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Michael Pit海外にも行ってみました 前のページへ 次のページへ
再び中国 --北京での日々--Part2


中国の街角 中国の街角

北京では会いたい方がいました。中国の中央実験話劇院の俳優達によって青年劇場の『愛が聞こえます』が上演されるのですが、その台本翻訳の仕事をされているソウ・リンシュンさんで、日本語の堪能な方です。幸い8月18日の2時にホテルのレストレンでソウさんを囲む会をすることができました。

ソウさんは76歳で、日本で言えば大正生まれになります。旅順市生まれで、子供時代はちょうど日本の占領期にあたり、日本語を強制的に話させられたといいます。師範学校卒業後に義務として3年間教員をして、1948年に日本語が話せるということで演劇の仕事をすることになったそうです。

ソウさんから聞いた最近の中国演劇事情は次のようなものでした。

毛沢東時代はチケット代は安かったそうですが、最近はとても高い。芝居のチケット代はだいたい100元で、中国人の一般の給料が600元から700元としたら、やはり高いと言えます。だからお金をだして芝居を観るより、家でテレビを見ていたほうが良いということになるようです。まだまだ一般庶民の生活の中に演劇を観る習慣はないようですね。最近の中国の若い人達が上演したがる芝居には前衛的・不条理的なものが多く、ソウさんなどはよくわからないそうですが、高校生達は喜んで観るとのことです。日本でも何が言いたいのかわからない芝居が多いので、この話には納得させられました。

俳優の給料は月1000元で、これにテレビ・映画のギャラが入り、一般労働者の給料よりわずかに良い。だからこの不況時、俳優・歌手になりたがる若者が多いそうです。もっとも、有名な俳優は芝居だけで生きていけますがそうでない俳優は芝居以外にアルバイトをこっそりしているとのことで、物価水準が多少違うものの日本も中国も演劇人の生活は同じようなものと思えました。

『愛が聞こえます』の上演については、中国の俳優達がまだやる気を起こしてない(日程が未決定)ので、困っていると言われました。なんとかしなければ....と言うソウさんの言葉は静かでしたが、熱い思いは伝わってきて、とてもうれしくなりました。

ところでこの中国版『愛が聞こえます』の上演ですが、最近(1999年暮れ)やっとはっきりとした日程が決まりました。2000年9月28日国際聾唖者デーに北京にて初日の幕を開けます。この上演に際して中国側から、電動車椅子がないので日本から送ってほしいとか、いろいろ協力してほしいので中国に来てほしいのだが訪中のお金が出せないのでそちらでもってしいとか、なんだか調子のいい注文が多いのです。やっぱり何がでてくるかわからない国、大らかなのか強引なのか判断に迷う不思議な国ですね。

北京では初めて一人でタクシーに乗って出掛け、チャイナドレスとおみやげを買い、一人で食事をして、一人でタクシーに乗って帰りました。ホテルに着いたとき、なんだかちょっとたくましくなったようでうれしかったです。今回の中国の旅もまた、ほんの少し私を成長させてくれたように思います。また行きたいですね。

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