ボーリング調査(標準貫入試験)を行い地盤の状態を確認します。
土のサンプルも採取して検討の結果地盤改良を施すこととなりました。
地元の流儀に基づいた地鎮祭を行いました。
普段行っている地鎮祭とは少々違う部分もありましたが地域性を感じることが出来て興味深かったです。
地鎮祭が終わった後にお施主様に地縄の確認をしてもらいました。
建物の位置にテープが張ってありますので位置や大きさが初めて実感できます。
敷地の裏には少し下がった位置に水路があります。
既存の擁壁が接していますが高さが足りないのと強度の問題から擁壁を新設することになりました。
既存の擁壁を取り壊さずに水路を確保したままの工事で現場にはご苦労掛けました。
先のボーリング調査の結果に基づいて柱状改良を施します。
基礎梁の下に長さ1〜3m程度の改良杭を160本ほど作りました。
基礎梁を作る場所の地面を掘っていきます。
ちょうど地盤改良の柱状体の上に基礎が乗るように掘ります。
整備の時に車を持ち上げるためにアバンスリフトという装置が設置されますが その油圧シリンダー部分が納まる基礎を作ります。
地面の中に2.5m程埋まります。
鉄骨柱のアンカーボルト(ベースパック)を設置します。
この周りに鉄筋が組まれコンクリートを打って基礎を作ります。
鉄筋には決まった長さがあるので途中でつなぐ必要が出てくるところがあります。
細い鉄筋の場合は重なり部分を作れば良いのですが太い鉄筋の場合は圧力を加えながらガスで熱して(ガス圧接)継ぎます。
こんなふうにコブ状に盛り上がってくっつきます。
鉄筋と型枠の組立が終わりました。
ここにコンクリートを流し入れて基礎を作ります。
鉄骨を切って溶接して設計通りのパーツ(柱、梁)を作ってもらいます。
熟練工の手により分厚い鋼材もしっかり溶接されていきます。
夏は暑く冬は寒い、そして危険なお仕事です。
溶接箇所がしっかりとくっついているかどうか検査をします。超音波の機械を使い欠陥の有無を調べます。
病院でお腹の中を調べるエコーと同じで鉄骨に潤滑剤を塗って上からなぞりモニターで波形をみて確認します。
超音波探傷検査という非破壊検査です。
工場で鉄骨を持ち上げるときに使うクリップです。
従来のものは挟み込む部分のギザギザが荒く傷が付くことがありましたが、、、
新しいものはギザギザが細かく優しい仕様になっています。
型枠が外されコンクリートの基礎梁が現れました。
鉄骨の柱を乗せる部分の定規も外して建前に備えます。
現場常設の打合せ室(プレハブ)でお施主さん、給排水、電気、整備場機械担当者も交えて打合せです。
週に一回、それぞれの質疑回答とそのすり合わせを行います。
鉄骨ファブより各種鉄骨が運ばれクレーンを使って建方が行われました。
鳶さんがテキパキと作業を進め全体の姿が現れます。
鉄骨の接続箇所は鉄板をボルト&ナットで挟んで締め付けます。
機械を使って所定のトルクで締めますが締め忘れ防止のために印を付けてから締め込みます。 印のラインがずれていれば完了、ずれていなければ未完です。
数が多いので目視で確認できるようにしておきます。
2階の床はデッキプレートと呼ばれる波形の鉄板を鉄骨に溶接しその上にコンクリートを打って強い床を作ります。
2階床のコンクリート打設が終了しました。
エレベーターが設置される場所には穴が開いています。 うっかり落っこちないように柵を設置します。
整備場の自動車を持ち上げるリフトの基礎配筋が進んでいます。
今までの整備場は底冷えがするとのことでしたので断熱材も打ち込みます。
屋根には折板(せっぱん)を使います。 鉄板がギザギザに折ってある屋根材です。
ぺらぺらの紙を蛇腹折りにすると丈夫になる事を知っている方も多いと思いますが同じ理屈の屋根です。
厚さが1mm程度の薄い鉄板ですがこの形状に加工することによりとても丈夫になるんです。
鉄骨の上に波形の受け材を付けてからその上に敷き込みます。
整備場は折板屋根の裏側が直に仕上げとなるので断熱材が張り付いたものを使います。
整備場床の配筋と各種配管などが終了しコンクリートが打設されました。
ポンプからコンクリートがドクドクと送られて職人さん達がきれいにならしていきます。
床の上に給水管が施工されました。出来上がると床の下に入るのですがしばらくはこのままとなります。
目立つ色のテープを張ってあるのは踏まれたり蹴られたりされないようにするためだそうです。 みんなで一緒に作っていこうという意識が大切!
天井近くに窓があります。
光を取り入れたり換気したりする役割の他に万が一火災の時にはボタンひとつで全開し煙を外に逃がす仕掛けとして機能します。
整備場内の各間仕切や防火区画の仕切となる壁にALCの壁をたてていきます。
ALCとは別名軽量気泡コンクリートといい気泡がいっぱい入ったコンクリートで軽くて火に強い頼もしい建材です。
整備場の土間が出来上がりリフトのピットも現れました。
キリッとエッジが効いた美しいくぼみです。
リフトの装置が入るまでは合板で養生しておきます。
事務所のファサードとなる床から天井までの大きなサッシが入りました。
自動車を搬入するためのフルオープン自動ドアも付いています。
整備場の様子をお客様に見ていただくために透明なパネルの入ったシャッターを取付ます。
幅8.5m高さ3.2mにも及ぶ大開口です。
整備場内には部品庫、コンプレッサー室、油脂庫など特殊な小部屋が区画されています。 特に油脂庫にはガソリンや灯油、その他様々な油類が保管されるため消防法の定めによりいろいろな仕掛けを作ることになります。
事務所棟外壁まわりの断熱のため発泡ウレタンを所定の厚みで吹き付けます。
とても引火しやすいので火気厳禁です。 近くで溶接作業がある場合なども細心の注意が必要です。
吹き付け厚さは発泡後にゴルフのマーカーのようなピンを差し込んで確認します。この場所は20mm厚です。
整備場の床はスーパーフロアという仕上げを行います。
油汚れやタイヤによる摩擦、工具や重量物の移動に耐えメンテナンスも楽な仕上げです。コンクリート打設後に表面を砥石で研磨しツルツルにします。
大きな機械で 床を削ります。
細部は手作業で丁寧に削ります。
様々な表面処理を施してぴかぴかに仕上げます。
この写真は濡れているわけではありません。 鏡面になっているのでそんな感じに見えるんです。
事務所の天井からデジタルサイネージのモニターをぶら下げるための仕掛けを作ります。
モニターはかなりの重量があることと地震時の振動なども考慮して天井ではなくスラブ(2階のコンクリートの床)に直接取付ます。
天井が仕上がると見えなくなりますがしっかりと作ってくれました。
2階住宅部分の工事も進んでいます。
LGSと呼ばれる薄くて軽い鉄骨を使って壁や天井の下地を作ります。 部屋の姿が少しずつ現れます。
足場が外れて外壁が現れました。
住宅部分はコンクリートスラブの上に少し隙間を持たせて置き床(乾式二重床)とします。
パネルを可調式鋼製束で支える工法で床下の隙間は配管や配線などのスペースとして使います。
整備場棟と事務所棟は大きな屋根でつながれてピロティーになっています。 その中央に直径約4.5mの穴が開いていて空を望むことが出来ます。
ピロティーに光を取り入れその影で時間の流れを感じることも出来るのです。
事務所棟の外壁も現れました。
地面に浄化槽を埋め込みます。
上を自動車が行き来するため浄化槽が潰れないようにコンクリートの構造物で囲みます。
整備工場より油を含んだ排水も出てきますのでそれを分離するオイルトラップも設置しました。
事務所トイレの床には石目模様のタイルを使います。
整備士の方々も出入りするためオイル汚れにも強いタイルを選びました。
事務所壁の一部にタイルを貼ります。
長さ厚さがまちまちで凹凸の激しい表情のあるタイルです。 目地は取らずに付きつけで貼ることにしました。
サンプルで貼り方の確認です。
住宅部分には温水式の床暖房が設置されます。
パネルの中にチューブが巡らされていてその中を温水が通って暖める仕掛けです。
整備工場の壁には大きなプロペラ式のファンが付いていて換気をするのですが高圧洗車や軽塗装時のミストを収集するために特殊な換気装置も設けました。
天井付近にはエア工具用の配管、照明など様々な装置が設置されることになりますので各職方さん達の連携が重要です。
先日選んだタイルが貼り上がりました。良い表情です。
ピロティーヴォイドの仕上げが終わり見上げると青空が切り取られて素晴らしいコントラストです。
サインプレートの取付です。
ステンレスを箱状に組立て裏側にLEDを仕込んだ看板です。夜になると裏側が光ってイメージが浮かびあがる仕掛けです。
富士山が世界遺産に登録されたことで看板の景観に対する配慮が必要となり通常の企業イメージのサインではなくオリジナルのものとしました。
整備工場から排出される排水には油分が含まれていることがあります。 そのまま排水することはできないので油水分離槽(オイルトラップ)を設けなければいけません。
法律で求められているオイルトラップは当然設置されていますが敷地内の雨水などを排水する経路の途中にも油水分離槽を設置します。
クライアントの近隣に対する配慮です。
通常のコンクリートマスを3つつなげて底の方の水を次の槽に移し上に浮いた油分を分離する。これを3階繰り返します。
事務所部分の内装工事が大詰めです。
各業者さんが入り乱れて忙しいことになっています。
車検レーンにテスタ類が設置されました。
フリーローラー、トリニティテスタ、ヘッドライトテスタがインストールされます。
整備場には灯油やガソリン、エンジンオイルなど可燃物を貯蔵する部屋があります。
揮発性の油脂などもあり発火の危険がありますので消防法により細かな規定が決まっています。
床には万が一油をこぼした際にその油を集める溝がありその溝が床のくぼみにつながっています。そしてそこに溜まった油脂が揮発したときに強制排気できるよう換気扇につながった筒が屋根の上まで伸びています。
照明器具と看板の試験点灯を行いました。 とてもいい感じに光っています。
建物の白と黒、照明による明暗と想定通りのコントラストとなりました。
エレベーターの検査が行われました。
専門の業者さんがテキパキと進めていきます。 普段お目にかかれないシャフト内部などの部分もしっかりと検査します。
消防関係設備の検査です。
まずは整備場の水圧開放シャッターの動作確認です。 万が一の火災の際に外から水圧をかけるとシャッターを開けることが出来る仕掛けです。
本物の消防車がやってきて、
こんな風に消火ホースを装置につないで水を流して圧力を掛けます。
すると、 シャッターが開きます。 ここから消防隊員が侵入し救助活動や消火活動を行います。
建物には至る所に火災報知器が付いています。
全てのセンサーに熱や煙をあてて作動状況をチェックします。
全て無事正常でした。
活躍する機会はないに越したことはありませんが万が一の為ですので重要です。
建築、消防の検査も終わりいよいよ完成です。
本日は接客カウンターの上部に設置するメニューの看板が設置されました。 クライアントのご家族によるデザインでかわいくわかりやすいデザインです。 お店のキャラクター「ひろもちゃん」のデザイナーでもあります。
店舗の家具などまだまだやらなくてはいけないことも残っていますが お陰様で無事完了できそうです。
構造設計、設備設計を協力していただいた方々 監督さんをはじめ設備、電気、整備機械の担当者の方々 そして実際にこの建築を形にして下さった多くの職方の皆様 ありがとうございました。