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3時10分、決断の時
("3:10 to Yuma", 2007, Director: James Mangold, Writers: Halsted Welles, Michael Brandt, Derek Haas(screenplay), Elmore Leonard(short story) )
STORY
南北戦争で負傷し、片足を失ったダンは、家族と共にアリゾナの荒れ果てた地で細々と牧場を営んでいた。だが干ばつが続いて借金がかさんでいたため、地主らの嫌がらせが続いていた。そんなある日、盗まれた牛を探すため息子達と共に探しに行くと、ベン・ウェイド率いる強盗団が、駅馬車を襲撃しているのを目撃。唯一の生き残りである、賞金稼ぎのバイロンを救出し、町へ連れて行く。そこでベンと遭遇したダンの目の前で、ベンは逮捕される。ベンを駅まで護送するための一団に加わり、200ドルを得ようとするダンだったが…
ちょっと複雑なストーリーである。まず、ダンは父親として、夫としての威厳を完全に失っている。足を失ったことで思うように仕事ができないせいなのか、牧場はうまくいかず、借金苦。嫌がらせをされても何も反抗できない父を見て、呆れる長男。そんな時、事件は起こる。無法者の登場である。護送に参加することで、息子達にちょっと格好良いところも見せられるし、何より金がもらえる。おそらく最初はそんな軽い気持ちだったのだろう。
そして、護送すると騒いでいるのは、鉄道会社のバターフィールドだ。たびたびベンたちに列車が襲撃されて困り果てていたのだろう。だが、バター フィールドは、鉄道を敷きたいがために、ダン一家に嫌がらせをして追い出そうとしている張本人でもある。それがわかってもなお、護送に参加しようと言うダン。たかが200ドルのために。さぞかし屈辱的だろう。
途中で裏切ってベンの側につくことも出来たはず。それで金を得ることもできたかもしれない。だがそうはしなかった。馬鹿正直とはこのことだろう。息子に、自分のポリシーを貫き通す姿を見せるのだ。そしてそれに答えるベンもなかなかいい男である。
ダン役にクリスチャン・ベール。ベン役にラッセル・クロウ。バイロン役にピーター・フォンダ。ベンの相棒チャーリー役にベン・フォスター(X−メンのエンジェル、シックス・フィート・アンダーのラッセル)。
3時10分というのは、ベンを護送するために乗せようとしている列車の発車時刻。ユマ行き。57年の西部劇のリメイクらしい。見応えのある作品だ。
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扉をたたく人
("THE VISITOR", 2007, Director: Thomas McCarthy, Writer: Thomas McCarthy )
地味な作品ながら、なかなか感動的な作品だ。2009年のアカデミー賞で、リチャード・ジェンキンス(シックス・フィート・アンダーのナサニエル・フィッシャー)が主演男優賞にノミネートされた。
[STORY]
コネチカット州の大学教授ウォルター。妻を亡くしてから、一人孤独に生きていた。ある日、NYでの講演を依頼され、渋々NYの別宅へ戻ると、そこには見知らぬ男女タレクとゼイナブが住んでいた。はじめは追い出そうとするが、同情心から2人を泊めることにしたウォルター。 ジャンベ奏者のタレクの演奏を見て、自分もやってみたくなったウォルターは、次第に心を開き、彼と一緒に演奏を楽しむようになるのだが…
ウォルターは妻を亡くしてから、全てのことが色あせて見えたのだろう。講義も1コマしか担当せず、執筆をするからと言いつつ、何かを書いている様子もない。授業は毎年全く同じ内容。つまり、何かをする意欲を失ってしまっていて、惰性で仕事を続けている孤独な男なのだ。
ウォルターの妻はどうやらピアニストだったらしい。そのため、どちらの家にもピアノがある。そして音楽好きのウォルターは、自分もピアノをやってみようと考えるのだが、どうにもうまくならない。そんな時、タレクのジャンベ(ボンゴみたいな太鼓)演奏を聴き、心を動かされる。体が自然とリズムをとっている。そう、音楽にはそういう力があるのだ。
そしてまた、タレクの人柄がいい。なんとも気さくで、人なつっこい。寡黙なウォルターに、何かと話しかけ、心を開かせる。いつの間にか、2人は離れがたい存在になっていく。そんなときに悲劇が起こる。タレクたちは、不法滞在だったのだ。
決してハッピーエンドとは言えない。だが、地下鉄のホームで、ジャンベに怒りをぶつけるように演奏するウォルターの姿は、非常に印象的なエンディング。2人の交流はとても心温まるし、音楽のすばらしさも描かれている。心に残る作品だ。
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AVATAR
("Avatar", 2009, Director: James Cameron, Writer: James Cameron)
[STORY]
元海兵隊員のジェイクは、下半身不随で退役。だが、双子の兄弟が突然亡くなり、彼が関わっていた研究に参加することに。 それは、パンドラという星の住人ナヴィと、人間のDNAから造られた体を操作し、ナヴィへ潜入すること。パンドラには貴重な鉱物が大量に眠っており、それを手に入れたい人間にはナヴィの存在が邪魔。彼らとの交渉をうまく進めるために重要な役割だ。さっそく装置を使って、博士らと共にアバターを操作して森へ入ったジェイクは、住人にとけ込む。彼らと共に生活するうちに、彼らに共感し、人間のしていることに疑問を持ち始める…
ジェイク役はターミネーター4でマーカス・ライトを演じたサム・ワーシントン。ネイティリ役は、最新の映画版スタートレックでウーフラを演じたゾーイ・サルダナ。博士役にシガニー・ウィーバー。そしてパンドラを攻撃する大佐役に、パブリック・エネミーでいぶし銀の演技を見せたスティーブン・ラング。彼の部下ながら、ジェイクに賛同したトゥルーディ役に、LOSTのアナ・ルシアこと、ミシェル・ロドリゲス。この企業の幹部(?)パーカー・セルフリッジ役に、マイ・ネーム・イズ・アールのラルフでお馴染みジョバンニ・リビシ。ネイティリの母役でCCHパウンダー。
双子の兄弟でDNAが同じだからと言う理由で利用されると言うのは、先日のイーグル・アイと同じ発想。潜入というところはちょっとトータル・リ
コールを思わせる。人間が自分勝手な理由でパンドラ先住民を追い払おうとするあたり、アメリカ入植者たちがネイティブ・アメリカンにしたことのようであ
り、そういう意味では西部劇のようでもある。人間とナヴィとの戦いは、ベトナム戦争のようにも見える。
アバターを使って、相手と同じ容姿になって潜入すると言う発想はかなり奇抜。下半身不随のジェイクが、その体を手に入れ、自由に動き回れるのだから、パンドラの世界を気に入らないワケがない。そして、そこで恋人と結ばれ、住人達にも認められ、一人前のナヴィになったジェイクが、その世界を破壊することに手を貸すはずもない。つまり、この物語が始まった段階で、ストーリーの方向ははっきり見えてしまう。
それでもとにかくすばらしい。なんと言ってもパンドラの壮大な自然を描いた映像は美しいし、ナヴィたちや、他の動物たちも、妙にリアルだ。どうやって撮影したのかと思う。戦闘シーンは迫力あるし、CGの世界と人間が実にリアルに映像化され、今までのCG映画のような嘘くささがない。3Dでも見てみたかったなと思う。
とはいえ、ストーリー的にはちょっとした疑問も残る。パンドラで鉱物を手に入れようとしているのは民間の組織らしいのだが、彼らが勝手に他の星の 生命体にこんなことをしていいのかと言う点。今まで地球で、たとえば欧米がアフリカや中東から散々搾取して利用してきたことが、現代でこれだけ問題になっている。今より未来だと思われる世界で、こんなことが許されるのか。地球の(アメリカか?)政府はどう思っているのか。黙認しているのか。それほど貴重な
鉱物なのか。地球の政府がそれを指示しているのだとすれば、やられて黙っているわけがなく、これはハッピーエンドではなく、パンドラはかなりヤバイ状況で
ある。
だが、まぁいいのか、ここは素晴らしい映像を堪能しよう。是非映画館で見ることをおすすめする。わかっているけど、疑問もあるけど、感動してしまう。
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96時間
("Taken", 2008, 仏・米・英, Director: Pierre Morel, Writers: Luc Besson, Robert Mark Kamen)
リーアム・ニーソン主演のサスペンスアクション。ハラハラドキドキ手に汗握る痛快アクションだ。
[STORY]
元秘密工作員のブライアンは、今は引退した身。17歳になったばかりの娘は、離婚した妻とその新しい夫と共に暮らしていた。ブライアンの唯一の楽しみは、娘の成長を見守ること。そんなある日、娘が友人とのフランス旅行への許可を求めてきた。娘に泣き落とされ、渋々承知するが、フランスに到着した娘は、何者かによって拉致されてしまった…
はっきり言って、結末は見えている。途中の展開も、だいたい想像がつく。しかも93分という短さ。それでも、これだけ楽しめるのは、ブライアンという人物の設定や、見せ方のうまさによるものだろう。
ブライアンは、今でこそ、娘がかわいくてしょうがない、ただのおじさんだ。だが、かつては秘密工作員として、国のために世界各国で諜報活動をしていた人物らしい。彼がかなりの凄腕だったことは、すぐにわかる。まず、フランス旅行へ行きたいと言う申し出に、難癖をつける。確かに、フランスに危険のイ メージはあまりないし、娘に自主性を身につけさせたいと言う母親の気持ちもよくわかる。だが、世界を見てきたブライアンは、用心するにこしたことはないと、条件付きで許可を出す。携帯を渡し、毎晩その携帯で連絡を入れること。
事件はすぐに起きる。幸か不幸か、ちょうど携帯でブライアンに電話をかけている最中。この時のブライアンの冷静さがすばらしい。娘にも落ち着くよ うに、そしてこれから起こるであろう事を説明し、指示を出す。このときの行動が、今後の展開に大きく影響するのだ。さすが元秘密工作員。娘をさらった一味に対して、冷静に言い放った言葉はすごみがある。そしてこのあとのブライアンの素早い行動は実に見事。
途中、かなりやりすぎに見える部分もある。そんなことしちゃっていいのかと言う気もする。だが、大事な大事な娘を取り戻したい一心の父親には、そんなことはどうでもいいのだ。
50代半ばのリーアム・ニーソンが、見事なアクションを見せてくれる。元妻役にファムケ・ヤンセン。娘キム役は、ロストのシャノン役でお馴染み、マギー・グレイス。17歳の娘と言ったら、もっと生意気でマセている気がするのだが、パパ大好きなんて言って飛びつくような、純真な娘だ。もっとも、ブラ
イアンのような父なら、娘がそうしたくなる気持ちもわかるが。
とにかくありえないほど格好良い、娘に一途なオヤジが大活躍する作品。アッという間の93分。ドキドキしつつ、最後にスッキリしたい方にはおすすめ。
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ラスベガスをぶっつぶせ!
("21", 2008, Director: Robert Luketic, Writers: Peter Steinfeld, Allan Loeb (screenplay), Ben Mezrich (book "Bringing Down the House: The Inside Story of Six M.I.T. Students
Who Took Vegas for Millions"))
実話に基づいている話らしいが、なかなか痛快。
[STORY]
マサチューセッツ工科大学の優等生ベン・キャンベルは、ハーバード大医学部への入学資格を取得。だが、30万ドルの学費を工面できないため、奨学金に応募。だが、受けられる見込みは低く、頭を痛めていた。そんな折り、数学の教授に呼ばれたベンは、ラスベガスでブラックジャック必勝法を学んで儲けるチームに参加しないかと誘われる。はじめは断ったベンだったが…
30万ドルと言えば大金である。医学部ってやっぱ金がかかるのね…って問題はそこではなく、その金の工面方法である。奨学金は、申込者が多く、いくら優秀なベンでも受けられる見込みは低い。何か特別な理由、面接官を驚かせるようなユニークな経験を求められるが、勉強一筋だったベンには、そんな経験は全くない。勉強と、オタク仲間とのロボット制作に打ち込む日々である。
そんな彼に、教授からの誘い。ギャンブルで稼ごうと言う。しかも、これは違法ではないとおっしゃる。カウントという方法を身につけ、チームでベガ スに乗り込むらしい。一度は断るが、やっぱり金は必要ということで、とりあえず学費の30万ドルを稼ぐまでやってみることにする。そしてデビュー。頭のいいベンは、ものすごくうまくやってのけ、好調な滑り出し。そして、ギャンブルの楽しさも知ってしまう。大金も手に入る。そして生活が変わってしまう。
天国の生活が始まり、そして地獄へと堕ちる。もうこの辺りは釘付けというか、目が離せない展開で、最後までアッという間だ。
教授役にケビン・スペイシー。最初は頼れる教授だが、途中で豹変する。そして、彼らを追うラスベガスの警備員役に、ローレンス・フィッシュ・バーン。太ったねぇ。彼もまた人間というところが面白い。
カウントの方法は、見ていてもなんだか良くわからず(わかっちゃまずいのか?)、私ら凡人に実戦はムリそう。でも痛快この上なく、久しぶりにスカッとした。
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君のためなら千回でも
("THE KITE RUNNER", 2007, 米・中国, Director: Marc Forster, Writers: David Benioff (screenplay), Khaled Hosseini (novel) )
なんてサエないタイトルだろうと思ったが、この言葉が映画の中で涙を誘う。感動的な作品だ。アフガン生まれのホッセイニ氏の自伝的小説を映画化したものらしい。彼自身も、ドクター役でチョロッと出演している。
[STORY]
70年代のアフガニスタン。裕福な家庭の少年アミールは、使用人の息子ハッサンと仲良し。いつも一緒で、ハッサンにたこ揚げを教わったり、アミールがハッサンに本を読んでやったりしていた。ところがある出来事をきっかけに、友情が壊れてしまう。その後ソ連軍によるアフガン侵攻があり、ア ミールと父はアメリカに亡命。2000年。自叙伝を出版することになったアミールの元へ、父の親友から、アフガンに戻れという電話が入る…
70年代の平和なアフガニスタン。二人の少年の友情は本当にほほえましい。ハッサンは勇気ある頭のいい子だ。だが、使用人の子であり、ハザラ人であることで差別されていた。それに対してアミールは、裕福な家庭のおぼっちゃまであり、何不自由なく育つ。だが、父親が、ハッサンの勇気や行動力ばかりほめるため、自分は愛されていないのではないかと不安になる。
そして凧揚げ大会。ハッサンの指導で、アミールの凧は見事優勝。父親も大喜びだ。今まで、なんとか父に認められたいと思っていたアミールは、これ以上嬉しいことはない。ハッサンは、アミールのために、落とした相手の凧を探しに行く。だが直後に、事件が起こる。そしてこの事件を境に、二人の友情は壊れてしまう。
アミールは事件を目撃している。その場で戦う勇気はなかったにしても、何かすることはできたはずだ。だが彼は何もしない。見て見ぬ振りをしてしま う。なぜ父親に言いつけて相手を懲らしめることをしなかったのだろう。なぜ自分のために戦ったハッサンに、優しい言葉をかけてあげることができなかったのだろう。そう、それは、やっと勝ち取った父からのほめ言葉を失うことにつながり、またもやハッサンがほめられ、同情されるだろうことにつながるからに違いない。なんとも利己的で、思いやりのない行動ではあるが、子供らしい行動とも言える。彼にはまだ人を思いやる余裕がなかったのだ。
そんな彼も、すっかり大人になり、結婚して、自叙伝を出版。そして、ハッサンの訃報、彼と自分との意外なつながりを知る。ここからはもう、アミールがんばれ!と言う感じである。最後には、冷静に、正しいことをはっきりと言える立派な青年に成長する。
アミールの父が、亡命途中で見せた勇気が忘れられない。本当に感動的な、すばらしい作品だ。
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スラムドッグ・ミリオネア
("Slumdog Millionaire", 2008, 英 , Directors: Danny Boyle, Loveleen Tandan, Writers: Simon Beaufoy (screenplay), Vikas Swarup (novel))
2009年アカデミー賞で一番の話題作ながら、上映した映画館が少なかったのはなぜ?
[STORY]
インドの拘置所で取り調べを受ける青年ジャマール。拷問まで受ける彼は、直前まで人気番組「ミリオネア」に出演、あと1問で2000万ルピー獲得というところまで来ていた。スラム出身で何の教育も受けていない彼が、答えられる訳がないと考えた司会者が、不正をしていると疑い、警察に通報し
たのだ。だが拷問を受けても、不正はしていない、答えがわかったのだと言い張るジャマール。そして彼は、自分が答えを知るに至った経緯、自身が生き延びてきた過酷な半生を語り始めた…
最初っからかなり強烈だ。拷問され、尋問されるシーンと、彼がミリオネアに出演するシーン、そして彼の生い立ちが、交互に映し出される。
スラムでの生活は過酷だ。だが、兄サリームと仲良く助け合って生き延びてきたジャマール。何度も修羅場をくぐりぬけ、たくましく、したたかに成長 する。だがその間、ずっと彼の心の支えであった少女がラティカだ。彼らの成長とともに、インドも変わった。スラムだった場所に、大きなビルが建つ。そして3人の関係も変わる。
観光客相手にビジネスをする辺りは本当にたくましいし、いつまでもラティカへの想いを持ち続けるジャマールの純真さはほほえましい。最後のジャ
マールとサリームは、まさに天国と地獄という感じだが、非常に印象に残る結末だ。最後にみんなでダンスしてしまうシーンには苦笑したが、いかにもインドら
しい。
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ヒトラーの贋札
("DIE FALSCHER", オーストリア・ドイツ, 2007, Director: Stefan Ruzowitzky, Writers:Adolf Burger (book), Stefan Ruzowitzky (screenplay))
2008年のアカデミー賞外国語映画賞を受賞した作品。地味ながら、体験者の手記を元に製作されただけに、リアルに描かれている。
[STORY]
1936年ドイツ。パスポートや紙幣の偽造をしていたユダヤ人サリーは、逮捕されてユダヤ人収容所へ連れて行かれる。だが、そこで偽造の
腕前に目を付けられたサリーは、外国紙幣贋造に従事させられることに。それは、偽ポンドや偽ドルを大量に作り、英米経済を混乱させようという、「ベルンハ
イト作戦」だった。拒めば自分の命がないが、手を貸せば、同胞への裏切りになる…
ユダヤ人収容所の映画はいろいろ見たが、これはちょっとタイプが違う。こんなこともあったんだと言う感じだ。ユダヤ人収容所の中でも、ここは、紙幣偽造のスペシャリストの集まりということで、多少優遇されている。他よりも少々自由があり、他よりもちょっと良い物が食べられ、他よりもちょっといいベッドで眠ることができる。
今までも紙幣の偽造をしていたサリーにとって、紙幣の偽造自体に罪悪感はないようだ。むしろ、自分の才能を生かせる場所に来られたとばかりに、ポンド札の偽造に成功。そのデキがあまりにすばらしかったため、今度はドル札を大量に印刷するよう命じられる。
だが、ここで疑問を持つ者が現れる。ナチに手を貸すことは、同胞に対する裏切りであると。とはいえ、命令通り印刷しないと、即銃殺だ。修整主任としてサリーは葛藤する。
正義感を持ち出すブルガーに、そんなタテマエよりも、とりあえず今を生き延びることの方が重要だと突っぱねるサリーは、一見、自己中心的で冷たい男のように見える。だが、作業所で一緒に作業している仲間だけでも、なんとか一緒に生き延びようと努力する彼は、実はものすごく仲間思いである。だから、
弟のようにかわいがっていたコーリャへの仕打ちを知り、物静かなサリーが怒りを爆発させる。
派手な演出こそないが、淡々と描かれている内容は実に深い。
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パンズ・ラビリンス
("El laberinto del fauno","Pan's Labyrinth", 2006, スペイン・アメリカ・メキシコ, Directed by Guillermo del Toro,Written by Guillermo del Toro)
2007年のアカデミー賞で、とっても話題になっていた作品。メキシコ・スペイン・アメリカ合作ということで、全編スペイン語だ。SFファンタジーという分類になっているが、PG12。どういうこっちゃと思っていたら…
[STORY]
1944年スペイン。内戦終結後も、独裁政権に抵抗する反乱組織が山間部に潜んでいた。彼らを追いつめようとするビダル将軍たち の陣営の元へ、臨月間近の女性と娘がやってきた。夫を戦争で亡くした彼女は、将軍に見初められ、結婚することになったのだ。冷たい将軍の元での生活は恵まれてはいたが、決して幸せとは言えず、娘オフィリアは幻想の世界へとのめり込んでいく…
と言うのが、大人側からみた映画のあらすじ。オフィリア側から見たあらすじは、ちょっと違った感じになりそうだ。
戦争で父親を亡くしたオフィリアは、身重の母親と共に、新しい父となる将軍のいる山間部へやってきた。森の中で、昆虫の姿をした 妖精と出逢った彼女は、自分は、地底にある魔法国王妃の生まれ変わりであると告げられる。満月の夜までに3つの試練を乗り越えれば、魔法国へ戻れると言われ、妖精に導かれるまま不思議な世界へと迷い込む…
とても悲しい物語である。大人の視点で見れば、戦後の混乱期、レジスタンス軍と政府軍との争いに巻き込まれてしまった母娘の物語であり、つらく悲 しい状況を乗り越えるため、少女は空想の世界へのめり込む。最後も悲劇で終わる。その悲しい物語を、子どもに語って聞かせる時、「でも実はね…」とファンタジーを繰り広げることにより、子どもの悲しみを、希望へと変えている作品のように思える。その手法がなんとも絶妙で、見終わった後、思わずうなってしま うのだ。
音楽もまたすばらしい。唯一オフィリアのことを気にかけてくれるメルセデスが口ずさむ子守歌が、この映画のテーマ曲のようになっているのだが、哀愁漂う調べが、映像の暗さと相まって、悲壮感を出すと共に、暖かさも与えている。大人向けのファンタジーだ。
この曲の着メロを作ってみたので、興味のある方はどうぞ。
http://www.ne.jp/asahi/mikey/showcase/music.htm
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リトル・ミス・サンシャイン
("Little Miss Sunshine",2006, Directed by Jonathan Dayton, Valerie Faris,Written by Michael Arndt)
[STORY]
アリゾナ州に住むフーヴァー家。妻シェリルの兄フランクが、自殺未遂で病院へ運ばれたと連絡を受ける。シェリルは、フランクを自宅へ引き取ること
に。そんな一家の元へ、娘のオリーブが少女ミスコンである「リトル・ミス・サンシャイン」への出場を決めたと連絡が入る。大喜びのオリーブのため、一家は
オンボロのミニバンに乗り込み、開催地カリフォルニアへ…
2007年のアカデミー賞で4部門ノミネート、助演男優賞と脚本賞を受賞した作品。個性的な家族が、少女ミスコン出場のためにミニバンでカリフォルニアを目指すロードムービー。
この一家、かなり個性的な一家だ。父親リチャードは自己啓発本出版を考えている、自称勝ち組。だがそう思っているのは、本人だけのようだ。長男ドゥウェ
インはテストパイロットになるまで口を利かないと言う誓いを立てている。どういう意味があるのかは不明だが、とにかく口を利かず、話す必要があるときは、
メモ帳に書いている。リチャードの父は、言ってみれば下品なオヤジだ。言いたいことを言うし、ヘロイン(?)もやっている。だがオリーブは、このグランパをとても慕っていて、ミスコン出場のためのダンスを教えてもらっている。このダンス、家族の誰にも見せていない(グランパと2人だけの秘密の特訓)というのがミソだ。
みんなそれぞれ自分のことしか考えていないような、ちょっと無神経な家族の中へ、自殺未遂をした、意気消沈しているフランクが参入。普通だったら、どう接して良いものか、気を遣ってしまうところだが、この家族にはそんなことは関係ないらしい。何があったのか、無邪気に聞くオリーブ。真実を話すフ
ランク。この無神経さ、フランクには良かったのかもしれない。
確かに長旅ではある。だが、ミスコンに参加するだけだ。飛行機代を惜しんで車での移動。よくある話だ。それなのに、数々の不幸な出来事が、一家を襲う。でも彼らはメゲない。それどころか、次第に結束していく。その様子は、コミカルだが、ほのぼのしている。
ドラマでお馴染みの顔が脇を固めていて、これもまたおもしろかった。まず、リチャードに出版を持ちかけた(詐欺師?)スタン・グロスマン役で、 「マルコム in the middle」のハルこと、ブライアン・クランストン。ミスコンのスタッフ役で「24」のクロエこと、メアリー・リン・ライスカブ(って読む?)。「ベロ ニカズ・クローゼット」のジョッシュこと、ウォレス・ランガム。そして驚いたことに、フランクの恋人(♂)を奪った相手ラリー・シュガーマン役で、「サン タバーバラ」の3代目メイスン・キャプウェル役が懐かしいゴードン・トンプソンが、チラッと出ていたのを発見!!(ガソリンスタンドで、偶然元彼と会ってしまったシーン)
おもしろいシーン、印象的なシーンがたくさんあるのだが、一番好きなのは、ドゥウェインがショックを受けて取り乱した時、オリーブが寄り添うシー
ン。オリーブは本当に健気で愛らしい。彼女は決して文句を言わない。いつもニコニコして、前向きだ。助演女優賞ノミネートも納得の演技だ。むしろ主演でも
いいのでは?
みんなで車を押して、走りながら乗るシーンは何度見ても笑える。オリーブのダンスシーンもいい。最初は今にも倒れそうだったフランクが、次第に生き生きしてくるのも、うれしい。ほのぼのしていて、笑えて、ちょっと切なく、何度見ても楽しめる映画だ。
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世界最速のインディアン
("The World's Fastest Indian", 2005, ニュージーランド・米・スイス・日, Director: Roger Donaldson, Writer: Roger Donaldson)
STORY
60年代、ニュージーランドの小さな街、インバカーギル。スピード好きの初老の男性バート・マンローは、若い頃に出会ったバイク、インディアン・スカウトを改良し続けていた。いつの日か、このインディアンに乗り、ボンヌヴィルで行われる競技会に出場することを夢見て…
バイクでスピード世界記録を出したバート・マンロー氏を描いた作品。アンソニー・ホプキンスが初老のマンロー氏を熱演しています。ストーリーのすばらしさはもとより、バートという男性がとても魅力的。
彼は少々変わり者。人の目を気にしないし、気ままに生きています。庭のレモンの木の根本に毎朝おしっこをする。芝刈りをするよう隣人に言われると、面倒なので火をつけて燃やしてしまう。隣人はそんな彼を少々疎ましく思っているようだけれど、なかなか愛すべき人物でもある。実際、仲間もたくさんいて、人気者です。隣人の息子とはとても仲がいい。2人の世代を越えた友情は、見ていてほほえましいのです。
彼の夢は、いつの日か、見渡す限り一面の塩平原ボンヌヴィルを、愛車インディアンで駆け抜けること。スピード世界記録を出したい。いつか行こう、いつかお金が貯まったら…。そんなある日、彼はついに出発するのですが、ボンヌヴィルへの旅は決してラクではありません。ニュージーランドの片田舎から、船でアメリカへ渡ったものの、物価の違いに驚き、車の多さに驚く。なんとかボンヌヴィルに着いたものの、事前の登録がなければ出場できないこともわかります。それでもバートは決して諦めない。地球の反対側から来たのだから、こんなことで帰るわけにはいかない。そして彼の熱意がついに周りを動かすのです。
彼はいつでもマイペース。殺伐とした都会で、無愛想になっていた人たちも、彼と関わることで優しい気持ちに。彼のオープンな人柄が、人の心 を開くのでしょう。出会ったあらゆる人たちが、彼に温かい手をさしのべる。見ている者を優しい気持ちにする映画。そしていくつになっても、夢を持ち続けることの大切さを見せてくれます。
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スタンドアップ
("North Country", 2005, Director: Niki Caro, Writers: Michael Seitzman (screenplay), Clara Bingham,Laura Leedy(book "Class Action: The Story of Lois Jensen and the Landmark Case
That Changed Sexual Harassment Law"))
STORY
80年代のアメリカ。子供を連れ、暴力夫から逃げ出した女性ジョージー。彼女は実家に転がり込むが、出戻り娘に対して父親はいい顔をしない。鉱山 でも女性を雇うようになり、他の仕事よりも給料が良いと知り、彼女は鉱山で働くことにする。だが、女性の参入を快く思わない男性たちによるセクハラが日常 的に行われていた。彼らの行為に疑問を持ったジョージーは、やめてくれるよう働きかけるが…
とても重い作品です。原題は「 North Country」。シャーリズ・セロンが、セクハラ集団訴訟を起こした実在の女性を熱演しています。
毎日続くセクハラ。父親さえも見て見ぬ振り。仲間であるはずの女性たちも、仕事を失いたくないばっかりに味方してくれない。誰も助けてくれない。誰も話を聞いてくれない。それでも子供たちを養い、家のローンを払うために、仕事を辞めるわけにはいかない。そんな絶望的な状況の中で、彼女はついに訴訟に踏み切ります。
前半つらく悲しいお話ですが、後半は本当に感動的。まず弁護を引き受けてくれる弁護士。彼の存在は大きい。そして彼女の味方になってくれた父。共に訴訟に臨んでくれた同僚。今ま
で反発していたが、真相を知って母親を気遣うようになってくれた息子。彼女の強い意志が、少しずつ周りに拡がり、正義の連鎖を生むのです。
ジョージーを演ずるシャーリズ・セロンの熱演もさることながら、脇を固める俳優陣も控えめながら熱演。いつでも娘を暖かく見守る母役はシシー・スペイ
セク。彼女を鉱山の仕事へ誘い、自らは難病で自由がきかなくなっても彼女の味方をしてくれた友人グローリー役は、フランシス・マクドーマンド。彼女を支える優しい夫役は、ショーン・ビーン。そして、この大きな波のきっかけとなってくれた弁護士役はウディ・ハレルソン。特にショーン・ビーン演ずるカイルが、ジョージーの息子に優しく語りかけるシーンは感動的です。
とある北の町で始まったこの訴訟は、アメリカ全土に影響を及ぼすことに。彼女の勇気が、アメリカを変えたのです。
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イン・ハー・シューズ
("In Her Shoes", 2005, 米・独, Director: Curtis Hanson, Writers: Jennifer Weiner (novel), Susannah Grant (screenplay))
STORY
大手事務所に勤める弁護士ローズは、立派なキャリアを持ちながら、容姿に自身が持てず。妹のマギーは、美貌と抜群のスタイルを持ちながら、実家でプー太郎。ある日、高校の同窓会で酔っぱらい、実家から閉め出しをくらってローズのアパートに転がり込む。ローズの持ち物やお金を勝手に使って生活し始める。それでも、彼女に働くようすすめ、なんとか我慢していたローズだったが、恋人を寝取られて激怒。アパートを飛び出したマギーは、疎遠だった母方の祖母を見つけだし、転がり込むことに…
正反対の性格をもった姉妹の物語です。働く気がないわけではなく、字がうまく読めず、計算ができないためにどんな仕事も長続きしないマギーは、祖母の元へ転がり込むのですが、それもお金をたかるため。いつも人の物やお金をこっそり使って、笑顔でごまかす。そんな彼女が、祖母との出会いで変わるのです。
また、追い出してみたものの、妹がとても大事な存在だということに気づくローズ。ひょんなことから恋人にも恵まれるけれど、マギーが気になって仕方がない。そして、祖母の元へ行くことを思いつく。
とても心温まる作品。久しぶりに心から感動しました。祖母役のシャーリー・マクレーンがすばらしいのです。マギーがたかりに来たことはすぐにわかるのですが、その後の対応がいい。そしてわかる母親の死の真相。つらい過去を、二人で乗り切ってきたことを思い出す… 姉妹、そして家族の絆の物語。
タイトルのシューズですが、姉ローズの持ち物。自分でははかないのに、クローゼットにはたくさんの高価な靴が並びます。服は合わなくても、靴はならはける…
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Ray/レイ
("Ray", 2004, Director: Taylor Hackford, Writers: Taylor Hackford, James L. White (story), James L. White (screenplay))
STORY
カバン一つでバスに乗り、各地を転々としてピアニストとしての修行を積む、盲目のレイ・ロビンソン。やがて人気が出始め、レイ・チャールズと名乗るように。盲目であるが故に利用されることもあるが、人を見る目も持っていた彼は、ついには大手のレコード会社と契約し、大スターに上り詰める。だが私生活では、ドラッグにおぼれ、愛人をつくり…
感動しました。いつもニコニコしている、穏和な彼しか知らなかったので、あんなに苦労した人だとは思わなかった… 父親に捨てられ、母に育てられたレイ。弟を事故で亡くした過去は、のちのちまでトラウマとなっていたんですね。おまけに、視力を失い盲人になってしまう。それでも、彼が自立できるように、厳しく育てた母親は、本当にすばらしい人だったのでしょう。
彼の音楽は本当にすばらしいのだけれど、その陰にはドラッグや愛人が。ミュージシャンとしては珍しくないかもしれないけれど、それだけつらい過去があったのだとも思うけれど、少々驚きました。それでも彼は立ち直った。
彼を演じたジェイミー・フォックスには拍手を送りたいくらい。本当によく似ていたし、仕草から演奏まで、良く研究したと思います。
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ミリオン・ダラー・ベイビー
("Million Dollar Baby", 2004, Director: Clint Eastwood, Writers: Paul Haggis (screenplay), F.X. Toole (stories))
STORY
フランキーの経営するボクシングジムに、教えて欲しいと言う女性マギーがやってくる。31才だという彼女を、女性はとらないし、今からやっても芽は出ないと冷たくあしらうフランキー。それでも諦めず、しつこく通い続ける彼女に根負けし、トレーニングすることに。そして彼女は立派なボクサーに成長し、ついにタイトル戦に挑む…
途中までは本当に感動的で、ヒラリー・スワンクを応援しながら見ました。彼女の練習風景はすばらしい。体も締まっているし、動きもいい。なにより、一生懸命だし、他の事には目もくれず、夢中になっているその姿が、見ていて気持ちがいい。クリント・イーストウッド演ずるフランキーとのコンビネーションも良く、このままハッピーエンドで終わってくれたら、どんなに気持ちの良い映画だったろうと思ったのですが、そうはならなかった。
タイトル戦の最中に、相手の反則行為が原因で事故が起き、マギーは全身不随なってしまうのです。ここからは、ひたすら悲しいお話に。フランキーは、苦渋の決断を迫られることになるのですが、彼の決断は理解できる。でもマギーの考え方はちょっと疑問です。
マギーは、もう思い残すことはないと言うのだけれど、マギーほどのガッツのある人だったら、医者からなんと言われようと、もう一度自分の足で歩くぞ!くらいの気持ちを見せて欲しかった。だってまだ30代。諦めるには早すぎる。なので、この結末にはちょっと不満が残ります。
とはいえ、こういう結末だからこそ、印象に残る映画なのでしょう。
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ベルヴィル・ランデブー
(Les Triplettes de Bellevill, 2003, 仏・ベルギー・カナダ・英, Directed by Sylvain Chomet, Written by Sylvain Chomet)
STORY
孫と2人暮らしのおばあちゃん。彼が自転車好きと知ったおばあちゃんは、三輪車を買う。それをとても気に入った孫は、やがて成長し、おばあちゃんの特訓もあって、ツール・ド・フランスに出場することに。ところが、レースの最中に、マフィアによって連れ去られてしまう。それに気づいたおばあちゃんと犬が、孫を探す旅に出る…
なんとも奇想天外なアニメーション。自転車を漕ぐことしかできない孫と、彼の世話をせっせと焼くおばあちゃんの関係が、なんともほほえましいですね。多くは語られていないので、想像することしかできないのだけれど、この子の両親はおそらく事故か何かで他界したのでしょう。孫はとても寂しげ。両親が仲良く自転車に乗る写真が飾られていて、孫が自転車関係の記事をスクラップしているのを見つけ、なんとか彼を元気づけようと、おばあちゃんは三輪車を与える。2人の特訓する姿や、特訓後にマッサージする姿が愉快。
そして、おばあちゃんが孫に与えたもうひとつのもの… 「犬」がまた面白いです。バカな犬。本当にバカな犬。食べることしか考えていなくて、おもちゃの列車にしっぽを踏まれてから、列車を見るたびに吠える。それなのに、孫探しでは、意外と役に立つというか、おばあちゃんの、この犬の使い方が面白いです。「犬の意外な活用法」
孫探しの旅で、ベルヴィルのトリプレットと出会うのだけれど、この3人組がまたすごいんです。不思議な生活をしている。彼女たちの音楽もまた奇妙だけれど、不思議な魅力があって、それがこの映画の魅力でもありますね。
会話はほとんどなく、映像で見せると言う感じなので、家族で一緒に楽しめる作品だと思います。が、しっかりと見ていないと、どんどんお話が進んでしまうので、意味がわからなくなってしまう可能性もあり。最後、エンドロールの後に、オチというか、笑えるシーンがあるので、最後までお見逃し無く。
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僕はラジオ
(Radio, 2003, Directed by
Michael Tollin,Written by
Mike Rich)
STORY
1976年、サウスカロライナ。ハナ高校のフットボールコーチ、ジョーンズは、知的障害をもつ青年、通称ラジオと親しくなる。ラジオがフットボール好きなのを知り、練習の手伝いを頼み、自分のクラスにも通わせる。ラジオはフットボールや学校で人気者になるが、それを快く思わないものもいた…
実話に基づいたお話のようです。知的障害のラジオ役を、キューバ・グッディング・ジュニアが熱演。マジメに、何事にも一生懸命に取り組む姿がすばらしい。ジョーンズコーチ役は、エド・ハリス。2人の暖かい交流が素敵。彼の暖かいまなざしが忘れられません。
生徒や親の中には、ラジオの事を快く思わない者もいて、意地悪をしてみたり、追い出そうとしたりと、いろいろあるのだけれど、その都度ジョーンズは周りを説得。「ラジオは高校でいろいろな事を学んだけれど、自分たちの方がラジオからもっと学んだ」と力説。
忘れてはならないのが、デブラ・ウィンガー。出番は少ないけれど、ジョーンズの奥さん役。周りから責め立てられて落ち込んでいる夫を、間違ってないと励ます、素敵な奥さん。
なんのヒネリもないけれど、ただただ感動的なお話。
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プリティ・イン・ニューヨーク
(You Stupid Man, 2002,米独, Directed by
Brian Burns, Written by
Brian Burns)
STORY
共通の友人の紹介で、ブラインドデートしたオーウェンとナディーン。でも第一印象は最悪。ところが、なぜか行く先々で遭遇。そして、互いに失恋のグチをぼやき合うようになり、意気投合。そのうち、恋心を抱くようになるナディーンだったが、オーウェンは元彼女に未練タラタラ…
ラブコメですね。なんとなく「恋人たちの予感」のような雰囲気。話の展開も、まぁありがちなのだけれど…
心の傷を慰め合うオーウェンとナディーンの、言葉のやりとりが素敵。バレンタインにお互いのプレゼントを買いに行くシーンでは、オーウェンがナディーンに手鏡をプレゼント。その理由は、「この間は君の笑顔に励まされたから、君が落ち込んだときはこれで自分を見て」。グッときてしまう。
実際のセリフと、心のセリフの使い分けも面白い。口では当たり障りの無いことを言っているのだけれど、心の奥では悪態ついてる。そう言うことってあるよなーと、苦笑い。
強い女のイメージが強い、ミラ・ジョヴォヴィッチが、ここでは可愛い女を演じてます。オーウェンの元彼女役がデニース・リチャーズ。オーエンの兄役が、ウィリアム・ボールドウィン。まぁ、結末はミエミエですが、心がポカポカと温まり、ちょっと気持ちがハッピーになる映画。
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ユアン・マクレガーの「大陸横断バイクの旅」
(Long Way Round, 2004, 英,Directed by David Alexanian,Russ Malkin)
正確に言うと、映画ではなく、TVのミニシリーズ。全7回。ユアン・マクレガーは、映画「ビッグ・フィッシュ」の撮影後、親友のチャーリー・ブアマンを誘って、ロンドンからNYまでバイクで旅をした。そのドキュメンタリー。
シベリアや、モンゴル、カザフスタンあたりが、一番大変だったようです。なにしろ、道が無いのだから。橋だって、渡ってみたら途中で切れてたなんてことも。治安が悪いところもあり、泥沼にはまって転んだり、川を渡ったり。
途中、何度も危ない目に遭っていたし、怪我もしてます。バイクでのカメラ担当クラウディオはテント盗まれました。バイクは本当に何度も壊れ、いろいろな人に助けてもらいながらの旅。それでも、出会った人からの親切、困難な状況でも精一杯生きている子どもたちとのふれ合いなどなど、得たものは多いでしょう。多分、彼ら、人生観が変わったのではないかな。見ているだけでも、勇気がもらえそう。
ユーラシア大陸が特に大変だったようなので、北米大陸に入ってからはあっけないんです。なんたって、道が綺麗なんだもの(^o^;。舗装されてないからと言われた道も、「骨の道」に比べれば全然たいしたこと無い。
けれど、#7での、家族との再会は本当に感動的。家族は、マンハッタンで待っていることになっていたようなのだけれど、ユアンたちには内緒で、その少し前に合流。秘密だったのに、なぜか
ユ「家族が来てたりしないよね??」
チ「子どもたちが来ている気がするんだけど」と雰囲気を感じ取るユアンとチャーリー。なんなんでしょうね。恐るべし、家族愛。
ユアンとチャーリー、本当によく頑張ったと思います。それに、2人はとても良いコンビ。これからも活躍期待しているよ!!
このミニシリーズの本やサントラが出ています。さっそく本を買って、今読んでます。今回の旅のことだけでなく、2人の出会いや、子どもの頃のバイクの思いでなども書いてあって、ユアン・ファンのみならず、バイカーにとっても楽しめる本だと思います。
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ビッグ・フィッシュ
(Big Fish, 2003, Directed by
Tim Burton, Written by
Daniel Wallace(novel),John August(screenplay))
STORY
話好きのエド・ブルーム(老:アルバート・フィニー、若:ユアン・マクレガー)。彼の突拍子もない冒険話に、子どもの頃はワクワクしたものの、大人になってからは真実を語らない父というレッテルを貼り、疎遠になってしまった息子ウィル。エドが余命幾ばくもないと知り、実家に駆けつけたウィルは、父のホラ話の中の真実を見つけ、父を理解する。
父と息子の物語です。が、若かりし頃の父の冒険話、母との出会いなどが、コミカルに描かれています。ホラ話ばかりする父を疎ましく思っていたウィルが、父について知っていく過程、そして父の死を看取る最後のシーンは感動的。
ウィルの母役がジェシカ・ラング、そして父の昔の知人役で、スティーブ・ブシェミや、ヘレナ・ボナム・カーター、ダニー・デビートなど、名優が固めています。中でも、ヘレナ・ボナム・カーターの魔女姿にはビックリ。(猿の惑星の猿メイクもすごかったですが(^o^;)
ユアン・マクレガーは、この映画撮影後に、ロンドンからNYまでのバイクの旅に出発しました。その様子は、11月12日(土)からWOWOWで放送予定です。こちらも楽しめそう。
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シンデレラマン
(Cinderella Man, 2005, Directed by
Ron Howard, Written by
Cliff Hollingsworth)
STORY
ボクサーのジェームズ・ブラドック(ラッセル・クロウ)は、負け知らず。将来有望で、家族と不自由なく暮らしていた。だが、1929年大恐慌がアメリカを襲う。財産を失った彼は、家族を養うために度重なる試合を続けた結果、怪我が治りきらず、成績もふるわないまま免許剥奪。荷下ろしの仕事もなかなかもらえず、食糧を買う金が無いばかりか、電気も止められてしまう。だが、彼には、セカンド・チャンスが巡ってきた…
感動しました。久しぶりに映画館へ見に行ってきたのですが、本当に感動しました。ラッセル・クロウがすばらしい。奥さんを演ずるレニー・ゼルウィガーもいい。ひもじくて、ソーセージを万引きした息子に、「どんなに貧しくても、盗みは決してしてはいけない」とやさしく諭すシーンには考えさせられました。今の自分なら、間違いなく叱りとばしているだろうし、ああいう極貧の状況だったらこっそり食べていたかも…
自信過剰な対戦相手から挑発され、思わず奥さんがシャンパンを相手にぶちまけるシーンでは、ジミーの対応がすばらしい。そこでのタダ飯も、全部食べずにこっそり包んで持ち帰るシーンにも子どもへの愛情を感じます。彼の、家族をなによりも大切にする姿、家族のために、仲間のために戦う姿,、決して諦めない姿が素敵です。そして、彼を支え、身を案ずる妻の気持ちも良く描かれています。久しぶりに見た、すばらしい映画。実話が元になってます。
監督はロン・ハワードですね。ここ数年の彼は、本当にいい仕事をしていますね。拍手!
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スクール・オブ・ロック
(The School Of Rock, 2003, Directed by
Richard Linklater, Written by
Mike White)
STORY
ロックミュージシャンを目指すデューイ(ジャック・ブラック)はギタリスト。でも超自己中で、バンドでも浮き気味。稼ぎがないので、ルームメイトから追い出されそうに。ちょうどそこへ、ルームメイトの仕事 …臨時教員… の仕事が舞い込み、彼になりすまして私立学校へ。でも資格もないし、何を教えて良いものやら… やっぱり教えるのはロック!?
私はてっきり、「やる気のない子どもたちに、先生が勉強の一環でロックを教えて、やる気を出させる」系のお話だと思っていたのですが、違いますね。まず、私立の学校で、みんなとても優秀でマジメ。デューイは偽教師。頭の中はロックだけ。子どもたちは楽器が弾ける → 騙してバンドのメンバーに仕立て上げ、授業中に練習して大会に出場というお話です。
とにかくこの主人公、自分のことばかりで、見ていて腹立たしいのですが、そんな彼が、子どもたちと接することで変化を見せます。相手の事を考えるようになる。子どもたちも、勉強ばかりで無味乾燥、厳しい親や学校に窮屈さを感じていたところへ彼の出現で、明るさを取り戻す。
そして、なんと言っても楽しいのが、彼らの演奏。最初は、先生1人がノリノリで、生徒たちシラケた顔しているのですが、最後はみんないいノリ見せてくれます。こんな演奏ができたらいいなと、バンドやってる者としては憧れますね。
あと、デューイのルームメイト役の、本当の教員、シュニープリー役の人が、この映画の脚本を書いているようですね。これまた興味深いです。
ただ一つ気がかりなのは… 3週間(?)ずっとバンドの練習ばかりで、お勉強の方は大丈夫なの…?
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ピッチブラック と リディック
(Pitch Black, 2000, Directed by David Twohy, Written by Jim & Ken Wheat)
(The Chronicles of Riddick, 2004, Directed by David Twohy, Written by Jim & Ken Wheat)
STORY
まず「ピッチブラック」。未知の惑星に不時着した一行。船に同乗していたはずの、凶悪な脱獄犯リディック(ヴィン・ディーゼル)が逃亡したことを知り、恐怖におびえる。が、本当の敵は彼ではなかった…
そして「リディック」。前作でなんとか惑星を脱出したリディック。5年後、1人凍てつく地に身を隠していたが、賞金稼ぎに狙われる。リディックは、フューリアンの最後の生き残りであり、悪のネクロモンガー軍を倒すことができる、唯一の人物だと言うのだ。さて、どうするリディック?
「ピッチブラック」は、完全なるBムービーです(^o^;。凶悪な脱獄犯リディックですが、不時着した惑星には、もっと恐ろしい生き物が。1人、また1人と殺されていくSFスリラーです。そして、様々な人間模様があり、一匹狼のリディックが少し変化を見せます。その辺りが見所でしょうかね。
そして続編になる「リディック」。こちらは、SF大作ですね。続編とは言いつつ、つなぎ方はかなり強引。リディックが主役ということ以外、もう前作とはまったく別のお話と言っていいでしょう。ただ、前作で一緒に脱出した人物が、彼の「大切な人たち」という形ででてきます。最後は、無欲の勝利という気がします。
どちらにも共通するのがリディックことヴィン・ディーゼル。いいですね、彼。最近のお気に入りです。単なる完全無欠のヒーローではなく、アウトローなのがいい。ピッチブラックとリディック、違うお話とは言え、リディックの気持ちの変化(心の成長?)ぶりを見比べてみるといいと思います。
リディックは、どう見ても続くぞという感じの終わり方だったので、続編ができるのではないかと思います。
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トロイ
(Troy, 2004, Directed by
Wolfgang Petersen, Written by
Homer(poem),
David Benioff(screenplay))
STORY
言わずと知れたトロイ戦争のお話。トロイの王子パリスが、スパルタの王妃を奪ったため、ギリシャ軍がトロイを攻撃。城壁に守られていたトロイの国に攻め入るために、ギリシャ軍は木馬を作り…
トロイ戦争の知識って、木馬くらいのもんだったので、新鮮な気持ちで映画を見ました。ギリシャ軍のアキレス(ブラッド・ピット)は、無敵の戦士ではあるのですが、アガメムノン王を良く思っていないため、トロイに攻め込む事自体、いまいち納得していません。立場上、やむなく参戦してはいますが、葛藤しています。また、トロイの王子ヘクトル(長男、エリック・バナ)は、パリス(次男、オーランド・ブルーム)がスパルタの王妃を奪ったと知った段階で、こうなることを予見し、どう行動すべきか悩みます。でも、やっぱり弟を見捨てられない。
そして戦いは始まり、大勢が死に、ついにアキレスとヘクトルの一騎打ちに。ここは一番の見所でしょうかね。ヘクトル実にいいです。
一番ムカつくのは、パリス。全ての原因はおまえにある。最後まで頭に来る奴です。最後の最後、「レゴラス」になってて、ちょっと笑えましたが。
かなりの長編ですが、飽きることなく、見応えありました。
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コールド・マウンテン
(Cold Mountain, 2003, Directed by
Anthony Minghella, Written by
Charles Frazier(book))
STORY
父(ドナルド・サザーランド)と共にコールド・マウンテンにやってきたエイダ(ニコール・キッドマン)。そこでインマン(ジュード・ロウ)という男性と知り合う。まもなく南北戦争が始まり、男性は南軍兵士として戦場へ。残されたエイダは、次々と不運に見舞われ、インマンの帰りを祈る…
エイダとインマンの愛の物語で、彼女を思ってインマンが脱走し、コールドマウンテンを目指すお話です。が、それだけではなく、始めはお嬢様で、家事一つできなかったエイダが、ルビー(レニー・ゼルウィガー)と出会ったことで、タフになっていくところは見ていて素敵。レニー・ゼルウィガーの南部なまりの演技が光ります。また、インマンが脱走中に、いろいろな人を助けるのですが、インマンの存在意義というものを考えさせられました。彼は、それぞれの場所で、まさに「必要だった」。
それにしても、戦争というものの無益さが心に残りました。「パトリオット」は男性から見た南北戦争の映画という感じでしたが、こちらは、女性から見た南北戦争のお話という感じです。
ここ数年のニコール・キッドマン、ノリに乗ってます(離婚してから?)。出演作もかなり多いですが、どれもすばらしい作品ばかり。さらに輪をかけて、レニー・ゼルウィガーがすばらしい。この映画で、2004年アカデミー助演女優賞を受賞しています。
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キリクと魔女
(Kirikou et la sorciere, 1998, フランス・ベルギー・ルクセンブルグ,Directed by
Michel Ocelot, Written by Michel Ocelot)
(アメリカでのタイトルは、Kirikou and the Sorceress )
STORY
アフリカのとある村に、1人の赤ちゃんが自分で生まれてきた。名前はキリクだと言う。彼は帽子に入れるほど小さいにも関わらず、好奇心は人一倍強かった。1人で歩けるし、自分のしたいこともわかっている、不思議な子どもだった。彼は、村には魔女カラバの呪いがかけられ、戦いに出た男たちは、1人も戻ってこないことを知り、「なぜ魔女は意地悪なのか?」という疑問をもち、魔女の家へと向かう。
なんとも不思議なお話です。シーンがすべて絵になりそうな、素敵なアニメーションです。小さな小さなキリクですが、とても賢く、そしてとても勇敢。小さな体を利用して、魔女の監視をすり抜けて近づく。そして知った意外な事実。大人も子どもも楽しめる作品です。
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ラブ・アクチュアリー
(Love Actually, 2003, 英・米, Directed by Richard Curtis, Written by
Richard Curtis)
STORY
舞台はクリスマスまであと数週間のイギリス。英国首相(ヒュー・グラント)を初め、さまざまな人たちの、さまざまな愛の形を描いた、ほのぼのとしたヒューマンコメディ。
秘書の1人が気になって仕方がない英国首相。再起をかけて、かつてのヒットソングの焼き直しを歌う、落ちぶれたロック歌手ビルとマネージャーのジョー(ボルディマンです!)。友人の結婚式を盛り上げるために奮闘するが、実はその相手(キーラ・ナイトレー)に恋をしている男。アメリカへ行けばモテるに違いないと、ナンパ旅行へ出かける青年。田舎で執筆活動中に、言葉の通じないお手伝いさんと恋に落ちる作家(「ブリジット・ジョーンズの日記」のコリン・ファース)。妻を亡くし、義理の息子の恋の手助けをする男性(リーアム・ニーソン)。首相の妹で、夫(アラン・リックマン、スネイプ先生ですね)の浮気に悩む女性(エマ・トンプソン)。職場の男性に惹かれつつ、病気の弟を気遣って行動に移せない女性(ローラ・リニー)などなど。
とにかく、いろいろな人が、いろいろな愛の形を見せてくれます。出演者も豪華。Mr.ビーンこと、ローワン・アトキンソンが店員、ビリー・ボブ・ソーントンが、アメリカ合衆国大統領、さらに、アメリカでのナンパに成功した青年が連れて帰った美女役で、デニース・リチャーズが。
クリスマスには、本当の気持ちを話すということで、いままで抑えていた気持ちをうち明ける人々。うまく行く人ばかりではありませんが、ジーンとくるお話です。
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シカゴ
(Chicago, 2002, Directed by Rob Marshall, Written by
Maurine Dallas Watkins(play))
STORY
1920年代のシカゴ。スターになることに憧れ、コネがあると言う男と浮気をしていたロキシー・ハート(レニー・ゼルウィガー)。だが、単に騙されていただけと気づいた彼女は、男を射殺。投獄されると、そこには憧れのスター、ヴェルマ・ケリー(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)が。ヴェルマは、夫と浮気をしていた妹を殺して投獄されていたのだった。2人が依頼した腕利き弁護士(リチャード・ギア)、ロキシーの夫、刑務所の看守(クイーン・ラティーファ)などを巻き込んでの裁判劇… 果たして結果は??
ミュージカルです。私、ミュージカルは苦手で(^o^;、最後まで見ていられないのですが、これはお気に入りです。2003年のアカデミー賞授賞式で、臨月間近のキャサリン・ゼタ・ジョーンズとクイーン・ラティーファ(巨漢ペアでした)が、ものすごいパフォーマンスを見せてくれたのですが、なんとも曲がすばらしく、この時点でハマり、映画が日本に来る前に、サントラを買ってしまいました。全員自分で歌っています。もちろん、リチャード・ギアも。意外と甲高い声で、歌と踊りを披露してくれます。
授賞式で激太りだったキャサリン・ゼタ・ジョーンズ、もうすっかり戻りましたね。さすが女優。すばらしいです。
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華氏911
(Fahrenheit 9/11, 2004, Directed by Michael Moore, Written by Michael Moore)
一応ドキュメンタリーということですね。華氏911と言うのは、レイ・ブラッドベリ原作の「華氏451」というお話(焚書坑儒ですか、紙が燃える温度を意味するようです)のタイトルのパクリで、「自由が燃える温度」 → 9月11日のテロと引っかけてのタイトルだそうです。
テロの首謀者は、オサマ・ビン・ラディンとされているにも関わらず、彼はまだ見つかっていない上に、いつの間にか矛先がイラクに向けられ、でっち上げの証拠で戦争まで仕掛けたブッシュ大統領。彼と、ビン・ラディン家、サウジの駐米大使バンダル王子とのつながりなど、マイケル・ムーア監督が、興味深い内容を暴いてくれます。
華氏911と1/2と言うのも制作するようですね(^o^;。興味津々です。
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ボウリング・フォー・コロンバイン
(Bowling for Columbine, 2002, Directed by Michael Moore, Written by Michael Moore)
1999年4月、コロラド州コロンバイン高校で、生徒が銃を乱射し、13人を殺害。でもなぜ? なぜアメリカ人は互いを殺し合うのか? ムーア監督は問いかけます。
監督自身、全米ライフル協会の会員でありながら、会長であるチャールトン・ヘストン邸にアポなしで押し掛け、インタビューを試みたり、乱射事件の被害者(現在も体内に弾が残っているそうです)を連れて、Kマートに押し掛け、簡単に弾丸が買えるのは問題だと詰め寄り、販売を段階的に減らし、最終的にはやめると言う約束をとりつけたり。
口座を作ると、もれなくライフルをプレゼントしてくれると言う銀行や、監督の出身地ミシガン州フリントで、6才の少年が6才の少女を射殺した事件の直後、チャールトン・ヘストンがフリントでライフル協会の大会を開いた事実。監督は、ヘストン邸を去る際、犠牲となった少女の写真をそっと置きました。
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マスター・アンド・コマンダー
(Master and Commander: The Far Side of the World, 2003, Directed by Peter Weir, Patrick O'Brian(novel))
STORY
19世紀初め、ナポレオン時代のブラジル沖。イギリス海軍、ジャック・オーブリー艦長(ラッセル・クロウ)率いるサプライズ号は、より大型で、速度の速いフランスの武装船アケロン号に襲われる。オーブリー艦長は、果敢にもアケロン号との戦いに挑む…
時代背景も良くわかんない、戦争物、しかも船… と言うことで、初めから睡魔と戦うことを想定して見始めたのですが、とんでもない!! 見応えありました。指導力バッチリの艦長役ラッセル・クロウはすばらしい。貫禄あるし、決断力も統率力も申し分なく、まさに格好良い奴。船関係の用語は、わからないことが多かったのですが、それでも最後まで目が離せませんでした。
ただ、無理矢理徴兵されたと思われる水兵たちと、士官候補生たちの身分の違いや、クライマックスの戦闘シーンを見ていると、悲しい気持ちになりました。同じ人間同士が戦って殺し合うことに意味があるとは思えないからです。まだ子どものような士官候補生たちが、次々と命を落としていきました。そう言う時代があったと言うことですね。
船員の1人ボンデン役で、ロード・オブ・ザ・リングのピピンことビリー・ボイドが出ています。また、ジャックの親友かつ船医役は、下述のドッグヴィルのトム役の人です。
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ドッグヴィル
(Dogville, 2003, デンマーク, Directed by Lars von Trier, Written by)
STORY
行き止まりの村、貧しい村ドッグヴィル。村人全員知り合いという状況の中へ、ある日突然、グレイス(ニコール・キッドマン)という女性が逃げ込んでくる。村のリーダー、トムは、彼女をかくまうことに。次第に村人にとけ込むグレイス、物語はほのぼのと進むが…
ニコール・キッドマン主演、ナレーターがジョン・ハート、ギャングのボス役でジェームズ・カーン、村人役でローレン・バコールと、かなりの豪華メンバー。ですが、撮影はすべてセットの中。しかも、ドッグヴィルの村のセットは、壁も何もなく、本当に舞台セットのまんまです。初め、なんじゃこりゃと思いましたが、それ以外はとてもシリアスなお話。
最後はショッキングです。そして、この舞台セットならではの見せ場が。人が環境を作り、環境が人間性を作る。閉鎖的な村の中で、新しいことをなかなか受け入れられない人々。そしてとる身勝手な行動。見ていて、いろいろな事を考えさせられました。
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ライフ・オブ・デヴィッド・ゲイル
(The Life Of David Gale, 2003, Directed by Alan Parker, Written by Charles Randolph)
STORY
死刑執行が近づいたデヴィッド・ゲイル(ケビン・スペイシー)は、記者のビッツィー(ケイト・ウィンスレット)に自分を取材するよう申し出る。デヴィッドは、死刑廃止を求める活動家で、仲間の活動家コンスタンス(ローラ・リニー)殺害容疑。彼の無実を直感したビッツィーは、彼の話を元に調査を始め、意外な事実を突き止める。
一見、よくあるお話です。死刑囚なんだけど、調べたら無実がわかって… とその手のお話だと思ってみていたら、もう一ひねりあったのです。「死刑廃止を訴えている人物」というのがポイントでした。真実に近づいて行くまでと、結末のわかる後半が、見応え有ります。
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パトリオット
(The Patriot, 2000, Directed by Roland Emmerich, Written by
Robert Rodat)
STORY
1776年、アメリカ、サウスカロライナ。子どもたちと農場で幸せに暮らしていたベンジャミン・マーティン(メル・ギブソン)。イギリスから独立しようと民衆は立ち上がったが、ベンジャミンは反対。だが、長男は志願して出て行ってしまう。やがて戦争は始まり、農場にもイギリス軍がやってくる。残忍な彼らに息子を殺され、ベンジャミンは立ち上がる…
独立戦争のお話です。時代的にもよくわからないし、戦争って好きじゃないし… と思って見たのですが、感動しました。ベンジャミンは、かつてネイティブアメリカンとの戦いでヒーローと呼ばれた人物。にもかかわらず、独立戦争には最後まで反対します。戦争ではなく、話し合いでなんとかしたかった彼の思いは、息子を殺されて一変。タフな戦士に変わります。仲間を集めて独自の軍隊を作り、ゲリラ戦法。でも、格好良いだけの戦争物ではありません。失う物も多く、彼が最後まで反対していた理由もよくわかります。
ベンジャミンの敵役として、ジェイソン・アイザックス(イギリスのドラマ「キャピタルシティ」のチャス、そして、「ハリー・ポッター」シリーズのルシウス・マルフォイなどなど)が、憎々しい演技をしています。チャスはいい役だったのにな〜
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君に読む物語
(The Notebook, 2004, Directed by
Nick Cassavetes,
Nicholas Sparks(novel),)
STORY
老人ホームで、老女(ジーナ・ローランズ)に物語を読んで聞かせる老人(ジェームズ・ガーナー)。とある若い男女の恋の物語。貧しい労働者ノアは、町に休暇でやってきた金持ちの娘アリーに一目惚れ。2人は恋に落ちるが、アリーはやがて去ってゆく…
久しぶりに映画館で見た映画です。ノアとアリーの恋の物語。貧乏青年と金持ち娘が恋に落ち、やがて金持ち娘は去ってゆく。一夏の恋で終わるはずだったものが… 現在話を読んでいる老人がノア、読んでもらっている老女がアリーらしいと言うのは、見ていてわかってくるのですが、最後はちょっと悲しい終わり方です。ハッピーエンドと言えなくもないですが。恋愛もの+老人介護的内容ですね。
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アイデンティティ
(Identity, 2003, Directed by James Mangold, Written by
Michael Cooney)
STORY
嵐で道路がふさがり、安モーテルに集まってきた人々。売れない女優(レベッカ・デモーネイ))とその運転手(ジョン・キューザック)、車にひかれた妻を運んできた夫と息子、護送中の囚人と刑事(レイ・リオッタ)、娼婦(アマンダ・ピート)、若いカップル。彼らが、1人ずつ殺されてゆく。犯人はわからず、みんなは不安に。最後に残るのは誰? そして最後にわかる意外な真相。
全く別の人生を歩んできたと思われる人々ですが、みんななにかワケありに見えます。なぜ殺されるのかも、誰が殺しているのかも全くわからず。ところが、彼ら全員には意外な共通点があることがわかり、驚きの展開。最後まで目が離せないお話です。
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