館林うどん

 関東のうどんは伝統的につけ麺が多い。うどんの味、おいしさが一番分かるのはザル、ごまかしがきかない、とよく言われる、一面真実であるが、実はまずいうどんでも何とか食べられるのもザルである。冷たいうどんを頼むと新しい麺が出てくる確率が高いし、冷たいと麺もしまっていて何とか食べれる。ザルがおいしいくて、これならとかけを頼むとひどい目に遭うことが多い。食べ歩きの経験からはザルかけにかかわらず腹いっぱいになっているときが一番うまいまずいが分かると思っている。

 館林市は群馬県の南東にあり分福茶釜の茂林寺とツツジの町で知られる。明治の文豪田山花袋が生まれた町であり、利根川を抑える要衝として五代将軍綱吉が藩主として治めたこともある。
 同じ群馬の水沢うどんの陰に隠れてあまり知られていないが、うどん屋さん40軒くらいが「麺のまちうどんの里、館林」としてパンフレットも作成し普及につとめている。それによると日本女性初の宇宙飛行士向井千秋さんも、館林の出身らしく、うどんを食べて育ったとある。

昼には少し早いので茂林寺でも見学しようと歩いていたらもう営業していたもり陣といううどん屋があった。少し高級そうな、うどん、釜めし、季節の料理の店だ。量は少なかったが角がある麺だった。
 このあと館林の駅を降りうどん屋を探すがのぼりを作成し振興をはかっている割には店が目に付かない、やっと見つけたのが乾麺屋の直営店の2軒、花山うどんの花やまと館林うどんの本丸だ。人口8万に40軒多いはずだが、日頃うどん屋の多さを見慣れているからかしれないが少なく感じた。

 館林は今でも水道水に井戸が使われるくらい水が豊かな上に、讃岐産の小麦をほめてある「和漢三才図会」に関東の小麦は「素麺トナシテヨシ」とあるようにタンパク質が多い半硬質小麦のため干麺が発達した。日清製粉(株)館林工場正田醤油(株)があるところなど坂出とよく似ている。
 おいしくいしく感じたというより懐かしい感じがした。これは国産うどん粉としては一番といわれる農林61号(残念ながら香川では食べられない)を多く使っているからだろうか。

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