初心者にありがちな俳句の欠陥をこれでもかというほどに暴く書。目次は下記にある。
『俳句――四合目からの出発』(阿部筲人 講談社学術文庫 1984//1967)(contents-memo.hatenablog.com)
本書の p.292 から引用する。この前の節では、俗語の用い方について警鐘を鳴らしていて、今回は外国語の濫用を戒めている。なお、引用に当たってはフリガナを省略した。
外国語は俗語以上に、俳句を俳句らしさから遠ざけます。(中略)
藁屋に「アンテナ」触角のごと春を待つ
昼は孤独な社宅アンテナの触角のび
実は私は誰かこんな事をやらんかしらと考えていました。前句は著名な俳人、後句は尖鋭な俳誌の同人欄にありました。 アンテナは、動物学で触角そのものの意、それを無電工学に利用しただけです。言葉をおうむのように用いるから、こんなことになりました。比喩になりません。
夕映に波うつ大地「メーデー日」
これもやりそうな事でした。(後略)
「メーデー日」はわかりやすい。メーデーは May Day だから、日を付けるのは重複しているということなのだろう。なお「無電工学」の「無電」とは、無線電信や無線電話、無線伝送の意味。 現在ならば「無線工学」というところだ。
本書の表紙(表カバー)には、姓名の名「筲人」の最初の文字の竹冠の下が「肖」のようになっている。 つまり、中棒の脇の左右が下に向かって「ソ」のように閉じる向きとなっている。 しかし、裏表紙(裏カバー)や扉、奥付などの表紙以外の箇所は、すべて「筲人」のように竹冠の下が「小」と「月」が連結された形となっている。 つまり、中棒の脇の左右が下に向かって「ハ」のように開く向きとなっている。
書名 | 俳句―四合目からの出発 |
著者 | 阿部筲人 |
発行日 | 1999 年 4 月 20 日 第 26 刷 |
発行元 | 講談社 |
定価 | 1200 円 (税別) |
サイズ | |
ISBN | 978-4-00-004241-6 |
その他 | 講談社学術文庫。以前買ったが処分した。その後草加市立図書館で借りて読む |
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