極私的関数解析:ノイマン級数

作成日:2018-04-10
最終更新日:

縮小写像の定理の応用

縮小写像の定理の応用として、次の事実が成り立つ。

`T` をバナッハ空間 `X` から `X` への有界線形作用素とする。`norm(T) lt 1` ならば `(I - T)^(-1)` が存在し、しかも有界線形作用素である。

証明

ノイマン級数の定義

一般の等比数列の級数では、`-1 lt x lt 1` の範囲で、

`1 / (1 - x) = 1 + x + x^2 + cdots = sum_(n = 0)^oo x^n`

が成り立つ。これとの類似で、次の式が成り立つ。

`(I-T)^(-1) = sum_(j=0)^oo T^j in B(x)`

上の右辺の級数をノイマン級数 (エスペラント Neumann serio 、英語 Neumann series) という。 ノイマン(Carl Neumann) はドイツの数学者。常微分方程式や偏微分方程式に出てくるある種の境界条件はノイマン境界条件と呼ばれるが、 これは彼にちなんでのものである。ちなみに、有名な フォン・ノイマンとは別人である。

数式記述

このページの数式は MathJax で記述している。

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MARUYAMA Satosi