おだんごを食べてる準
第3話:おだんご
 今日のおやつはおだんごです。
 「確か、前はおだんごって4つでひと串だったのに、最近は3つなのよ。流行って怖いわねえ」
 お母さんは、何となく損したみたいな言い方です。でも、準はほかのことを考えています。
 「おだんごはいいなあ」
 「どうして?」
 「だって、きょうだいが3人もいるんだもん」
 準はひとりっ子です。きょうだいがいる子がうらやましいと思っています。
 でもさすがに、おだんごはいいなあと思ったのは、これが初めてですが。
 「準は弟と妹、どっちがいい?」
 お母さんが笑いながら訊きました。
 「うーん、そうだなあ・・・」
 ・・・やっぱり、弟がいいなあ、いっしょに遊べるから。でも、待てよ。かけっこ、ぼくより速くなったらイヤだなあ。ケンカも強かったら、ぼくの方が負けちゃうかもしれないし・・・。
 「あ、そんなに本気で考えなくてもいいのよ、ほんとにつくるわけじゃないんだから・・・」
 「え、つくるって?」
 準が訊きかえします。お母さんはしまったと思いました。
 準は黙って何か考えています。そしてひと言、こう言いました。
 「でも、ああいう作り方をするんだったら、ぼくはこうだと思うけどなあ・・・」
 きた、とお母さんは思いました。準はほかの子より幼いところがあるけど、最近の子はませています。いつかはこの日が来るのはわかっていましたが、一体どう説明すればいいのでしょうか。
 お母さんの頭の中に、おしべとめしべが駆けめぐっていると、準はこう訊きました。
 「おだんごって、串の上から刺してつくるんでしょ。だったら、一番下が長男じゃないのかな」
 ああ、よかった。まだ充分子どもで・・・お母さんは、ほっと胸をなで下ろしました。

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