四日目.この日も合羽を着る必要がなさそうだ.泊まりのツーリングでは必ずどこかで雨に降られるもので,前回もかなり降られたのだが不思議と今回は合羽が無用になっている.Walseは本来雨が多いそうで,出発前もイギリス人にWaterproofをしっかりしろよと脅されていたんだけれども... この日はConwyと並ぶWalesの有名なお城であるCearnarfonを見物し,ゆっくりとDerbyに戻るつもり.

31/Mayの行程
2.デジカメを失くす
BangorのYHAを出るため,荷物をまとめてバイクにくくりつけたりとばたばたしているうちに,ほんの15分前まで手元にあったデジカメが無くなっていることに気が付いた.YHAで出入りした部分を散々探すも見つからず,YHAの受付にも届いていない.やれやれ...どこかで落としてそのまま盗られたかも知れぬ.うーん,本体は親父にもらったやつなので全く申し訳ないのはもちろんのこと,さらに惜しいのはやはり中身.いろいろ撮ったのになあー.Bike Showで飾ってあったおかしなバイクたちとか,Vintage Rallyででっかい蒸気機関車を駆るきれいな女の人とか,メルセデスのちょっと古いEの屋根にのっかってすましているヤギとか...あーあー...
3.Caernarfon城へ
デジカメを探したり,うろたえたり,YHAの係員に見つかった場合の連絡先なんかを伝えたりしているうちに10時ごろになってしまった.気を取り直してCaernarfonへ向かう.Bangorからは30分程で着く.Conwyよりも大きい印象.ただConwyを見ていたせいもあるだろうしその登場の仕方がConwy城のように劇的でなかったせいもあり,実はあまり目新しさが無かった.同じ年代,同じ王が同じように作ったものなので,ようするに飽きちゃっていたのだ...(失礼).いや,とってもきれいな城ですよ.まったく. 詳細はここ.
 Caernarfon(カナーボン)城
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4.レッドゾーンまで回さないで.
 右から子供A,B,C 城を見物し,カフェでお昼を食べて駐車場に戻ってくるとバイクの隣に駐車しているミニバンに乗っている子供たち(4人..)が話しかけてきた.十分に危険な香りがする... 子供A「Hey Yamaha Boy!」 (ヤマハの帽子をかぶっていたので.) 「やあ.」 子供B「どこからきてん?」 「Derbyからだよ,ああ,もともとは日本だけどね」 子供A「このバイクは何?」 「SZRだ.ヤマハだよ」 子供A「俺もバイク乗ってるねん.ホンダのモトクロスだ.80CCだ.」 「へえー」 そして予想された要求. 子供A「エンジンかけてよ!」 「(しかたなく)ちょっとだけだぞ」 きゅるきゅるきゅるきゅるきゅる(このSZRのセルモーターはちょっと弱い..)きゅるきゅるどどどどどどど.... 子供A「ひゃっほう!!」 そしておなじみの展開. 「またがっていい??」
荷物を積んでいて不安定なので正直いやだったのだがまあ自身もバイクに乗っているっていうし国際親善も大事やなあとまじめに考えしかたなくまたがらせてみる.しかしやはりそれは危険な行為だった.こいつ,子供A,いきなりアクセルをレッドゾーンちょい越えまでもって行きやがった. 「わわわわわ,やめてくれやめてくれ(激しく狼狽)」 子供A「だいじょうぶだいじょうぶ!」 子供Aはぶんぶんぶんぶんアクセルを吹かす.そのたびにレッドをちょっと越える.あああ,俺だってそこまでまわさない様に走っているのにー.そしてやっぱり子供B,子供Cと順番に嬉々として公平にまたがり,思う存分エンジンを回してしまった.年長っぽい女の子である子供Dはおとなしくバンの後部座席に座ってこちらに同情のまなざしを送っていた.
一通りのせ,やれやれとほっとして暖気していると,両親が帰ってきた!といって子供たちが向こうに手を振っている.なるほどスーパーの袋を提げた両親っぽいのが笑顔でやってくる.そしたら子供Aが「もういっかいもういっかい! DadとMomにみせるんだ!」といってSZRにまたがり,後方からやってくる両親を振り返りながら(つまりタコメーターなど一顧だにせず)きゃははとばかりにぶーんぶーんぶーんと遠慮なくアクセルを回す.両親は笑顔で手を振っている.わわわわレッドゾーンレッドゾーン越えた越えた越えた! と,ひとりうろたえる.
両親「すまんねえ,こいつらバイク大好きなんだ(ニコニコ)」 「モトクロス乗ってるんですってねえ(汗)」 子供A「ぶーんぶーんぶーん!」 「(汗,汗)」
そうやって大騒ぎした後,彼らはバンに乗って手を振りながら帰っていったさ.まあ,でも子供たちの笑顔は屈託無くてさわやかで,今日みたいな天気の日にはちょうどよかったさ.
バイクがどうにかならなくてよかった...
(2)Horseshoe Passへ
Caernarfonを出た後は,Conwyに向かい,そこから初日に通って気分の良かったA470,A5でLlangollenまで一気に抜ける.ただ,やはり結構くたびれてしまい,ガソリンスタンドでガソリン入れた後にそのスタンドのはしっこの地面でCrisp(ポテトチップス)で炭酸飲料を飲みながらへこたれてぼんやり.うーん,Derbyはまだまだ遠いなあなどと思っているとZZR1100がスタンドにやってきて給油.そしてやはりそいつはへこたれているこっちにやってきた.中年の男でこの辺に住んでいるらしい.今日はなんだかよく話しかけられるなあと思いつつ,適当に会話.「イギリスの道はどうだい?」と,これまたよく聞かれる質問.正直に「速くて走りやすいんだけどくねくね道が無いね.もっとくねくねした所を走りたいよ.」というと,かれはこの近くにHorseshue Passという所があって,そこはくねくねしているよ,しかも週末には何百台っていうバイクが頂上のカフェに集まるんだよ,という.おお,Houseshoe Pass.馬蹄峠ってことか? なるほどくねくねしていそうだ.突如がっつきだした僕はわざわざ地図を出してきて場所を教えてもらった.それはLlangollenのほんの少し北にあった.行かないわけにはいくまい.
で,行ってきだんだけど,うーん...あんまりくねくねしていない..Passというだけあってけっこうな高さの丘を登っていくんだが,やはり曲率が物足りない.西名阪を天理に下るときに越える坂道のようだ.そしてやはり羊が放牧してあり,しかもブラインドコーナーの向こうにやつらがぼけっと四足で突っ立っている.糞も落ちている.うーん.でも峠の一番上にはZZR1100のおっさんが教えてくれた通り大きなカフェと駐車場があり,この日も何台かの大型バイクがとまっていた.カフェの中にはバイクグッズやバイクの写真が飾ってあり,なるほど,ここに走りに来るライダーたちを相手に商売を成り立たせている感じであった.週末に来るとさぞかしにぎやかなんだろう.でもこの駐車場にも羊がいっぱい.車の横で草を食ったり糞をしたり...平和だこの国は.
(3)Derbyへ
この後はA525,A515,A52とひたすらほとんど休みなしで東に向かった.Walesを抜けてしまうと途中で寄り道もしなかった.Derbyにたどり着いたのは午後6時.初夏のイギリスの太陽はまだまだ高かったけど,疲れたライダーはとっとと荷解きをしてデジカメを失くしたことを悔やみつつ寝てしまったとさ...
(4)蛇足
 Caernarfon城にて.落語家のようだが多分,頭上注意という意味だと思う.
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