今日のおやつはおだんごです。
「確か、前はおだんごって4つでひと串だったのに、最近は3つなのよ。流行って怖いわねえ」
お母さんは、何となく損したみたいな言い方です。でも、準はほかのことを考えています。
「おだんごはいいなあ」
「どうして?」
「だって、きょうだいが3人もいるんだもん」
準はひとりっ子です。きょうだいがいる子がうらやましいと思っています。
でもさすがに、おだんごはいいなあと思ったのは、これが初めてですが。
「準は弟と妹、どっちがいい?」
お母さんが笑いながら訊きました。
「うーん、そうだなあ・・・」
・・・やっぱり、弟がいいなあ、いっしょに遊べるから。でも、待てよ。かけっこ、ぼくより速くなったらイヤだなあ。ケンカも強かったら、ぼくの方が負けちゃうかもしれないし・・・。
「あ、そんなに本気で考えなくてもいいのよ、ほんとにつくるわけじゃないんだから・・・」
「え、つくるって?」
準が訊きかえします。お母さんはしまったと思いました。
準は黙って何か考えています。そしてひと言、こう言いました。
「でも、ああいう作り方をするんだったら、ぼくはこうだと思うけどなあ・・・」
きた、とお母さんは思いました。準はほかの子より幼いところがあるけど、最近の子はませています。いつかはこの日が来るのはわかっていましたが、一体どう説明すればいいのでしょうか。
お母さんの頭の中に、おしべとめしべが駆けめぐっていると、準はこう訊きました。
「おだんごって、串の上から刺してつくるんでしょ。だったら、一番下が長男じゃないのかな」
ああ、よかった。まだ充分子どもで・・・お母さんは、ほっと胸をなで下ろしました。
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