極私的関数解析:ハーン-バナッハの定理

作成日:2018-05-21
最終更新日:

ハーン-バナッハの定理の位置づけ

ハーン-バナッハの定理は、関数解析の 4 つの corner stones の 1 つとしてあげられている。

ハーン-バナッハの定理

`X` を実線形空間とする。`p` は `X` で定義された実数値の汎関数であり、かつ次の劣線形性を満たす汎関数とする。

  1. `p(x + y) le p(x) + p(y) quad (x, y in X)` ,
  2. `p(alpha x) = alpha p(x) quad (x in X, alpha ge 0)` .

`Y` を `X` の部分空間とするとき、`Y` 上の線形汎関数 `g: Y -> RR` が `g(y) le p(y) (AA y in Y)` を満たしていれば、 `g` を `X` 全体の上に拡張した線形汎関数 `f` が存在し、かつ `X` 上で `f le p` となるものが存在する。これを、実係数におけるハーン-バナッハの定理と呼ぶ。

注意1:この定理は、ノルムをもたない線形空間での定理である。また、バナッハ空間とも無関係である。
注意2:この定理は、後に出てくる定理の形と区別して、ハーン-バナッハの拡張定理と呼ぶことがある。

ハーンとバナッハ

ハーン-バナッハの定理の名前はは、オーストリアの数学者、ハンス・ハーンとポーランドの数学者、ステファン・バナッハによる。 ハーンは数学の多くの分野で名を残し、 ハーン-バナッハの定理の他、一様有界性定理の発見でも名を知られている。 バナッハもバナッハ空間のほか、バナッハ-タルスキーのパラドックスなどで知られている。

選択公理とツォルンの補題

この定理の一般的な証明には、選択公理の助けを得ないといけない。実際には、選択公理をそのまま使う代わりに、 選択公理と同等のツォルンの補題を使うが、証明は容易ではない。

数式記述

このページの数式は MathJax で記述している。

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MARUYAMA Satosi