泣いている準
第8話:クラスマッチ
 今日の5時間目は、4年生全クラス合同の体育です。クラス対抗という形で、いろんな競技をすることになっています。
 準たち3組Bチームは、長縄跳びをすることになりました。
 ・・・な、なんでこんな季節に長縄跳びなんか・・・。
 準はいやでいやでたまりません。準は運動全般が不得意なのですが、長縄跳びは大の苦手なのです。いつだってタイミングが合わずにひっかかってしまい、一度だって上手く跳べたことがありません。それに、ロープにあたると痛いので、大嫌いなのです。

 いよいよ、準たちの順番が来ました。全員が中に入って回数を競うこの競技、まずはみんな跳べなくては話になりません。
 ひとり、ふたり・・・みんなうまく中に入っていきます。そして、いよいよ準が入る番になりました。
 しかし、なかなか入る勇気が出ません。心臓がどきどきして、思わず立ちすくんでしまいました。
 「何やってるんだよー」
 「早く跳べよ」
 みんなが口々に言います。準は仕方なく覚悟を決めて、目をつぶって飛び込みました。
 「えいっ!」
 ぱちん!という音がしました。
 「いてっ」 
 準は足を引っかけてしまったのです。その反動で、思わずしりもちをついてしまいました。
 「あーあ・・・」
 「何やってるんだよ」
 みんなが非難の目で準を見ています。準は地べたにぺたりと座ったまま、立ち上がれずにいます。
 「おまえのおかげで台無しだよな。ほんと、ダメなやつだな」
 なかでも、準の後に跳ぶ予定だった海田(かいた)くんという子が、なじるように準に厳しい言葉を浴びせます。海田くんは、何となくクラスのみんなから怖れられている存在なのです。
 ・・・そんなに言わなくっても・・・。
 なんだか自分が情けなくなって、おもわず涙が出てきました。でも、みんなが見てるのでいつまでも泣いているわけにはいきません。準は体操服で涙を拭いて立ち上がりました。
 「おい」
 海田くんが準の腕をつかまえました。
 「今日の帰り、俺につきあえよな」
 「・・・はい」
 海田くんににらまれて、準は思わず返事をしてしまいました。
 ・・・一体、なにするつもりだろう。
 準の胸に不安がよぎりました。

 海田くんに目を付けられた準の運命は・・・。 −続く−

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