おねしょしちゃった
第2話:やっちゃった
 準はおねしょをしてしまいました。
 4年生になっても、準はまだおねしょをすることがあります。でも、しょっちゅうやらかしているのではなく、たま〜にやっちゃうので、目が覚めたときに「どきっ」とするのです。

 準が気がついたときには、もう朝でした。とりあえず、濡れたパジャマとパンツを脱いで、学校に行ける格好に着替えました。

 準は、ふとんのそばに座って、考え事をしています。別に、我ながら立派なせかいちずだと鑑賞しているのではありません。
 「どうしようかなあ・・・」
 準はひとりごとを言いました。言うまでもなく、どうやってごまかそうか考えているのです。
 ・・・前に、ドライヤーで乾かしたことがあったっけ。でも、音ですぐばれちゃったしなあ。とりあえず、このまま押入に隠そうかな。でも、それだと今晩濡れたふとんで寝なきゃいけないのか。それはやだなあ。
 それにしても、いっぱい出ちゃったなあ。ジュース飲んでたら、お母さんに「やめときなさい」って言われたっけ。ますますやばいよなあ。おかしいな、ちゃんとトイレ行って寝たのになあ・・・。
 「ねえ、どうしようか」
 準は、クマのぬいぐるみに話しかけました。おねしょのこともそうですが、準には友だちに言えない秘密があるのです。クマのぬいぐるみといっしょじゃないと、ひとりでは寝れないのです。
 ・・・そうだ、いっそおまえがしたことに・・・。
 準はよからぬことを考えてますが、そんな手が通用しないのは4年生なら百も承知です。
 ・・・ほんとにどうしよう。それにしても不思議だよなあ。おいしいものを食べたり、遊んだりする楽しい夢でも、怪獣に追いかけられたり、叱られたりする怖い夢でも、目が覚めちゃえばぜんぶ夢の中の出来事で終わるのに、どうしておしっこする夢だけは、目が覚めてもそのまま残ってるんだろう・・・。
 準はおねしょをするとき、たいていおしっこする夢を見ます。現実にするときよりもよく飛んで、とってもいいキモチなのですが・・・。
 ・・・しかし、おしっこする夢を見るからおねしょしちゃうのか、おねしょをするときだからおしっこする夢を見るのか、どっちなんだろなあ・・・。

 「準ちゃん、朝ですよ、起きなさい〜」
 準があれこれ考えていると、お母さんが呼ぶ声がします。
 「ああっ、しまったぁ」
 ついいらないことを、ぼーっと考えてしまうのは準の悪い癖です。結局、「どうして今朝は先に着替えてるの」と訊かれ、素直にお母さんに白状する準くんでした・・・。

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