縮小写像について、まず実変数の関数で考えよう。
`f(x)` を実変数の関数とする。ある正の定数 `k lt 1` がとれて、任意の `x, y in RR` に対し、次の式が成り立つものとする:
このとき、関数 `f(x)` は連続である。なぜなら、`x = x_n` とおくと、`abs(f(x_n) - f(y)) le k abs(x_n - y)` であり、`x_n -> y` のとき右辺 ` -> 0` となるからである。 つまり `x_n -> y` のとき `f(x_n) -> f(y)` となるので、`f(x)` は連続である。
ここで、関数 `f(x)` は (1) の性質をもつとき、
となる `x` が存在し、しかもただ一つである。これを縮小写像の定理という。この定理は縮小写像の原理とも呼ばれる。さらに、バナッハの縮小写像定理、 バナッハの不動点定理ともいう。
また、必ずしも `k gt 1` とは限らないが `k gt 0` に対して上記 (1) を満たす `f(x)` を、 リプシッツ連続である (エスペラント Lipshitz-e kontinua 、 英語 Lipshitz continuous)という。このときの `k` をリプシッツ定数という。
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