参考文献

 一応麺聖を名乗っているので麺、特にうどんについて書かれたものには目を通すようにしている。そうこうしている内にうどんに関する本がそこそこ集まってきた。最近もうどんに関する一番の大作と信じる(私なんか香川県立図書館がこの本を持っているだけで尊敬していた)『蕎麦うどん名著選集』全八巻定価7万円をインターネットの古本屋で2万160円(送料税込み)でゲットした。多分これで県立図書館よりうどんに関する蔵書は多いと自慢できるはずである(冗談)。こんな本も持っているぞと自慢をかね参考にした文献、まだ読んでないが参考にしたい文献、参考にならなかった文献について少し触れてみよう。
 
蔵書  うどんを題材とした短編小説で出久根達郎の『饂飩命』はうどん好きの気持ちがよくわかっている。『おいしいと聞けば、飛行機で北海道でも九州でも駈けつける。一杯食べて、帰ってくる。何百円の饂飩に、何万円かを投じるのです。饂飩の本当の味は、現地で食べてみなければわからない。』小説中のうどん通の会長の言動だが私の行動を観察されたのかと思った。うどんが名物だと言う割にはあまり美味しくない(失礼)大阪と観音寺に関し同じような随筆がある。藤沢恒夫が『大阪人にうどん好きが多いというのは、つまりは大阪うどんがむかしから美味かったからに違いない。そのうどんの味は、一言で尽くせば、独特のだしの作り方、そこから生れる風味と言ってよいだろう』、福田宏年は『観音寺を中心とする西讃一帯のうどんが、同じ讃岐うどんといっても、一味違うのである』と説明をはじめるのである。共通点はどちらも「だし」にこだわる地域である。香川の人たちの連絡船のうどんへの思いは高城修三が『香川と私』『原風景の海』のなかでそれぞれ『乗船すると、まっさきに後部甲板の立喰いうどんコーナーに駆けつける』『帰省の連絡船が格別の存在になった。乗船すると、まっさきに甲板に駆け上がり、「さぬきうどん」を食べるのがつねだった。それが郷里にもどっているという感覚を増幅した。』と表現している。重い荷物を抱え何度も乗り換えた。うどんの列に並び、一口食べたとき、やっと帰ってきた。ほっとする瞬間であった。

 うどんについての簡単な知識を得るのにはサライ、ダンチュウ等の月刊誌が手軽だ、2年に1回くらいはうどんの特集がある。最近は讃岐うどんがブームになったせいもあって、旅の本、女性誌、ファッション誌、マンガを問わず毎月何らかの特集がなされている。香川にうどんをちょっと食べに来ると言うのなら、『るるぶ』『マップル』のような旅行情報誌がいい、どれでも讃岐うどんの特集がなされている、仮に独自取材をしていてもネタ元はほとんど共通なのでたいした違いはない。英語圏の人向けには『World Food Japan』がある。なんと言っても表紙が『Bukkake udon (cold thick wheat noodles)with condiments,Yamadaya udon shop,Kagawa Prefecture,Sikoku』である。うどん専門のガイド本では『さぬきうどん全店制覇攻略本2002年度版』が便利なのだろうが、自分で探す楽しみを奪っている感じがする。これがなくなるとうどん屋に行く楽しみの半分は失うことになる。この楽しみを知らずして「行ったらまずかった」、「マスコミの紹介記事は悪い」の「口コミが信頼できる」など言っても始まらない。実物に触れたときの感動を大切にしよう!それに自分ですごいと思って行った店が紹介されている記事を旅の後で見るほうが楽しい。

 讃岐うどんについて他県人の文芸書では村上春樹が秀逸だが、蕎麦好きの杉浦日向子は『呑々草子』で琴平の宮武(M武として)のご主人を似顔絵入りで紹介している。他にも椎名誠、東海林さだおがうどんについてのエッセイを書いてるが感動が、さとなおの『うまひゃひゃさぬきうどん』に比べて劣る、両先生実際のところは讃岐うどんがお好きでないのだろうか?と思いたくなる。
 
 あとブームを作った麺通団(田尾和俊)の『恐るべきさぬきうどん』を忘れることはできない。ほとんど内容のない、冗談交じりの本だが登場したときの衝撃はすごかった。恐るべきは現在5巻まで出ているが、感動は1=3>2=4>5の順になるかなあ、どう考えてもネタ切れに思えたので私は5巻を立ち読みしたが買うのはやめた(巡礼達成者が選んだ店が目玉なのだろうが、いまさら麺聖が見ても仕方ないからネ)。
  
 もっとうどんについて知りたいと言う学究派の人には、麺聖が質問を受けたときの虎の巻『そば・うどん百味百題』がお勧め。だいたいの質問については分かる上に出典も書かれてある。もっとも厳密な引用でないのがちょっと残念だが。この他、石毛直道先生の『文化麺類学ことはじめ』は香川県提供のうどんのホームページでも引用している基本中の基本書。武蔵野うどんの伝道者加藤有次教授の『男のうどん学』、小島高明さんの『体当たりうどん考』も基本書だ。専門の定期刊行物として『そば・うどん』と会報の『讃岐うどん』が発行されている。
   

2002年9月 麺聖しるす   


 さぬきうどん
  『うどん小話』藤田幸雄(藤田幸雄2003)、『うまひゃひゃさぬきうどん』さとなお著(コスモの本1998)、『恐るべきさぬきうどん』『同2巻』『同3巻』『同4巻』麺通団編集(ホットカプセル1993、1994、1996、1999)『香川版グルメの哲学』北川博敏著(美巧社2000)、『香川と私』『原風景の海』高城修三著『観音寺うどん自慢』福田宏年著(ふるさと文学館第43巻香川作品社1994収録)、『来た見た食ったさぬきうどん』北野チッパーズUSA著(ナユタ出版会2001)、『さぬきうどん』上原冨士夫著(保育社1991)、『さぬきうどんシンポ’93講演要旨』(香川県・さぬきうどんシンポ’93実行委員会1993)、『さぬきうどん珠玉の大図鑑』(ホットカプセル1994)、『さぬきうどん全店制覇攻略本2002年度版』田尾和俊監修(ホットカプセル2002)、『さぬきうどんに賭ける』山田潔(成山堂書店2003)、『讃岐うどん物語』讃岐うどん研究会企画(香川県農林水産部園芸特産課1993)、『随筆さぬきうどん』山田竹系著(四国郷土研究会1972)、『日本の食材美味しい旅』向笠千恵子(2003集英社新書)、『日本ふーど記』玉村豊男著(日本交通公社1984)、『本場さぬきうどんの作り方』香川県生麺事業協同組合監修(旭屋出版2000)
 歴史・技術
  『稲庭うどん物語』無明舎出版編(無明舎2000)、『うどん』アスペクト編(アスペクト2000)、『うどん通』長井恒編著(東京書房社1982)、『旨い!手打ちうどんに挑戦』藤村和夫著(ハート出版2000)、『男のうどん学』加藤有次著(徳間書店1988)、『乾めん入門』安藤剛久著(日本食糧新聞社1998)、『聞き書ふるさとの家庭料理第4巻そばうどん』農文協編(農文協2003)、京『きつねうどん口伝』宇佐美辰一著(ちくま文庫1998)、『健康食うどん』小島高明、井上タツ他著(農林水産文化協会1988)、『コムギの食文化を知る事典』岡田哲編(東京堂出版2001)、『讃岐の水車』峠の会編(峠の会1988)、『主食が変わる』大塚滋著(日本経済評論社1989)、『食に知恵あり』小泉武夫著(日経ビジネス文庫2002)、『進化する麺食文化』奥村彪生著(フーディアム・コミュニケーション1998)、『そば・うどん百味百題』柴田書店編著(柴田書店1991)、『蕎麦うどん名著選集』新島繁編著(東京書房社1981)、『体当たりうどん考』小島高明著(朝日新聞社1975)、『つゆ今昔物語』岩崎信也著(柴田書店2002)、『つるつる物語』伊藤汎著(築地書店1987)、『日本めん百景』安藤百福編(フーディアム・コミュニケーション1991)、『パンと麺と日本人』大塚滋著(集英社1997)、『文化麺類学ことはじめ』石毛直道著(フーディアム・コミュニケーション1991)、『文化麺類学麺談』安藤百福監修(フーディアム・コミュニケーション1994)『別冊サライー大特集うどんー』(小学館1999)、『麺食のすすめ』柴田書店編(柴田書店2001)、『麺、イモ、茶』NHK取材班他著(日本放送出版1990)、『面談食べ物誌』石毛直道著(文芸春秋1989)
 外国の麺
  『ウー・ウェンの北京小麦粉料理』ウー・ウェン著(高橋書店2001)、『お気に入りのアジアめん』有元葉子著(文化出版局2001)、『全アジア麺類大全』森枝卓士著(旺文社文庫1986)、『麺ロードを行く』安藤百福編(講談社1988)『レシピ・ド麺ロードアジア編』タイムトラベラー著(日本テレビ2000)、『レシピ・ド麺ロードヨーロッパ・中央アジア編』タイムトラベラー著(日本テレビ2000)
 ガイド本
  『World Food Japan』(Lonely Planet2002)、『旨い!立ち食いそば・うどん』東京路傍の麺党著(小学館文庫2000)、『おいしいうどんの店100選』センチュリー編(センチュリー1996)、『京のめん処』京都新聞社編(京都新聞社1997)、『そば・うどんの本埼玉』中島久雄編集代表(幹書房1998)、『多摩の蕎麦、うどん名店77』けやき出版編(けやき出版2002)、『身近な街の花まるそば・うどん』のんぶる舎編集部編(のんぶる舎1997)
 文芸書
 『饂飩命』出久根達郎著(短編ベストコレクション現代の小説2001徳間文庫2001収録)『美味しんぼーこしが命!シコシコのうどん編』雁屋哲+花咲アキラ著(小学館2000)、『行くぞ!冷麺探検隊』東海林さだお著(文春文庫1999)、『いつか旅するひとへ』勝谷誠彦著(潮出版社1998)、 『大阪人はうどん好き』藤沢恒夫著(日本の名随筆12味作品社1983収録)、『おろかな日々』椎名誠著(文春文庫1996)、『カープ島サカナ作戦』椎名誠著(文春文庫1999)、『食通知つたかぶり』丸谷才一著(文芸春秋1975)、『地球どこでも不思議旅』椎名誠著(集英社文庫1985)、『呑々草子』杉浦日向子著(講談社文庫2000)、『辺境・近境』村上春樹著(新潮文庫2000)
 定期刊行物
 『あまから手帳』(クリエテ関西通巻49号、86号、2000、2003)、『讃岐うどん創刊号〜15号、17号〜21号』讃岐うどん研究会・会報(1984、1985、1985、1986、1986、1987、1987、1988、1988、1989、1990、1990、1991、1992、1994、1997、1998、1999、2000、2002)、『サライ』(小学館通巻第176号1997、通巻第236号1999、通巻第291号2001)、『そば・うどん』『同第2号、同第19号〜第31号』(柴田書店1975、1976、1987〜2001)、『dancyu』(プレジデント社1994/10、1997/4、1999/10、2002/10)、『料理百科』(柴田書店15、27、39、51号、1998、1999、2000、2001) 
 その他の麺
 『諸国そばの本』そば道楽の会編(JTBキャンブックス1999)、『信州のそば178軒』(月刊ながの情報11月号臨時増刊1999)、『絶品うどん図鑑』はんつ遠藤(生活情報センター2003)、『全国おいしいご当地ラーメン厳選200店』大崎裕史選定石神秀幸コメント(竹書房2000)、『全国ご当地麺紀行』はんつ遠藤(ゼネラル・プレス2003)、『そば通の本』サライ編集部編(小学館文庫1998)、『蕎麦の薀蓄』太野祺郎(講談社α新書2003)、『ソバ屋で憩う』杉浦日向子とソ連編著(新潮文庫1997)、『蕎麦屋の系図』岩崎信也(2003光文社新書)、『ベストオブ蕎麦』麺 ’s CLUB編(文春文庫1992)、『ベストオブラーメン』麺 ’s CLUB編(文春文庫1989)、『ラーメン王国の歩き方』武内伸著(光文社文庫1999)

 (刊行年は初版の年。所蔵している本の中から、旅行誌は除く。一般の週刊誌、月刊誌等で数ページ以下のありふれた記事も除く)

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