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            | (1997.春) |  
          
            3月5日、いせ演劇鑑賞会からスタートした初春の旅公演でのことです。 
 
確か、津から四日市に移動する朝、同じ公演班のひとからお誘いがありました。「いま話題のミュージカル『シー・ラブス・ミー』」を名古屋で上演していて、市村正親、涼風真世、それに鈴木ほのかが出演しているの。見に行かない?」。 
 
鈴木ほのかさんとわたしは今から14年前に故いずみたく氏のミュージカル養成所で歌・ダンス・芝居の勉強をしていた同期なのです。その後、彼女は帝劇の『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』などに重要な役で出演するなど、ミュージカルスターとしてがんばっているのです。 
 
「彼女とまた会ういいチャンスかもしれない」、そう思ったわたしはチケット取りに鈴木さんの出演している劇場に電話してみました。取り次ぎのあと、「大嶋さ〜〜ん、どうしたの〜〜」と、いまにもミュージカルナンバーを歌い出しそうな懐かしい声が聞こえてきました。 
 
快くチケットを取ってくれ、3月10日に劇団員6人で観劇に行きました。鈴木さんは香水屋につとめるちょっと男好きで軽い女性を魅力的に演じていました。歌唱力は抜群!2,3年前の彼女とは比べものにならないくらい成長していました。(適役と言えました。とてもよかった!) 
 
終演後、劇団員みなで楽屋に行き、鈴木さんは公演の疲れがあるにもかかわらず丁寧に応対してくれました。 
 
彼女から「あのころ一緒に勉強していた仲間はずいぶんいたけど、いまではわたしたち二人だけになったね」と言われたときにはなんだか妙にしんみりしてしまいました。「大嶋さんってぜんぜん変わらない」「ほのかだったそうだよ」。ぽんぽんと何気なく交わした会話がとても懐かしく嬉しかったです。8年ぶりに合ったのですが「これからは東京でもたまには会って飲みに行こうよ」と再会の約束をして楽屋をあとにしたのでした。 
 
  
 
思いがけないところで意外なひとに出会うことも本当にあるものです。これからも演劇を続けていく力を与えてくれた鈴木さんとの心温まる出会いの会ったこの旅は、ずっと忘れられないものになることでしょう。 
 
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