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eLTAXについて 

 地方税の電子申告を推進するeLTAXが地方自治体にだいぶ浸透し、自治体から送られてくる税務関係の通知に、利用促進を図るパンフレットが同封されていることも多くなりました。
 対象の税目は法人住民税、個人住民税、固定資産税といろいろ。全部の税目を同時にはじめている自治体もあれば、ひとつずつはじめているところもあります。
手間をかけて利用を始めるだけの意味があるのは、やはり給与支払報告書でしょう。

(以下の内容は平成26年1月までの経験に基づいています。その後は実務を離れましたので、細かい点で実態と違っている点があるかもしれません。)

<給与支払報告書>
利用するか、しないか
 判断の分かれ目はメリットの大きさ。
 メリットは、つまるところ、印刷し、分割、自治体ごとにまとめ、封入して郵送する手間が省けること。個人住民税の給与支払報告書は件数が多いとメリットは大きいです。全体のデータをeLTAXポータルセンターにまとめて送信すればそれで完了。自治体ごとにまとめる必要はありません。送付数が少ないと慣れないことをやるメリットはありませんが、100件を超えてくると、負担減は大きいです。
 今年度(平成25年11月)からは全市町村が給与支払報告書の電子データ提出に対応しています。

利用するためには
 1.eLTAX用のデータを作れる給与計算ソフトを使っていること
 2.電子証明書を用意すること
 が必要です。

 使っている給与計算ソフトが対応していると、そのソフトでデータを作り、直接eLTAXポータルセンターへ送信してくれるか、あるいはCSVデータを作ってくれます。
 対応していないとバージョン・アップやソフト入れ替えが必要になり、費用がかかります。OSもバージョン・アップしなければならないこともあります。

 CSVデータができれば、eLTAXポータルセンターから「PCデスク」というソフトをダウンロードして、そこに読み込ませてデータを送信できます。
 「PCデスク」に1件ずつデータを入力することもできますが、実際には給与計算ソフトを使っていれば、年末調整と源泉徴収票、給与支払報告書の印刷はできるので、あらためてデータ送信のためだけに手入力するのは現実的ではないでしょう。

<田舎館村 田んぼアート>
 *
Coffee Break
すでに有名ですが、弘前市近くの田舎館村のイベント、田んぼアート。
村役場前の第一会場と道の駅近くの第二会場(弥生の里)があります。写真は平成26年第二会場のサザエさん。
下絵を決め、4階の展望台からの見栄えを考えて絵を調整し、測量士が田んぼに線を引きます。それから地元総出で田植えです。稲は白、紫、薄緑など品種改良して色を作っています。
過去の図柄と春から秋への色の移り変わりはこちら http://www.vill.inakadate.lg.jp/docs/2012022800030/

 利用手続きの詳細は「eLTAX地方税ポータルシステムのホームページ」に詳しく説明されています。
 ・まずいずれかひとつの自治体に利用登録をする。
 ・しばらくして登録が確認されたら、他の自治体をひとつずつ追加として登録していく。
 リストで一気に登録できれば楽ですが、そういう仕組みは用意されていません。面倒ですが、1件ずつ手作業で画面に登録していきます。
 最初の利用登録はホームページの画面で入力するので、未入力があるとエラーになります。問題なく送信できたので一安心。しばらくしてホームページの「受付状況の照会ー結果通知」をチェックしてみると、
「利用届出の内容に不備があり、受付できませんでした。詳しい内容は提出先にお問い合わせ下さい。」
提出先とは自治体のことで、これはeLTAXポータルセンターは関与しません、ということ。
そこで自治体に電話してみると、これがまた要領を得ない。「そんなこと聞かれても・・・」といかにもeLTAXポータルセンターへ回したそうな態度。結局「受付不可」のメッセージをFAXで送って調べてもらいました。やっと分かったのは、入力した「法人名称(フリガナ)」欄に「カブシキカイシャ」だけで、会社名の部分を入力していなかったのでした。こちらの不手際でしたが、画面をよく見ても気がつきませんでした。「受付状況の照会」にどこが不備か書いてくれればお互いに余計な手間を掛けずに済むのですが・・・。
注:平成26年9月以降は「受付状況の照会」機能はなくなりました。新規登録すると、ただちに受付されてIDと仮暗証番号が送られてきて、すぐに利用開始できるようになりました。)

地方自治体の受け入れ態勢
 地方自治体に対する仕組みなので、データを自治体に送るところまではキッチリ決まっているようですが、その先の処理は各自治体がそれぞれ取り組むことになっているようです。送られてくる数が少ない自治体では、手作業で処理しているところもあるでしょうし、大きな自治体では受信後の処理をプログラムを組んでやっているところもあり、その運用は様々です。
 失敗例として、送信データに記入する年度を1年間違えて(23を24として)送信してしまいました。(給与支払報告書の左上の丸数字は、平成23年暮れの年末調整では「24」ですが、これは23年のデータとなります。)書式のエラーではないのではじかれず、そのまま受信されます。
 これに対する自治体の対応は、
○先方で修正してそのまま受け取り。
○正しい年度に修正して、もう一度送信。
○はじめに送ったデータは翌年分としてそのまま残ってしまうので、まずそれの削除データを送信し、そのあと訂正したものを再送信する。(不要なデータでも自治体側では勝手に削除できないようにプログラムを作ってあるようです。)
など、対応が分かれました。対応もすぐに連絡してくる自治体もあれば、1月中旬に送信したのに3月になってから連絡してくる自治体もあり様々です。
・・・・ということがあって1年がたち、今度は間違えずに「H24年」として送信したのですが・・・。昨年のたたりがまだ残っていました。
送信後の自治体からの受信通知のメッセージに「重複エラー。あとで連絡させていただくことがあります。」そして実際に自治体から電話がかかってきました。「1月〇日と1月△日に二度受信していますが・・・。」このはじめの1月〇日は実は昨年の1月〇日です。最初に誤ってH24年分として送信したものです。それがまだ残っていて、今回送ったものと同じH24年分になっているので、自動的に重複エラーを出したようです。担当者もエラーが出たので送信日の年まで確認せずに電話してくるようです。数日間、毎日十数件かかってきました。しかし、一年前のデータをそのままシステムに残しっぱなしにしていたのでしょうか。

「平成24年分」と「平成25年度分」
また平成24年分が重複していると電話がかかってきたなかには、
「早いほうの提出日は1年前でしょう。」というと状況は飲み込めたはずですが、「はい分かりました。」と言わずしつこく確認しようとするので、
「平成24年1月に平成24年分が提出できるわけないじゃないですか。」というあたりから、電話でのやり取りなので「年」というところを「年度」といったりしたら、そこに突っ込んできて、結論はわかりきったことなのに話がぐじゃぐじゃになりました。
課税対象の年が「年」、自治体が収入として入れる年が「年度」として区別しているようです。むこうにとっては大事なことでしょうが、こちらにとっては「年度」は紙に印刷したときに欄外に丸数字で印字されるだけで、eLTAXで送信するときには、入力もしないしどこにも表示されません。提出する側には関係のないものです。

(同様にわれわれにとっては延滞税も延滞金も同じようなものですが、公務員にとっては延滞税は国税、延滞金は地方税で一文字変えてはっきり区別しているということなのでしょう。)

またこんなことも・・・
横浜市と名古屋市では毎月の住民税の納付事務は各区役所で行っています。納付用に各区役所の自治体コードを給与ソフトの個人個人に登録しています。しかし給与支払報告書は区役所ではなく市に送らなければなりません。郵送なら封筒の宛名を替えればすみますが、データで送るには社員それぞれの自治体コードを横浜市、名古屋市に変換しなければなりません。
給与計算ソフトによっては、住民税納付用と給与支払報告書送付用(名称は総括表送付用、または提出用など)に自治体コードを別々に登録できます。その場合は住民税納付用には区役所、給与支払報告書送付用には市役所のコードを登録しておけます。

「摘要」欄
 またeLTAXポータルセンターは、内容に触れる気はまったくないようで、例えば「摘要」欄には被扶養者名、国民年金支払額などいろいろな情報を詰め込むことになっていますが、eLTAXポータルセンターの書式では全角64文字という制限があります。当然入りきらないケースも出てきますが、半角数字を使って良いか、優先順位は?などの質問をしても、「全角64文字、内容には回答できません」というだけです。紙に印刷するのであれば、半角文字を使う、フォントを小さくするなどの対処もあるのですが・・・。
 実際は「摘要」欄の内容は厳密に決まっているわけではなく、地方自治体に情報を提供するために利用しているので、記入が不完全でもデータを受け取らないわけではないようです。
 摘要欄については別ページでもう少し。

<熊野古道小辺路 三浦峠付近>
 *
Coffee Break
熊野古道小辺路を三浦から三浦峠へ登る途中で
杉林の中に、一本だけ異様に大きくそびえる巨木がありました。どのくらいの年輪を重ねているのか。
熊野古道は世界遺産に指定されたため、地元では世界遺産にふさわしい環境の維持に努力を重ねています。1日に何人も通らない道の草むしり、小さな集落にも水洗の公共トイレ。
小辺路はかつては京都、大阪から熊野詣でするときの最も短時間でいける経済的なルートでした。


 
送信データを手作り
 給与計算ソフトがeLTAXデータを作ってくれなくても、年末調整関連のデータをテキスト形式で取り出せれば、eLTAX送信用データを編集することも不可能ではありません。(たいていは住所、生年月日などの社員マスターの項目と、金額が入った年末調整関係の項目を結合することになります。)ただしデータの書式がキッチリ決まっているので、いろいろ変換しなければなりません。
 項目ごとの決まり事はeLTAXポータルセンターの「CSVレイアウト仕様書(給与支払報告書)」に書かれています。
 また「給与支払報告書CSVデータ作成に当たっての留意事項」や「使用不可の文字」も掲載されています。

 源泉徴収票/給与支払報告書のフォーマットのページの源泉徴収票を印刷するAccessのファイル(H25gensenprint.mdb)に、「eLTAX送信用データ」をつくるクエリーを入れておきました。
 (PCA給与Xを使っている場合は、こちらのファイル(GensenPrint_PCA_KyuyoX_H26.mdb)
*ファイルがダウンロードされず文字化けしたテキストが表示されるときは、右クリックして「対象をファイルに保存」などのメニューを実行してください。
またWindows10の環境ではInternet ExplorerやMicorsoft Edgeではファイル保存しても、html形式になってしまうようです。その場合はGoogle Chromeなどほかのブラウザーを試してください。
 このクエリーで書式を調整するために使っている変換式の一覧をまとめておきました。関数の使い方が統一されていませんが、参考にしてください。
 PCA給与Xを使っている方はこちら(PCAData.xls)

 「給与支払報告書用」テーブルのデータを元にクエリーで変換して「CSVレイアウト仕様書」にあう形にしてテーブルを作ります。これをCSVファイルで取り出し、「PCデスク」に読み込ませます。
 あくまでも手元のケースに則って作っていますので、一般的に使えるものではありません。使う場合はあくまで参考として、ご自分で手を入れて、出来上がりを精査してお使いください。
 たとえば住宅借入控除はいろいろなケースに対応するため、多くの項目がありますが、ほとんどが手元のケースには関係ないので、最も基本的なケースしか取り込んでいません。またこちらが従たる給与になった場合の項目や中途入社の前職会社名もクエリーには取り込んでいません。

 作ったデータを「PCデスク」に読み込ませるのですが、その段階でいろいろエラーが出ます。  ファイルのインポートエラーには、エラーログの見方の説明があります。
 住所、氏名のエラーでよくあるものは、
<使用不可の文字を使っている>
 住所の項目:   半角カタカナ、半角英数字、ギリシャ数字(アパートの号棟に使われています)
 漢字氏名の項目: 姓と名の間の半角スペース(すべて全角でなければいけません。)
          JIS第一水準、第二水準以外の漢字。
          (似ている第一水準、第二水準の漢字に置き換えます。)
   《漢字の置き換え例》ア→崎、P→瀬、M→濱、蛛ィ柳、g→なぎ、→高、aィNo.
 カナ氏名の項目: 全角カタカナ。(半角カタカナでなければいけません。姓と名の間には半角スペースが必須です。)
 (「各種ドキュメント」にはeLTAXでの使用可能文字の一覧表があります。
 また「給与支払報告書CSVファイルの各項目の記載に当たっての留意事項」もあるので、目をとおしておくとよいでしょう。)

 また自治体から指定されている「指定番号」は半角英数字と指定されていますが、岡山市の指定番号は頭にカタカナがついていてエラーとなります。仕方がないので、これはカタカナを除きます。
 訂正するには、テキストエディターの置換処理を使います。(予想外のものを置換しないように、元の文字列はなるべく長くとる。)
 テキストエディターはWindows付属のメモ帳ではやや使い勝手がよくないので、TeraPadなどフリーのソフトを利用したらよいでしょう。
 まえもってJIS第一水準と第二水準以外の漢字をチェックできればよいのですが、「PCデスク」に読み込ませてチェックしても手間は同じことです。
 送信データを「PCデスク」に読み込ませるとエラーがでてくるので、いくつか(10くらい)エラーを貯めてから中止してエラーログをみます。おそらく同じ文字が何回もエラーとして出てくるので、はじめから全体にエラーチェックをかけるのは非効率です。まず10前後のエラー文字を拾いだし、置換を全体に実行します。置換したテキストを「PCデスク」に読み込ませると、今度は違う文字でエラーになります。また途中で止めて、置換を全体に実行します。これを繰り返します。
 PCで使える文字なら受け入れてくれれば良さそうなものですが、受け入れる自治体側で使っているソフトウェアはPCの世界とは別世界で、今までのオフコンの枠をはみ出すわけにはいかないのでしょう。
 エラーが出るのは氏名と住所がほとんどなので、2年目以降は前の年に出た文字をあらかじめ置換処理しておけば、「PCデスク」に読み込ませて出るエラーはずっと少なくなります。

 登録をして、送信データを作り、無事に送信するまでには、きっと何回か怒りに震えたり、「やる気があるのか。」と言いたくなることがあるとおもいます。

自治体からの税額通知データ
提出した給与支払報告書に対して、4月頃から「特別徴収義務者用税額通知」が送られてきます。eLTAXでデータ送信した事業者には税額通知もデータで返ってくるのですが、これも各自治体がやっているので、まだ足並みは揃っていません。今年度は紙だけで、データで返すのは来年からという自治体もあります。また、データで返してきても、紙のように全員をまとめて送ってくるのではなく、どういう事情か分かりませんが、パラパラと3回、4回に分かれて送ってくる自治体もあります。
 データで返してくる自治体も、従来通り紙でも送ってきます。正式な通知は「紙」ということになっています。
大阪市の「通知データについて」(PDFファイル)
 自治体からのデータはすべてeLTAXポータルセンターで集約され、1日に1本のCSVファイルにまとめられて、添付ファイルとして送られてきます(毎回ほぼ同じファイル名)。ですからひとつのファイルにいくつもの自治体のデータが混在しています。
 受け入れる作業としては、データとして読み込ませるなら全部をまとめて、何らかの処理をしてということになりますが、いつが最後なのかが分からず、全部の自治体が来たのかどうかチェックするのも大変です。結局、実務上はデータは使える段階ではありません。
 やるならば自治体からのデータの送信期限を決めて、全部のデータをeLTAXポータルセンターでまとめてから、1本のCSVファイルにして送信してほしいものです。
 いまのところ受入は今まで通り、紙ベースでやるのが一番間違いがないようです。

税額通知の CSVファイルのサンプル(平成25年4月頃の例)です。フィールド名はありません。A列は指定番号、B列は単なる連続番号、C列は事業所がつけている社員番号、U列は自治体コードです。自治体コードは6桁が一般的ですが、末尾1桁目のチェックデジットを省いて5桁で表示する自治体もあります。


自治体リストの追加
 さて1年目の取り組みが無事終わり、2年目になるとまた新しい自治体を登録しなければなりません。
1. まず、社員の住んでいる自治体のリストを作る。(社員のリストに登録してある自治体コードからAccessの重複削除クエリを使って、重複のないリストを作ります。)
2. 社員の住んでいる自治体のリストと昨年までに登録した自治体のリストを突き合わせ、未登録の自治体のリストをつくる。(不一致クエリ)
 この自治体を、また1件1件登録します。
(すべての自治体が給与支払報告書の提出についてeLTAXに対応したので、対応している自治体を選び出す作業はいらなくなりました。)
なお未登録のままデータを送信しようとすると、エラーメッセージが出ます。その段階で登録していくこともできます。 この作業をするAccessのファイルです。ファイルのなかのフォーム「説明」に概要を書いておきました。


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