今日の5時間目は、4年生全クラス合同の体育です。クラス対抗という形で、いろんな競技をすることになっています。
準たち3組Bチームは、長縄跳びをすることになりました。
・・・な、なんでこんな季節に長縄跳びなんか・・・。
準はいやでいやでたまりません。準は運動全般が不得意なのですが、長縄跳びは大の苦手なのです。いつだってタイミングが合わずにひっかかってしまい、一度だって上手く跳べたことがありません。それに、ロープにあたると痛いので、大嫌いなのです。
いよいよ、準たちの順番が来ました。全員が中に入って回数を競うこの競技、まずはみんな跳べなくては話になりません。
ひとり、ふたり・・・みんなうまく中に入っていきます。そして、いよいよ準が入る番になりました。
しかし、なかなか入る勇気が出ません。心臓がどきどきして、思わず立ちすくんでしまいました。
「何やってるんだよー」
「早く跳べよ」
みんなが口々に言います。準は仕方なく覚悟を決めて、目をつぶって飛び込みました。
「えいっ!」
ぱちん!という音がしました。
「いてっ」
準は足を引っかけてしまったのです。その反動で、思わずしりもちをついてしまいました。
「あーあ・・・」
「何やってるんだよ」
みんなが非難の目で準を見ています。準は地べたにぺたりと座ったまま、立ち上がれずにいます。
「おまえのおかげで台無しだよな。ほんと、ダメなやつだな」
なかでも、準の後に跳ぶ予定だった海田(かいた)くんという子が、なじるように準に厳しい言葉を浴びせます。海田くんは、何となくクラスのみんなから怖れられている存在なのです。
・・・そんなに言わなくっても・・・。
なんだか自分が情けなくなって、おもわず涙が出てきました。でも、みんなが見てるのでいつまでも泣いているわけにはいきません。準は体操服で涙を拭いて立ち上がりました。
「おい」
海田くんが準の腕をつかまえました。
「今日の帰り、俺につきあえよな」
「・・・はい」
海田くんににらまれて、準は思わず返事をしてしまいました。
・・・一体、なにするつもりだろう。
準の胸に不安がよぎりました。
海田くんに目を付けられた準の運命は・・・。 −続く−
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