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砂防ダム 写真と資料 2005Mar.16 松本砂防事務所で 島島谷砂防についての 話し合いをしたときの議事録 過去の議事録 2004Aug.23 要望と抗議 2003June11 質問 自然保護ページへ 渓流保護ネットワークへ |
松本砂防事務所 訪問 進行順議事録 仮事務所会議室、2005年3月16日14:00-16:30 出席者:砂防事務所 今井所長、東川副所長(技術)、長谷川調査課長 渓流保護ネットワーク 田口 藤原;水と緑の会 中村 巽 ;長野県自然保護連盟 町田;長野県勤労者山岳連盟 三井 記者3名 ![]() 2004年8月に提出した要望書と抗議文、そしてそのとき確認した事柄に対する回答・対応を議題としています。前回の議事録はこちら。要望書と抗議文、代替案はこのページ末尾にも再掲しました。 全般に所長の発言は明確であり、誠意を持って対応してもらっていると感じた。島々谷川環境調査委員会(以下「環境委」と略す)の傍聴・資料配布などの要求を受け入れたこと、6号ダムの設計はオープン型に絞ったこと、'05年度に6号工事予算を要求していないこと、砂防目的で最重要なのは島々集落の災害であることを明言するなど、具体的な事柄で評価できる。他方、建設の是非を含めて考える場を作るとかダムなし代替案とかの市民団体の要求には、事務所側に受け入れられないものも多いが、その場合にもあいまいにせず、「約束できない」などと表現しており、発言内容を信頼できる。その所長が、一方的に建設を進めることはない、話し合いの機会を持ち、多様な意見に門を閉ざさないなどと発言しており、これからも意見を出しつつ島々谷をよい状態にしていきたいものである。 市民側の質問に砂防事務所側が答える形で、左から右に読んでください。主張だけで返答を要しないもの、繰り返しにすぎないものなどは省いています。特に名前がない場合、市民側は田口、砂防事務所側は今井所長の発言。
島々谷川第6号砂防ダム建設に関する要望書 2004年8月23日 島々谷川環境調査委員会委員長 桜井善雄 様 島々谷川環境調査委員会 各委員 様 私たちは島々谷川第6号砂防ダムに関して1998年の松本砂防事務所佐藤所長時代から西山所長、長井所長そして現在の今井所長に至るまで継続的に話し合いを進めてきました。そして、これまでに何通かの島々谷川第6号砂防ダム建設を止めてもらうための要望書、意見書、質問主意書などを提出してきました。私たちはこれらの書面を各委員の方々に渡してもらうよう松本砂防事務所側に口答で連絡してありますが、なぜか渡していただいてありません。まずはお願いですが、委員の方々は松本砂防事務所側にこれらの書面の提示を要求していただけないでしょうか。 さて第6号砂防ダム建設予定地の上下流は、生態系としての重要性のみならず、北沢きってのすばらしい景観を持っています。そして何よりも、今までに建設されてきた多数の砂防ダムによって川そのものの循環機能が切断されたことが、河川環境に大きな影響をもたらしています。特に激減した生物や景観など環境への影響は、6号砂防ダム建設だけでの問題として論じることはできません。 たとえば砂防ダム建設や工事用道路などが上流へと延びてきた時間経過と共にカジカ、イワナなどの魚類の絶滅や減少が進んだことが、このことを象徴しています。またワサビ沢トンネル入り口付近の盛り土上には、工事によって運ばれたと思われるビロードモウズイカ、オオバコ、クローバー、ヒメジオンなどの帰化植物が持ち込まれ繁殖しています。これらの現実をどう思われるでしょうか? また流域砂防の見地からしても、防災効率に関しては1999年の梅雨豪雨時において3号砂防ダムより下流に実質的被害が生じたことなど、6号ダムを造れば安全になるのか不明確な点があります。砂防達成率ではどこまで造れば安全になるのかなど説明しなければならないことが多々あるにも関わらず、未だ説明されていません。また全国的に同様なことをおこなっているため事業費の増加が日本の財政を圧迫し、国民の幸せに繋がる適正な政策実行に害を及ぼしてもいます。この様な問題からも砂防ダム建設は様々な要素と総合的な視野に基づいて議論されるべきものです。 本来ならば今回の委員会の中に私たちの会も参加し発言の機会を与えられるべきですが、残念ながらそうなっておりません。 長野県においては、「信州・長野県における土砂災害対策のあり方」と言う通達が知事、土木部長、林務部長、農政部長の名前において本年4月28日に出されました。(別紙参照)。 内容は<ハードになるべく頼らない><ハードに頼る計画を見直す><ハードに頼る意識を変える>という画期的なものです。なお、私たちは本年 5月20日に長野県に「小野沢第2号砂防ダム建設中止を求める要望書」を提出しました。この要望に対して県は、7月20日に「この砂防ダムの建設は休止する。」と文書回答しています。委員の皆さんには、長野県のこの態度や時代的要請を理解し、今回の審議に役立てていただけないでしょうか。 なお、今回の環境調査委員会は「6号ダム建設の有無を論じない」と言う足かせをはめられておりますが、6号砂防ダム建設が環境に及ぼす影響は明らかです。私達は6号砂防ダムに代わる代替案(別紙)を提案しておりますが、仮にこの案が有効ならば6号ダムを造らないと言う選択肢も意義あるものになります。ぜひこの足かせにとらわれることなく、専門家としての信念に基づいた議論を進めることを期待し、要望書を提出いたします。 記 1、委員会は公開を原則として傍聴をさせてください。現在は一部公開のみです。資料は支障のない範囲で配布して下さい。第2回目ではマスコミにしか配布しないという作為的差別がありました。 2、委員会の開催中に私達の意見を聞く場をつくって下さい。委員会には各分野の専門家が参加していますが、私たちは長年にわたって島々谷川の環境や景観、魚類などについて調査してきました。 3、「6号砂防ダム建設の有無を議論しない」と言う規約を見直して下さい。 島々谷川の環境を論じる場合、今までつくられてきた砂防ダムによる影響を抜きにした6号砂防ダム建設部分だけの環境調査論は、環境専門家の立場からしても納得できないのではないでしょうか。今回の審議は総合的判断が必要となるべきものです。 4、本委員会から次のような内容の提言をして下さい。 6号砂防ダム建設に関する市民、環境団体、専門家、松本砂防事務所などが参加した公的な検討委員会または準ずる委員会を開設する。 以上 水と緑の会 会長 竹内繁治 長野県自然保護連盟 会長 町田和信 公共事業と災害を考える会 代表 内山卓郎 あづみの道草あかとんぼの会 代表 及川稜乙 安曇野環境ふぉーらむ・八面大王 代表 藤原 浩 渓流保護ネットワーク「砂防ダムを考える」 代表 田口康夫 連絡先 長野県松本市本庄2−1−1 田口康夫 0263−32−1511 抗議及び申し入れ書 2004年8月23日 国土交通省松本砂防事務所長 今井一之 様 島々谷川6号砂防ダム建設に関する事では、代々の所長及び現所長の御努力により話し合いの場を持っていただき感謝しております。しかしながら今井所長になってから、これまで気づき上げてきた市民との対話が十分果たされなくなってきています。つきましては抗議及び申し入れ書を提出いたしますので、善処と速やかなる文書での回答をお願いいたします。 記 1、環境調査委員会など傍聴に際して、差別的な資料の配布をやめること。 本年6月25日の第二回環境調査委員会傍聴において、委員会資料を傍聴者に配布しませんでした。しかも報道関係者には配布するという実に理にかなわない行いでした。私達はその場において東川副所長に理由を尋ねたところ、ホームページに載せるので配布しないと言うことでした。なおその後ホームページに載せることはありませんでした。またこの様な答弁では、報道関係者には配布し、私達傍聴者に配布できないと言う理由にはなりません。情報公開、住民参加の観点からみても、長野県をはじめとする公の委員会での傍聴時の資料配付は常識となっています。今後は住民差別とも言うような行為はつつしみ、資料は公平に配布してください。 2、住民の意見を聞く機会を設定すること。 後日、東川副所長は「委員会当日に意見箱のようなものを置く予定だったが忘れてしまった」と言いました。この様な重要なことを「忘れた」の一言で片付けられてははなはだ遺憾です。なお意見箱設置のようなもので、私達が前回堤出した要望書の「環境調査委員会の中で私達が発言できる場をつくってほしい」の主旨の代替にしてもらっては困ります。 3、環境調査委員会に住民の要望書などを提出すること。 第2回目環境調査委員会開催のおり桜井委員長に私達の意見が届いているのか聞いたところ、届いていないと言うことでした。私達は再度事務局を通して意見を提出しますので、事務局としての常識ある対応をして下さい。 なお、この件に関する今井所長のご見解を明示して下さい。 以上 水と緑の会 代表 竹内繁治 渓流保護ネットワーク「砂防ダムを考える」 代表 田口康夫 連絡先 長野県松本市本庄 2−1−18 tel/fax 0263-32-1511 田口康夫 島々谷川第6号砂防ダム建設取り止めのための代替案 2004年8月 渓流保護ネットワーク「砂防ダムを考える」 現在、国土交通省松本砂防事務所は当初予定の高さ42mのクローズダム案にかえ、高さ21mのオープン式ダムの検討に入っている。既にこのための模型実験を終え、次の段階の環境調査委員会開催(3回の中2回は終了)に至っている。私たちは今までに5回の意見書、要望書などの提出(99.1.28、99.6.10、00.2.7、02.11.14、02.11.20)と何回かの話し合いの場をも持ってきたが、中止のための進展は未だ無い。6号砂防ダム建設は明らかに環境に影響を及ぼすが、これ以外の代替えのための議論はされていない。以下に6号ダム建設にかわる代替案を示す。 1、1号砂防ダム(高さ15m)の透過型化。 この場所は地形的な要因もあり、ダムによる河床上昇が固定化したことで、1999年の大雨時に付け替え道路を伝わって土石流が下流人家にあふれ出る寸前にまでいたった。従って、まずはダム改修により現河床を下げることで安全を確保し、砂防ダムの土砂調節量を高める必要がある。 2、3号砂防ダム(高さ31m)の浚渫をする。可能ならば透過型に改修する(アーチ式ダムだが、堤体肉付けによる透過型化が可能ならばおこなう)。 ダムの浚渫等をして常に空状態にして土砂調節量を十分確保し、小嵩沢と本流からの土砂流入に備える。松本砂防事務所は浚渫の必要性を考えていないが、過去に浚渫の実績がある。昭和20年の災害時は、小嵩沢からの流出土砂が本流をせき止め、決壊した鉄砲水で被害が大きくなった。なお当時の山が森林伐採により裸状態にあったことも考慮すべきである。 3、4号ダム(高さ16m)、5号ダム(高さ14m)の透過型への改修。 これらのダムの透過型化への改修によって土砂調節量の増大が見込めるので、環境に大きな影響を及ぼす6号ダム建設を考える前に、まずは既存のダムの改修(嵩上げも含め)を優先すべきである。環境を壊すダムの新設は選択肢の中でも最下位にすべきである。なお、これらのダム建設の目的に山脚固定が挙げられているが、固定しなくてはならない場所はない。河床が上がった分だけ新たに山脚や山腹の崩壊リスクを高めていることの方が問題である。 4、渓流内での自然土砂調節場所に排土(残土)を置くべきでなく撤去が必要。 5号砂防ダム上、二俣下、3号砂防ダム上流等、工事によって出された残土を河川内に放置(捨てる)することは土砂生産を加速し、川の持つ土砂調節機能を阻害することになり、砂防論理から見てもおかしい。 5、北沢源流部、冷沢への林道の開設(約3km)が土砂生産を加速させている。積極的に植林などをして安定化を図ることが必要。また中流域の森林は、林が込み合い治山力を落としているので間伐などの森林整備も必要。 6、土石流が出ることを前提とした防災対策の実施。 1999年大雨での土砂流出の特徴は、3号ダムより下流に大きな土砂流出場所が生じ被害を集中させている(道路の開設が主な原因)。つまり必ずしもダムの上流で土砂生産が起こるとは限らない。このことを考慮すれば土石流がでることを前提としたソフト対策と土地利用対策を考えることが望ましい。またこのことは土砂災害防止法の理念にもかなう。なお長野県は、「信州・長野県における土砂災害対策のあり方」という通達を出し以前とは考え方を変えてきている。 7、以前より積極的な土砂供給システムが必要。 最下流部では上流からの土砂供給不足によって河床洗堀が進み堤防根固め部分が露出しはじめている。放置すれば堤防決壊にも繋がる(梓川本流の土砂移動も含めた対応も必要)。なお海岸侵食や中流部の河床低下などの問題は、流砂系という視点から源頭部から海岸までを視野に入れた対策が必要になっている。このことは国交省も私たちも共通な認識となっている。 以上のように既存のダムの浚渫、透過型化などを進めれば、6号砂防ダムの土砂調節量を上回ることが明らかである。また森林の整備安定化を図れば土砂は出にくくなる。従って、この谷きっての美しい景勝景観や環境に大きなダメージを与えるダム新設は、他の選択肢に関する議論を無視して進めるだけの根拠に乏しい。また環境調査委員会は6号砂防ダム建設が周辺に与える環境への影響だけで判断をするのではなく、今までに造られてきた砂防ダムによる渓流環境への影響と経緯状況を把握し、下流部から源流部までの環境変化の変遷を総合的に判断する視点での位置づけが必要であると思う。 渓流保護ネットワーク「砂防ダムを考える」 代表 田口康夫 |