極私的関数解析:セミノルム |
作成日:2015-11-08 最終更新日: |
セミノルム(duonnormo, seminorm)とは、ノルムの要件を緩和した概念である。 セミノルムは、日本語で半ノルムともいう。
`K` を実数 `RR` または複素数 `CC` とし、`K` 上のベクトル空間 `X` を考える。 このとき、任意の係数 `alpha in K` と任意の `u, v in X` に対して、次の 2 つの性質が成り立つとき、 関数 `norm(*)`をセミノルムという。
1. は三角不等式(あるいは劣加法性)、2. は同次性(あるいは斉次性)と呼ばれる。 ノルムとの違いは、ノルムに定義にあった独立性 `norm(u) = 0 <=> u = 0` が消えていることである。 なお、セミノルムでも、`u = 0 => norm(u) = 0` は成り立つが、その逆 `norm(u) = 0 => u = 0` は成り立たない。
なぜセミノルムを考えるのだろうか。 それは、関数空間としてバナッハ空間よりさらに一般的な空間であるフレシェ空間を考えるとき、バナッハ空間が要求するノルムでは窮屈だからだ。 セミノルムまで緩和したフレシェ空間を考えることで、より多くの対象となる関数を扱うことができる。 代表的なフレシェ空間として、無限回微分可能関数からなる空間がある。
任意のノルムは、セミノルムである。ほかには、次のようなセミノルムがある。
実数値をとる線形関数の絶対値はセミノルムである。
このページの数式は MathML で記述している。