今日は日曜日です。
準はお昼ご飯のラーメンを食べながら、考えごとをしています。
「どうした、準。あ、またもらしたのか?」
「…今日は違うもん」
お父さんの軽口にも、あまり乗ってきません。
「学校でいやなことでもあったのか?」
「ちょっとね…」
「ふうん。…なあ、ご飯食べたら、ちょっと出かけないか」
「うん、いいよ」
昨日までの雨も上がり、とてもいいお天気です。準は、車の後部座席から、お父さんに話しかけました。
「あのね、仲良しの友だち二人が、けんかを始めちゃったの。二人とも、もう口きかないとか言ってるんだ」
「そうか」
「それでね、ぼく、どっちの味方をしたらいいのかわかんなくて」
「なるほど。で、準は二人のどちらが正しいと思うんだ?」
「わかんない。どっちもどっちだと思うけど…」
「じゃあ、準はどっちと仲良くしたいと思うんだ?」
「二人とも好きだよ」
「だったら、どっちとも友だちでいたらいいじゃないか」
「だけど、間に入って大変なんだけど」
「せっかく友だちになったんだから、どっちを選ぶとか感心しないな」
「だったら、どうしたらいいの。二人を仲直りさせるなんて、ぼくにできるかなあ」
「準は、今まで通り二人とも仲良くすればいいじゃないか。その二人だって、もともと友だちなんだから、そのうちきっと、前みたいに仲良しに戻ると思うけどな」
「そうだねえ」
準はこくりと頷きました。
「ほら、着いたぞ」
車を降りると、そこは一面の菜の花畑でした。
「うわぁ、きれい」
準は歓声を上げました。うららかな陽気のなか、春風が菜の花をなでて渡っていきます。準は、両手を広げて風を感じました。
…明日、二人と話をしてみよう。
なんだか、二人を仲直りさせることが、できそうな気がしてきました。準の気持ちのなかにも、そっと春が訪れたような、日曜日の午後でした。 |