大阪うどん

 食い倒れの町、大阪うどんはめん・だし・具が三位一体となった「はんなり」した味が特長だ。商人の町船場で磨かれたのが松葉家であり、きつねうどんの元祖だ。挨拶をしなければということで訪れきつねをたのんでみた、「麺が死んでいる」こんなはずはない、ご主人は研究熱心でいろいろなうどんの記事にも顔を出す、理由を探した「けど、ゆがきたてのはおだしがうどんにうまく添いませんねん。むしろ、ちょっと時間をおいた方が、うどんはお汁を吸いやすい状態になります」
 まさにうどんに対する哲学の違いだ。讃岐うどんのシコシコに対して大阪うどんはモチモチだ。北前船が昆布を運んできた大坂ではだしが発達したのだ。讃岐うどんが麺を追求したのとは180度反対の方向で努力が重ねられたのだ。松葉家では厨房の麺が蒸籠の中でかたまり、くっついていた。(そう、給食にでてきたかたまった麺によく似ていた)
 食べ物として美味しいかまずいかは別として、少なくとも香川県人が考えるうどんとしては味わえないことは保証する。「かけうどんを食べるお客さんはこわい」と言う大阪最古のうどん屋吾妻、「麺がなくても、かけだしをすするだけで満足できる」を目指している今井、他YとかAとかいう店でも食べてみたがβ化した麺を使う傾向は同じである。食文化の奥の深さを思い知らされた。

 これに対し今売り出し中なのが、大阪駅前第3ビルの地下2階にある山本益博氏も絶賛のはがくれ、カウンター14席の小さな店、昼以外でも行列ができている。何も知らずに行列を見て並び
「何が美味しいの」
と聞く客には、店員が
「麺です」
と胸を張って答えていた。生じょうゆうどんダブル(ダブルまでは値段が同じ)を注文し、しばし待つと香川で食べるような艶やかな麺がでてきた、これならいけるはず、さあ食べようとしたとき店員が
「食べてもらったことございますか?」
と聞いてきた、一瞬とまどい
「ここでは初めてです」
と答えたがどうも醤油をだしのようにたっぷりかける人がいるので聞くそうだ。さっきと違い、間違いなく茹でたてで弾力のある麺だ、讃岐うどんと同じジャンルのうどんが食べられうれしかった。
 この店、雑誌とかテレビで何度も取り上げられたが大阪にも麺にこだわる人がいることが分かり少し安心した。

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