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組曲『悪魔の飽食』上演風景 
 
『初恋物語』の後に15分ほどの休憩があり、第2部は森村誠一氏のお話からでした。 
             
 
「今夜はありがとうございます。『悪魔の飽食』は731部隊がテーマです。日本軍は日中戦争時、ハルピン郊外に731部隊をつくりました。中国人・朝鮮人・ロシア人・アメリカ人など3000人を対象に、非人道的な数々の実験を行いました。これは日本が徹底的な兵器を持っていなかったため、細菌を兵器にしようと考えたからです。これらの捕虜たちは「マルタ」と呼ばれました。「マルタ」とは「材木」の事。「マルタ」は3つのランクに分けられました。 
 
A・・・ 
 健康者。伝染病感染実験に使われました。 
B・・・ 
 Aの実験後、凍傷実験に使われました。 
 ひどい凍傷で腕や脚がなくなって「だるま」のようになってしまいます。 
 でも、手・足・耳・鼻を失っても人間は生き続けるのです。 
C・・・ 
 Bの実験後、毒ガス実験に使われました。 
 (さらに日本軍は、Cのあとも)「マルタ」を10人並べて、 
 端から銃を撃って弾がどこまで(身体を)貫通出来るかの実験をしたのです。 
 
....私は同じ日本人がこのような事がなぜ出来たのか、信じられませんでした。しかも残念な事に、日本軍が中国においてやった事は、(今の)日本人の中では認識が薄いのです。 
 
この町を歩いていても、だれも私を日本人と思わない。皆さんも日本(の町)を歩いたら、中国人とわからない。それほど似通っている人間が、なぜ戦争をしたのかわからない。私は二度と両国が戦争をおこさないためにこの作品を書きました。この作品を中国人民の前で歌うのはつらい。せめて私たち日本人の良心だと思ってほしいです。音楽を楽しんでいただくことが、亡くなった3000人の方達の鎮魂になると思います。」 
             
 
私は中国の会場に入った時から、「多くの中国の人達に囲まれながらこの歌を聞くのは、なんだかつらく恥ずかしい・・・」、そんな気持ちになっていました。でも森村氏の「二度と両国が戦争をおこさないためにこの作品を書いた」という言葉を聞き、舞台の上でこの歌を真摯な眼差しで歌っている日本の方たちの姿を見て、「日中友好・平和を一緒に築く」、こんな言葉と共に感動の渦につつまれている自分に気づきました。 
 
前日に731部隊に関する体験談をうかがった靖福和さんが、カーテンコールで、 
「この音楽を聞くのは複雑な気持ちです。でも日中友好のため一緒に頑張りたいと思う」 
と言われたとき、改めて中国の人達の心の大きさを噛みしめました。「この感動の思いを絶対に忘れないで、私の周りの人達に話そう」。本当にこの「中国の歴史と平和の旅」に来てよかったです。 
 
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