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Michael Pitつれづれ 次のページへ
電話番号、電話番号!

(1992.夏)
『キッスだけでいいわ』への出演が決まった時から、私はフィリピンの女性がどんなものの感じ方・考え方をしているのか実際に会って確かめたいとおもっていました。

ちょうど私の友人の中でアルバイト先にフィリピン女性がいる人がいて、その友人を通じて芝居の役作りのために会って話を聞きたいとお願いしてみたところ、OKとのこと、そこで七夕の日の夕方5時に赤坂見附の喫茶店で会うことになりました。

彼女の名前はロザリー、21歳。とても大人っぽく見えます。17歳の時ルソン島から日本へダンサーとして働きにきたそうです。スペイン系の血を引いていることが一目で分かるチャーミングな顔立ち。日本語が大変上手で、おかげで私も安心して色々質問ができました。

ロザリーはフィリピンでプロダクション(海外労働の斡旋会社)に入り、毎日歌や踊りのレッスンを重ねたそうです。そして日本人の主催するオーデションに合格し、興行ビザを取り、ダンサーとして日本に4年前にやってきました。今は日本人男性と結婚し荻窪に住んでいるといいます。

「日本に来て寂しくなかった?」
「とても寂しかった。だから電車やデパートの中でフィリピン人らしい人を見かけたら"あなたフィリピン人か?"と尋ねて、"そうだ"と言われたら"電話番号、電話番号!"と言って教えてもらった。そうやって友達を増やしていった。今はいっぱい友達いるよ。」
「フィリピン人の長所というか、"いいな〜"と思うところってなあに?」
「とにかく明るいところ。みんな明るい。女性は時間があれば仕事をみつけてよく働く。
でも男性はだめね。仕事なければお酒飲んでねているよ。」 
「そうなんだ(笑)。日本でフィリピンの友達と会うとどんな事を話すの?」
「一番に、今の働いているお店の事を話すよ。みんなお店のこと話す。
ここのお店いい、悪い。いやなお客さんの話しもするよ」
「家族の事とか話さないの?」 
「する....」
「日本語うまいねえ〜。(日本に来て)すぐ覚えたの?」
「初めはフィリピン人ばかりしか働いていないお店にいたからタガログ語ばかり覚えてて全然日本語覚えられない、だめね・・・。
だから日本人もいるお店に移って日本語一生懸命覚えた。日本のお客さんと話ができないのは悪いから、はやく覚えたかった。」
「さっきフィリピン人のいいところを聞いたけど、今度は日本人のいいところってなあに?」
「う〜ん・・・(暫く考えてから笑って)難しい・・・。わからない。」



そのほかにもいろいろ話をしているうちにロザリーの出勤時間になってしまい、彼女はかわいらしい笑顔を残して赤坂見附のお店へ向かっていったのでした。

この会見を通して、遠い南国フィリピンから働きに来ているフィリピーナ達はとてもたくましくしたたかに生きているなと感じました。ロザリーは別れ際に「芝居絶対観に行くよ。台本できたらタガログ語教えるよ。」と約束してくれました。

彼女には是非また会いたいと思っています。

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