「お父さん、ぼく大変なことしてしまった・・・」
日曜日の夜、夕食後お父さんがくつろいでいると、準が話しかけてきました。
「またもらしたのか」
「そ、そうじゃなくて・・・」
お父さんは軽口をたたきますが、準は真剣な顔です。
「どうしたの?」
「あの、ほら、今日は父の日でしょ」
「そうだっけな」
「で、いろいろプレゼント考えてたんだけど、いいの思いつかなくて。お小遣いもうないし、肩たたき券とかは月並みだし・・・」
「そうか・・・」
「ごめんなさい」
準はお父さんに謝りました。
「ようし、準、裸になれ」
「へ?」
「いっしょに気持ちいいことしよう」
「お、お父さん?!」
「どうだ、準。気持ちいいだろう」
「ああっ、とてもいい感じだよ」
・・・って、別にお父さんが趣味に走ったわけではありません。二人はいっしょにおふろに入っているのです。お父さんは、息子の背中を流してやりながら言いました。
「準、おまえ垢だらけだぞ、ちゃんと洗ってるのか。風呂でなにやってるんだ」
「え、・・・まあいろいろとね」
「お母さんとは、一緒にはいってるんだろ」
「う〜ん、時々だけど・・・」
お父さんは準の背中にお湯をかけてやりました。
「よし、今度は準がやってみろ」
「うん」
スポンジにたっぷり石鹸をつけて、今度は準がお父さんの背中を洗います。
「だめだめ、もっと力入れなきゃ」
「うん」
準は、力を込めてこすりました。
「お父さん、ごめんなさい」
「え、何が?」
「ほら、父の日のこと・・・」
「ああ、それだったら、今やってくれてるのがプレゼントだよ」
「・・・?」
「こうやって息子とスキンシップが楽しめるなんて最高だよ。またいっしょに入ろうな」
「うん!」
その日の学校に出す日記に、準はこう書きました。
− 今日ぼくは、お父さんとおふろでサロンシップしました −
・・・言葉の意味はわかってないが、お父さんが喜んでくれてとてもうれしい準くんでした。 |