団子汁

 昔といっても10年くらい前九州をドライブしたとき阿蘇から別府行く道沿いの店々で団子汁ののぼりを見た、無性に欲しくなりあるドライブインに入ったところうどんの出来損ないっだった記憶がある。団子は甘いもので、あん餅入りの雑煮(讃岐の名物)の餅が団子に替わったものに違いないと何故か勝手に思いこんでいた。

 大分の郷土料理として有名な団子汁はうどん粉をねって寝かせた親指大くらいの玉を手できしめんのようにのばし、里芋や人参などの野菜が入った味噌仕立ての汁に入れる煮込み汁の一種。戦国時代の大友宗麟が起源とも言う。別名ほうちょう。作り方、ほうちょうという呼び名から麺のルーツの一つと考えられている「はくたく」と関係があるかもしれない。武田信玄の陣中食起源説の山梨のほうとうに何故か似ている。

 大分について驚いた。駅の中華料理店にも喫茶店にも団子汁なるメニューがある。そのくせうどん店には何故か普通のうどんしかなかった。

 何軒か紹介するが味はうどんとは全くの別物である。
 まずは観光ガイドに載っていた大分市のこつこつ庵、建物いっぱいに取り付けられたCMの看板と大将が名物、郷土料理店。ここの女将さんにおいしい団子汁の店はと聞いて教えてもらったのが別府の鉄輪からすぐの甘味処の甘味茶屋、時代劇に出てきそうな茶店風の建物でゆったりとしたリズムで商いがされる。人気が高く専用の待合室もある。別府の北浜ののん太呂ガイドに載っていた。大将が楽しくつい長居をしてしまった。最後に、ホテルのフロントレディが教えてくれた別府駅すぐの茶房信濃屋、純和風の建物に鹿鳴館風の内装レトロさいっぱいである。なお団子汁が食べられる店では大概平安時代に八瀬と言う乳母が子供に「八瀬、うま、うま」とせがまれ名が付いた、小麦粉を黄粉にまぶしたやせうまも食べられる。

 団子といっても、きしめんのようなの切り餅のようなのまでいろいろな太さ長さがあった家庭料理なのでそれぞれの流儀があるのだろう。(たまたまバザーで食べたほうちょうはうどんのように細い麺だった団子汁とほうちょうこのあたりの関係をご存じの方は教えていただきたい)
 それにしても粉食文化の盛んなところ、大分の人は麺食がとても好きみたい。普通のうどんの店も多く、レベルが高い。豊後は石仏の里、加藤先生の「仏教文化伝播に伴い粉食文化が発達する」がなるほどと思えてくる。
 でも一番驚いたのはこつこつ庵の女将さんが山越のことを知っていて行きたいと言うのを聞いたときである。

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