沖縄そば

沖縄の地図 もちろん沖縄そばはうどんではない。でも、何となくここに書くのがふさわしいと思う。そばと言っても、そば粉は入っていない。ラーメンとうどんの間、ちょっとラーメンよりというのが、一番近いと思う。
 沖縄に行って沖縄そばを食べたと言うと、ほとんどの人はソーキそば?と聞いてくる。ソーキそば=沖縄そば、となったのは海洋博に本土からきた観光客が広めたという説を聞いた。名護の丸隆そばと我部祖河食堂がルーツと言われてる。ソーキ(豚のあばら肉)がのった(ついてくる)そばがソーキそばで、沖縄そばと表示したときには、三枚肉がのってくるのが一般的である。中国から伝わったのは間違いないのだろうが、文献に現れるのは明治中頃以降である。

 青い国四国と言うが香川の冬はどんよりしている。沖縄の空の青さと比べると山越のうどんとT屋のうどんくらいの差がある。香川県のお年寄りは夏より冬に沖縄に飛ぶ。初めて行ったそのときが快晴で空の青さに惹かれると沖縄が好きになる、麺聖なんか潜らないのに沖縄に両手両足の指で数えられないくらい何回も行っている、現地の人より詳しくなるのをモットーに沖縄そばを食べ歩いているうちに、ナイチの人?と尋ねられるようになった。ウチナーンチュに見える?と聞いたらしゃべらなければ充分見えるそうである!その土地が好きになるかどうかはかなりの部分その土地の食べ物が好きになるかどうかにかかっている。沖縄そばはもちろんルートビアも好きになったら沖縄が間違いなく好きになる。

ルートビア ソーキそば 沖縄そば=三枚肉そば


 沖縄そばの有り様は限りなく讃岐うどんに近い、そう思う。どこが?って聞かれると、まず、どこでも食べられる。専門店はある、でもパーラー、喫茶店、居酒屋、焼き肉屋、ライブハウス、ホテル等およそ食べ物を提供するところならほとんどのところで食べられる。そしてその店は高級料亭のような店から民家を利用した店まで、道路沿いから路地裏、オフィス街から歓楽街、住宅街から山奥まで、老舗から新規参入組まで、多種多様である。次に、香川でうどん好きは麺通と呼ばれるように、沖縄ではそば好きを「すばじょーぐぅ(沖縄そばは単にすばという)」と呼ぶそうである。1人が1年間にうどん玉を全国平均の4倍の130玉食べる香川県人のように、(フリーペーパー『Synca!』によると)沖縄の人は沖縄そばを年間55食食べるそうである。次に、うどんのオプションにおにぎり、ばら寿司、いなり寿司があるように、そばのオプションにもおにぎり、ジューシー、いなり寿司がある。次に、香川のタウン誌にうどん特集があるように沖縄のタウン誌の『おきなわJOHO』の毎年10月号は沖縄そば特集である、年越しそばは、讃岐がうどんであるように、沖縄そばで行う(ついでに言うと焼きそばも沖縄そばで作る)、だしはヤカンからなどなど、そしてオバアが名物の店が多い。

パーラー 年越しそばを市場で売っている 出汁の入ったヤカン
おにぎり ジューシー いなり寿司


 沖縄そばはうどんなのか?そばなのか?ラーメンなのか?である。先ほど述べたように、沖縄そばはもちろんうどんではない。かと言って「そば」と名がついていてもそば粉は入っていない。小麦粉(強力粉、準強力粉)とかんすい(木灰の灰汁)を使って作る。ゆで上がった麺に油をまぶして(最近は油処理をしない麺もある)完成である。材料を見ればラーメンの仲間であるが、沖縄県では主として沖縄そばを食べさせる店をラーメン店ではなくそば・うどん店に分類しているらしい。そばと称してもそば粉をまったく使っていないためそばと表示することには公正取引委員会との間でひと悶着あった。晴れて沖縄そばと名乗れるようになっったのは昭和53年10月17日、現在では10月17日は「沖縄そばの日」となっている。ラーメンにすんなり分類できればそれでいいのだが、食べるとラーメンとはかなり違う。もちろんラーメンそっくりな沖縄そばはあるが、どちらかというとうどんに近い気がする。とにかく幅広い。昔、浦添にあった「ゆーじ小」なんかは宮武のうどんかと思ったほどだ。昔は油でまぶす製法故ざる沖縄そばなるものは存在できなかったが、最近は夏の冷やしそばもちょっとしたはやりである。

油でまぶす ゆーじ小 生めんを使った冷たいそば
 店ごとの違いも大きいが、地域による差もある。沖縄本島の南北、宮古、石垣での違いがある。だいたいの特長を示すと本島南部は各地のそばが入り乱れた状態だが、平べったい少し縮れた麺で動物系のだし。本島北部は太く、きしめんみたいな麺でかつおだし。宮古では細く平べったい麺で具が隠れている。石垣は細く丸くまっすぐな麺で具は肉でもかまぼこでも細長くく切られている。老舗も多いが、意欲的な新規参入組も見られる。
本島北部 宮古島 石垣島

  

 ほとんど沖縄そばの店に触れないままほんとうにあるのかどうかの次回に続く。次回は各地の店を紹介したい!


参考文献

『日本めん百景』安藤百福編:フーディアム・コミュニケーション発行
『胃袋で感じた沖縄』さとなお著:コスモの本発行
『実践沖縄そばGRAPHY』オフィス・ベル・エキップ発行
『Synca!Vol.39』近代芸術発行
index.htmlに戻る 武者修行の旅に戻る

(写真が多く見れるだけですが、Netscape Navigator 3.0以上推奨)