卯的生活・緊急短期(であってほしい)連載

ぺーどら日記
8

 

2000.7.15(土)午前


早く自分の車が欲しい。運転上達への道は、とにかく慣れること。道路状況の判断や道を覚えることなどは、実際に乗って慣れるしか方法はないと多くの先輩ぺーどらママから聞かされてきた。それには、車! 自由になる車! オットの車は平日はもちろん仕事で使うからない。帰宅後や早朝トレーニングは我が家の場合、不可能であろう。

「いい車が入ったって」

オットが会社の人のつてで、個人で中古車の売買をしている人を紹介してもらえると言っていたのだが、その人から連絡が早速あったのだという。車はダイハツのミラ。車検が付いて18万円という値段だ。実は、ずっと会社の車をプライベートでも使わせてもらってきたので、実際の車の値段というモノがピンとこない。中古車となればなおのことわからないのだ。

以前、ぺーどら卒業を決心して月々の車の経費を割り出した友人のありがたいメモには「車体 5〜30万」とある。やはり、5万で三菱のミニカを手に入れた知人がいた。買ってすぐにバッテリーがいかれたとかで交換したり、パワステなのに少し走らないとハンドルが重いとか言ってはいたが、十分もとを取って活躍しているようであった。

このミラ、果たして私の運命の車なのだろうか。その話を聞いてから、道行く車にミラばかりを見つけ、オットとふたり「あれもミラ、これもミラ」と目について仕方なかった。友人いわく「これだ!」って思う車はね、座ったとたん、ビビッとくるから」なのだそうである。

とにかく、実物を見に行こう、とオットの休日のこの日、思い焦がれたミラと対面することになった。

紹介してくれた人の話で、ミラが今置いてあるという場所にオットと行ってみた。そこは、何というか・・・まさに廃車寸前のクルマ達の乗り捨て場のような光景であった。実際、つぶれた車も置かれていた。どの車も雨風にさらされ、汚れ、クモの巣が張り、ナンバーが外されてフロントグラスのところに価格と連絡先の電話番号を書かれた紙が張られてあった。ここは無人の展示場のようで、荒れ果ててどこにも人の姿はない。私の会いに来たミラは、ホイールもワイパーも、ドアの取っ手部分さえもサビて、あわれに助けを求めるかのようにたたずんでいたのだった。

確かに、少し古い型だと聞いていた。平成元年の車で5万km走っている。まだ車検が2年あって、業者の人が引き取ったときにエンジンは一発でかかったそうだ。少しホイールは錆びてはいるが、買うのなら新しく取り替えます、という話だった。

こういう言葉は適切ではないかも知れないけれど、クルマ達の悲しい墓場に迷い込んでしまったようで、私もオットも言葉がなかった。可哀相なミラ。でも、運命を感じようにも座席に座ってみることさえ出来ない。私には、助けてやることが出来ないと、悲痛な気持ちでそこを後にしたのだった。