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Michael Pit海外にも行ってみました 前のページへ 次のページへ
中国 --ハルピンにて--Part1

(1998.夏)
ハルピン駅にて ハルピン駅

知り合いの方のグループ旅行に混ぜていただいて、初めて中国に旅行に行きました。この旅行では帰国後に感想文集を作ることにしていて、わたしも担当することになり、ハルピンという街に立ち寄ったときのことを書くことになりました。以下はそのときに書いた文章に加筆したものです。

街に到着した私たちは、さっそく『731部隊罪証陳列館』という施設に向かいました。実験に使われた器具が陳列されているのを見たあと、生存者のひとりである靖福和さんというかたにお話しをうかがったりしました。とても怖く、そしてなさけない。なにか現実離れしていて、頭ではわかるのですが心が拒否していた気がします。


ここでは、なんと偶然にも日本から来た「森村誠一著『悪魔の飽食』混合合唱組曲 中国公演」の一行に出逢いました。中国に行く前にこの公演の事を新聞で読んで知っていたので、「ここでせっかく出会えたのだから、なんとしてでも公演を観たい」。ハルピンのガイドさんと同行のかたのご尽力のおかげで満州に来られている森村誠一さんとコンタクトがとれ、翌日に観に行けることになりました。

このとき中国はあちこちの大河が氾濫してたいへんな状態でした。ハルピン市内を流れる松花江という大きい川もかなり水かさが増していました。でも翌18日の19時30分、公演が行われる「ハルピン北方劇場」の前は人、人、人の大混雑で、2000人ほどを収容する会場の中も子供や大人、解放軍の青年たちでごったがえしています。「さすが中国の人達は、この公演に関心があるんだな」。


開演の最初に、今回上演される混合組曲の『初恋物語』および『悪魔の飽食』を作曲した渡辺晋一郎氏が「洪水で大変な時をありがとうごさいます」とご挨拶を始められました。

「『初恋物語』は、若い恋人達が命を通じて戦争の悲惨さを表しているものです。日本という国が、命を国に捧げるのが大切だと国民に言っていた悲しさが、この詩に表れています。
『悪魔の飽食』は1984年に作曲しました。作詞の森村さんは原作をドキュメント文学として書かれました。日本人は、この本を読んで大変ショックを受けました。

私はこの曲を、(戦争の)悲しい歴史をふまえた上で、日中友好をめざして、輝く方向に持っていくようにしました。(今日は)またいつか人間がこのような(題材の)音楽を歌ったりしないようにするために歌いたいと思います。

大きな深い心を持った中国の中で、日本はわがままな弟だったような気がします。でも実は(やはり)兄弟だったと私は思います。今日は日中友好のために演奏できて、本当にうれしいです。」

お話が終わって、会場は大きな拍手につつまれました。私はこの拍手に接して、改めて中国の人達の深く広い「心」を感じました。

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