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三角縁神獣鏡論争の終焉

 「三角縁神獣鏡卑弥呼の鏡」説が提唱されてから久しい。永らく考古学、古代史学の分野で繰り返された論争も、日中両国における発掘調査の進展、銅原料の物理的な測定、中国の歴史・地誌文献の検証、銅鏡製作法の考察などを通じて明快な結論が導き出されて終焉を迎えることになった。今後もしマスメディアが論争を蒸し返すような報道を行うならばそれは時代錯誤でしかあり得ない。

謝辞

 この小論は「三角縁神獣鏡は卑弥呼の鏡か」(安本美典・廣済堂出版)に触発されて作成した。著者は数量的方法、統計的方法を歴史学、考古学に導入して数多くの問題に新しい光を当てている。この著書においてもこの手法を駆使して納得できる多くの結論を得ている。このような著書に巡り会えて本当に良かったと感謝したい。
しかし510頁におよぶ大部の書籍であり、著者の博識により大量の情報が詰め込まれていて、一般の読者にはなかなか手強い存在で、読み切れないのではないかと危惧される。この著書からエッセンスをいただいて、簡潔な結論を記述することをこころみた。小論での引用、データなどは安本氏の著書からの孫引きであることをお断りします。