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Vintage Fair, Mt.Snowdon (スノードン山), 30/May

1.30/May
(1)LlangolllenからBreconへ
1.出発
三日目.またしてもいい天気.ブリテン島のきっと美しい西海岸を北上し,昨日は反対側を回って素通りしたブリテン島随一というSnowdon山を拝み,そしてBangorという海の街まで行くのだ.またしてもかなりの距離になるはずだし山道もあるので寄り道している時間は無いのだ(無いはずなのだ).
30/Mayの行程

2.ブリテン島の快適西海岸
なるほど,この西海岸A40,A487は抜群に美しい.時々牧草地の向こうに光る海が見える.走っていて思い出したのは幾度と無く往復したとってもきれいな紀伊半島国道42号線白浜〜串本間.西側を快適に北上するあたりかなり似通った雰囲気.違うのは60mile/h (96km/h) という速い制限速度とそれに見合ったゆるめのR.この速度,最初は怖いが慣れるととても快適.ゆるいRを高速で抜けつつ,それでもうしろからポルシェに追い抜かれつつ走る.信号など無く(国道42号線も夜は信号ないね),とにかく途切れることなく日本の高速道路の速度で普通の2車線を走り抜ける.計器と路面とエンジンの音と対向車と合流車と後続車に満遍なく気を配る適度な緊張感を保つ.鼻歌が出るほど緩まないけど冷や汗が出るほど強張らない.クルマじゃなくてバイクに乗っていると思える時間である.

3.Steam and Vintage Rallyに捕まる.
などとなんともかなり正しいバイク乗りの雰囲気に浸って北上し,Fishguard(変な名前)の街を越え,Cardiganという街に入ろうとしたときに目の前に巨大なトレーラーが.そしてその荷台には注目すべき荷物が! なんだなんだ,なんだこいつは? 蒸気機関車かこれ? と追い抜くこともできず後ろにくっついていると左側の牧草地にWales国旗が幾つかはためいているのが見える.むむ.警察が出て交通整理もしている.気が付けば回りに一般車両もたくさんいる.むむ.昨日のBike Showと同じ空気がする.そして目の前のトレーラーはその巨大な荷物を積んだまま,ゆっくりとその農場に入っていった.脳内に?マークがいっぱい出て来て思考停止状態になった私とSZRも警察官の誘導でふらふらとそいつについて農場の芝生に踏み込んでいった.入場料£5.今日もワンダーランド.詳細はここ(22nd Steam and Vintage Rally).
VintageなMG



その数に圧倒されながらも一通りの乗り物を見物し,大量の写真を撮り,芝生で蒸気機関車が走るのを見ながらハンバーガーと缶詰のBaked Beansを食べ,こんな世界もあるんだなあとおなかいっぱいで駐輪場に戻ってくると,我がSZRの右隣にはその昔図鑑で見たぴかぴかのなんともクラシカルなTriumphのBonnevilleが!そして左隣にはなんとぴかぴかのBSAが! 別に展示車両でもなんでもない.ただ観客がこれらに乗ってきたというだけのこと.恐るべしイギリスと思いながら(明日失くしてしまう予定の)デジカメで写真を撮っていると,イギリス人が話しかけてきた.

「よう,このバイクなんていうの?」
「SZRです.」
「へえ,シングルなのかー.珍しいな.俺は4気筒が嫌いだからこんなのがちょうど良いんだ.日本から持ってきたのか?」
「いや,こっちで買ったんですよ」
「へえ,それにしちゃあきれいだねえ.」
「そうでしょう!」
「でも日本人ってのはバイクを大事にするよねえ.並行輸入で入ってくる日本の中古バイクはどれも新品同様だぜ,はっはっは.」

いやいや...じゃあこの両隣のボンネビルとBSA,そしてこの会場の中の乗り物たちのぴかぴか具合はなんやねん...

この後はまたしても遅れを取り戻すべくせっせと走る.きれいな海岸道路はAberystwythまで続き,そしてDolgellauの手前A470からはいよいよ山に入っていった.

(2)Snowdonia山地
1.Snowdon山 (1085m)
A470,A4085を抜け,観光バスなんかをすり抜けつつA498の山道(といってもゆるいもんだが)をずんずん進んでいるとなんだか山っぽい頂はいくつか見えてくるのだが,Snowdon山ってはたしてどれ? 形を知らないだけによくわからず,写真も撮れないままにそれでもずんずんいくとなんだかそれっぽい展望台のようなところにたどり着いた.観光バスもとまったりなんかしているしアイスクリームバンも来ているのできっとここからSnowdon山が見えるのだろうと寄り付いてみる.
はたして大勢の人が山のほうを向いて写真を撮っている.確かにその方向の遠くにはひときわ尖った高い山が目立つ.でも自信が無いのでおっさんに聞いてみた.

「どれがSnowdon山ですか? あの真ん中ですか?」
「しーっ! みんなあの真ん中がそうだと思って写真撮ってるんだからいまさらそんなこと大きな声で言っちゃいけないよ.」

などといって笑ってウィンクした.むー.この人たちもよくわかってないのだ.それでも写真は撮っている.なんとも頼りないがあいつがそれだと信じて僕も写真を撮る.このへん(Wales)で一番高い山だといいつつもたかだか1085m.六甲山の峠の茶屋の上にある丘に通天閣をくっつけてそのてっぺんに上った感じである.ただ,周りの景色は日本のそれとは全く違い,やっぱり芝生のような低い背丈の草で覆われていて,眼下には牧場があり羊たちが散らばっている.雰囲気的にはやはり厳然とイギリスである.


真ん中の尖ったのがSnowdon山(おそらく)


バイクとともにSnowdon山(おそらく)を写す


2.渓流

渓流
ふーんとSnowdonをやり過ごし今度は下っていく.途中,A4086のとてもきれいな渓流沿いの道に変わる.イギリスには高い山が無いし,そもそも台風のような集中豪雨は滅多に無い.それだからかどの河も危なっかしいぐらい道路と河面が近い.堤防は無いし道からすぐに河に降りれる.もしかしてあの芝生と牧草ってのは結構保水力あるのかしらん.Lake Districtで小川沿いの草原を歩いたらスポンジみたいだった.気候が穏やかっていうのは社会インフラの整備も若干日本より楽なんだろうなあと思ってしまう.夏もそんなに暑くないからアスファルトがぐにゃぐにゃと轍掘れすることも少ないんだろうし(←バイク乗りにはありがたい) その分,他のことに税金を使うのかねえ...

と,意外にも,実はこの先の道路は川沿いにくねくねとしていて非常に楽しめる道であった.Lake Districtの山と並び,荷物なしでがつがつ走ってみたい道であった.カーブミラーは無いけど(イギリスでは見たこと無いけど).

(3)Bangor YHA

Bangor YHA

中の様子
気持ちよくくねくね道をとばした後はA5に沿って北上.ほどなくBangor YHAに到着.幹線道路から奥まったところにあり,とても静か.中は大きな屋敷を改造したような感じで特に問題はなし.意外と早くついたので怠けてYHAで出すスパゲッティボロネーゼなどを食べてしまったが,味が全く無く塩をだばだば振りかけてようやく食べる.Walesに来てもやっぱり一緒なんだと妙に納得.しまった,やはり自分で作ればよかった...
飯を何とか食べた後はYHA周りを散歩して,YHAにいるネコをじゃらしながら(毛だらけになりながら)明日のルートを立て,向こうのベッドのおっさんのいびきをものともせずに眠りに着いた.やれやれ.ツーリングもあと一日である.

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(四日目に続く)

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