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Welish Bike Show, Marloes Sands 29/May

1.29/May
(1)LlangolllenからBreconへ
1.山越え
二日目.この日もいい天気.LlangollenのYHで夕飯の残りとパンで適当な朝飯を食べ,やはり9時ごろ出発.この日は夕方までに海の見えるところまで行かなくてはいけない.昨日はおよそ300マイル走破したが,2車線路も多く距離を稼ぎやすかった.たが今日は山越え.しかもくねくね道を期待するあまりA道路ではなくB道路狙いのプランニング.寄り道している時間は無いのだ(無いはずであった).
29/Mayの行程

しかしその山道,期待通りのくねくねっぷりではないもの,デブリがいっぱいの細い道.細い上に丘の斜面でもガードレールないし(イギリスはよほどのことが無い限り無い),コーナー出口の道の真ん中で羊がはん?っていう顔して待っているし,非常にスリリングでよろしい.緊張感がある走りのほうが楽しい.ただしそこに余計な冷や汗緊張感を加えたのがガソリンスタンドが無かったこと.いけどもいけども,いくつ集落を超えても無い.いくつ丘を越えても無い.いっぺん街中でガス欠してヒッチハイクの世話になった自分的リミットである100マイルを越えてもない.だんだん変な汗をかいてくる.下り坂はニュートラルに入れたりしてみる.コーナーはできるだけタイトに回ってみる.そんなときにRhayaderという町に入ったところで見えた緑の看板.緑の救世主.世界のBP.ありがたいありがたい..息を吹き返したバイクを見ながらRed Bullを飲み飲み,遠くの田舎に行くときは予備のボトルにガソリン入れて持ち歩くかなあと真剣に考えた.でももはやこのかばんいっぱいだしどこに積もうかなあ..とかなり具体的に考えた.

Snowdonia山地,羊と眼下の農家を見ながらコーヒーを飲む.
杭はあるけどガードレールは無い.羊の糞もデブリの一つ.

2.Welish Bike Show

Mantis

ガソリン入れてしばらく走りBuilth Wellsの街までくると,妙に回りにバイクが多いことに気がつく.いくつもいくつもすれ違う.超高速で抜いていく.なんだ,なんだなんだ? Walesでも有名なツーリング地帯に来てしまったのかと思っていたら,それは広い農場の中に忽然と姿を現した.Welish Bike Show. 全然予定に無かったのに,今日はいっぱい走らなければならないのに,当然のごとく会場の入り口に吸い込まれ,機械的に15ポンドの入場料を支払っていた.詳細はこちら.
観客の駐輪場もおかしなバイクばっかりで,中にはニトロ付きも当然のようにある.面白いので駐車場の管理していたおっちゃんとお姉さんに対してそのニトロ缶(シリンダーの横にむき出し)を指差して,これってイギリスではlegalなの?って聞くと,「To use is illegal, to hava is legal」などといってがははと笑っていた.確かにそうや.がはは.

しかし恐れ入った.CardiffでみたバイクのレースもMOTO GPのイギリスGPでもそうだけど,イギリス人はこの手のイベントに年齢性別を問わずたくさんの人がやってきている.子供もおばちゃんも多く,太ったそのへんに出てきそうなおばはんがかっちり黒の皮の上下で決めつつもソフトクリーム食いながら同じかっこうした旦那と歩いている.バイクや車といった催し物はすっかり国民に浸透しているみたいで,そしてそこに集まる人たちはとても健全に見えた.あっけらかんとしている.地獄系トライクの前で革ジャン着て歓談する親子連れなどという光景が非常に健全に映る.なんだかなあ.改めて,こっち方面の文化は日本に比べてとっても成熟しているように感じるイベントだった.日本で見られるような,バイクに一つ以上のカウルを脱皮したエビがようやく自分の古い殻からぬけだして一息ついているようなイメージでくっつけて広い道を夜だけ割りと大勢でくねくねと走ってらっしゃる方々や,クラッチを切りつつ非常に高い位置にあるアクセルを必要以上の頻度で細かく開閉させていろいろな音とリズムを奏でて恍惚としていらっしゃる方々はイギリスにはいないのか...少なくともDerbyにはいないけど.いないほうがいいんだけど.

でもこの会場で撮ったたくさんの写真,特にバイクの写真はデジカメと運命をともにし,永久に失われた..残念..残ったのはトライク達と隼のみ..あーあー,883の形したSVとか裸のマネキンが組み込まれたBANDITとかいろいろ変なのいっぱいあったのになあー.嬉々として夢中で写真撮ったのになあー.

(2)Marloes Sandsへ
1.Brecon Beacons
この先はとにかく走った.遅れを取り戻すべく走った.Brecon BeaconsもNational Parkだからさぞかし景色よかろうと思っていたがルートが悪かったかさほど取り立てて言うほどでもなく通り過ぎる.Yorkshire DaleやSnowdoniaの方がいいや.途中,いくつか面白い写真を撮るもやはりデジカメとともに消えた.Mercedesの上にヤギが乗っていたんだ.ほんとなのだ.こっち見てたのだ...

2.海へ続く道〜Marloes Sands
Brecon Beaconsを縦断し,Ammanfordの街を抜け,CarmarthenあたりのSAで駐車場にひっくり返って休憩.さらに西に向かってHaverfordwestを抜け,A40から降りてB4327に入ると景色は一変する.周りが草原と芋畑の混じったものになり,その間を1.5車線ぐらいの道が緩やかなRで続く.もうすぐ海が見えるはずなのに背が高い草とカーブで向こうはよく見えない.だから海が見たい一心でスピードが上がっていく.そして夕方の5時,とうとうMarloes SandsのYHについた.なんか平屋の漁師小屋みたいだ.

3.誰も来ないよ.
しかし様子が変.他の客たちもいるがウェットスーツ(サーフィンだそうな)を着たままその辺でたむろしているしそういう人たちは次第に増えてくる.たずねてみるとなんと,管理人がいなくて部屋が開かないそうな..まあ,だれも怒り出す人も無く,とにかくここに連泊している人がガイドブック見ながら街の事務所に電話をかけて様子を聞いている.なんでもここの管理人はボランティアらしく,常駐でない.今日は何かの都合で到着が遅れているようだが,その理由はわからない.むーん.いつ入れるんだ? そのうち客の誰かがドアを引いたり押したりしていると,ドアの鍵が外れあっさりと開いてしまった.むーん.みんなにこやかにどやどやと管理人のいないYHに侵入.まあいいか.みんなして食堂らしきところでくつろいでいるとそのうち太ったおばさんがふうふう言いながらやってきた.「ごめんごめん,今日は初めてなの,だから道に迷っちゃった..ふうふう.」 そしてそのおばさんが管理人棟の鍵を持っているかと思いきや,やおら掘っ立て小屋の片隅にむかいメモを見ながらごそごそ何か探している.あったあった,ふうふうと鍵を取り出した.そこかい.なにごもにも不慣れなおばさんはとっても手際悪くみんなのチェックインを済ませた.

4.晩飯.

Steak & Kidney Pieとジャガイモの夕飯.死ぬほどうまかった.
そんなシステム(?)なので夕飯が出るわけも無く,完全にSelf Catering.食材は特に持っていなかったので管理人棟でSteak &Kidney Pieの缶詰を購入.しかも食堂には「裏の畑で取れました.自由に食べて」と書いて土の付いたジャガイモが山盛りバケツに入っている.だからその日の晩飯は茹でたジャガイモに塩胡椒したものと,オーブンで焼いたパイ.ジャガイモはさすがにうまかった.相当うまかった.タダだけにさらにうまかった.

5.浜辺へ.

砂で遊ぶ子供
夕飯の前後,浜辺に行くことにした.このあたりにはすばらしい浜辺が広がっている(写真はここ).そしてこの辺一帯の浜辺へは畑の中を突っ切る歩道を歩いていくしかない.すばらしい浜辺なのにここには文字通り浜辺しかない.砂と海と岩と空と草とそこで遊んでいる少しの人間だけ.土産物屋が出ていたり釣り道具屋があったりごみがいっぱい落ちていたりしない.見苦しい看板や広告があったりしない.テトラポッドも防波堤もない.駐車場も無い.だいたいコンクリートの建物とアスファルトで覆われた地面が無い.道はすべて草と土でできている.ただもともと昔からあるものだけがそのまんま今でもここにあるぜっていう感じがする(木を切って農場にしてしまったのはここの人間だから厳密に言えば太古の昔からこうあったわけではないんだろうけども).日本だとこれだけの浜辺と景色があったら海岸線に道路を作って無理やり温泉掘って「癒しの眺望ヒノキ風呂」とか作ってとりあえず旅館建てようぜ,町おこししようぜ,恋人岬とかって名前付けてみようぜって言い出す人がいて,そしてきっとそうしてしまう.そして少なくともやりはじめはなんとなく人が集まって来てしまう.ついでに隣に観光客目当てのパチンコ屋とかコンビニとか建ててしまい,昼でも夜でもぺかぺかと電球を明滅させてしまう.浜辺で花火とかしてしまう.そうして全国どこにでもあるいわゆる名勝地へと改造されてしまう.そしてそれはきっとせいぜい数十年の単位でだんだんと廃れてなんとなく寒い感じのする見捨てられた感たっぷりのやりっぱなしの観光地になってしまう.
そうならずに昔からずっと人々をひきつけるような例もあるんだろうけど気に食わん.そうやって常に人の手を入れて必要以上にそこから何かを得ようと努力してしまうところが気に食わん.ほっとけばいいのに..日本の自然もこんな風にもう少しほったらかしといたらいいんでないかなあ..世界遺産だ何だってのも騒ぎ過ぎでないかなあ..いろいろ生活かかって切実なのかなあ..やっぱイギリスは平地が広いからかなあ...などと海を見ながら考えていると夕陽が落ちた.寒くなったのでYHに戻って明日のプランをして寝てしまった.

(一日目に戻る)
(三日目に続く)

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