える」と同じく<牛の牛肉>である。
アンテナ・クレーンの例は阿部筲人「俳句-四合目からの出発」にある。
クレーンの例は上記本にはなかった。すみません。(2025-04-28)
次に o 幹の名詞がある。これは -us 、-er、-um の3種類に分けられる。
-er 型の単語はラテン語の「本」である。-er 型で上記の変化をする単語は現代英語にはないようだ。
-um 型の単語は英語では「誤植」→「正誤表」の対である。英語では単数形はほとんど用いられない。
子音幹と i 幹は合わせて第三変化名詞と呼ばれることがある。ここは厄介なので省略する。
u 幹はほとんど男性名詞である。
ラテン語では攻撃という意味だが、現代英語では起動力という意味になっている。 ラテン語では、単数での短い u が複数で長い u になるという変化がある。 一方、英語での複数形は -es となる。
e 幹は数少ない例外を除けば女性名詞である。
顔という意味の faciēs の主格は単複同形である。このような変化も現代英語にはないと思われる。
英語ではそれぞれ criterion, criteria が対応する。
英語ではそれぞれ analysis, analyses が対応する。
この単語は性が女性(f)、単数属格がἀναλύσεως 、また第三変化であることがわかっている。 そのため複数形はἀνάλυσεις となる。
plateau (高原)はフランス語では複数形で plateaux とつづる。英語では、plateaux、plateaus どちらもあるが、発音はどちらも「ぷらとーず」である。 ちなみに、私がこのことばを知ったのはスポーツの分野で、練習していてもなかなか上達しない段階を指すと習った記憶がある。
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