人工知能学会誌を読む(2003年 9 月号)

作成日: 2003-09-11
最終更新日:

関連性理論−認知語用論の射程

私はAI(人工知能)研究者ではない。ただ、人工知能学会に入会しているので、 人工知能学会誌を購読している。面白そうな記事があればながめている。 この記事で、次のような例が出ている。

  1. I've had a shower.[TODAY]
  2. It's snowing. [IN LOCATION X]
  3. I've got nothing to wear to the party. [NOTHING APPROPRIATE]
  4. Sam left Jane and she became very depressed. [AND AS A RESULT]

これを見て、私は土屋賢二氏のエッセイを思い出した。 氏の文章を読むと、いちいち[]内にある補うべきことばが、ことごとく裏切られる。 人工知能の分野は何でもありだが、土屋氏のひねくれた文章が人工知能学会誌の論説を読む時にも 役に立つとは思わなかった。

困難な列挙問題と逆探索法

逆探索法という考え方を紹介し、この逆探索法で効率良く解ける問題として、 多面体の端点、極大クリーク、頻出する根付き木の各列挙問題をあげ、 それぞれに適したアルゴリズムを紹介している。 私は、極大クリークの定義がわからなかったので、調べないといけない。

ところで、クリークとは水路のことである。水郷柳川のクリークを思い出した。 ここへはOくんと行ったのだった。

特集「機械学習、それが人に及ばざる理由」

すごい表題である。わたしなんか昔から今に至るまで全く学習していない (だいたい妻に何度も言われたことを未だに実行しないことから明らかだ)。 それでも機械よりマシなら、どうしてなのだろうか。興味があるところを拾い読みしてみた。

家の中は機械の学びの場となるか

現在はリンク切れだが、家の中の認知科学ホームページ(www.nozy.org)、 というのがある。家事の難しさについて触れられている。 事実、わたしがこんなたわけた文を書いているときにも、 妻がやってきて一つ家事をこなしていったのだった。ありがたいことである。

この論考で紹介されていた知見として、 家の中で学ばれる技術である子育てや家事の仕方についての知見がある。

また、上記の作業系の家事に加えて、情報系の家事があることも述べられている。

私は、技術系も、作業系も、家事は苦手である。皿洗い一つとってもできないし、 それどころか、皿を片付けて流しに置くときでさえ、皿や椀の置き方の安定性が悪い、 という理由でつれあいに叱られる。おまけに、私が夜飲みに行くのは何日か、 直前になるまで知らせていないことがままあり、これもまた、つれあいが怒る原因となる。

この論考集の中のある著者は、「思い出工学」を提唱している。 家の思い出は、なるほど深いものであるに違いない。私のつけている五年日記は、 そのうちの一つなのかもしれない。


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MARUYAMA Satosi