トップ過去の上演作品2001年上演作品>クリスマス・キャロル


名演12月例会 劇団昴公演

『クリスマス・キャロル』

12月6日(木)6時30分
   7日(金)1時30分 6時30分
  

名古屋市民会館中ホール 地図    名演の入会方法はこちら

2001年は様々なことが起こりました。日本国内でも、世界中でも。多くの人が傷つき哀しんだ出来事も…。そんな一年の最後にホッと一息、このクリスマスの物語をご覧になりながら今年あった出来事を振り返ってみませんか? この物語には、くたびれたり哀しかったりする心を和ませる力がきっとあるはずです。



 

出演の米倉紀之子さんを囲む会 
11月1日(木)6時30分〜 名演事務局会議室にて 


 神奈川県横浜市生まれ。関西学院大学文学部日本学科卒、岡山放送のアナウンサーとして3年間活躍。 文学座付属演劇研究所、昴演劇学校を経て'96年より昴劇団員。
1998年『プレイング・フォア・タイム』1999年『空騒ぎ』に出演。『罪と罰』(2000年)では、ヒロイン・ソーニャ役に抜擢されました。また今年7月に上演された『アルジャーノンに花束を』では、チャーリーの恋人、アリス・キニアンを演じ好評を博し、劇団若手の中でも注目されています。
 『クリスマス・キャロル』ではスクルージが精霊に連れていかれた過去の世界で、青年スクルージに恋をし、そして別れを告げるベルを、女性らしい細やかな感情表現で演じて好評を得ました。もうひとつの役はフレッド(スクルージの甥)夫人。この役はスクルージにとってベルと重なる役でもあり、この二役を彼女が豊かに演じ分けていることで作品に奥行きをプラスしています。
 「名探偵コナン」「アポロ13」など声の出演も多いです。




クリスマスキャロルのチラシ

嫌われ者の老人スクルージがイヴの夜に出会う三人の精霊たちによって愛と慈しみを知る…
時代を超えて人々の心を魅了し続ける物語、それが『クリスマス・キャロル』です。
子供たちはもちろん、大人の心にも、ほっと温かい灯が点るひととき。キャロルの歌声とともに今年のクリスマスを週ごしてみませんか?

 貧しい人も豊かな人もそれぞれが心豊かに迎えるクリスマス。そんな時に一人で毒づく老人、スクルージがいた。けちで頑固、ひねくれ者の彼にはクリスマスが苦痛でしかない。イヴの夜、彼の前にかつての仕事の相棒ジェイコブ・マーレイの亡霊が現れる。強欲だったマーレイの体には死後の罰として長い鎖が絡みついていた。その鎖によって安息を得られず苦しむマーレイ。彼はスクルージに「あんたの鎖は私より、もっと長く、重い。でも、あんたにはまだ希望がある」と忠告する。彼はスクルージに与えられたチャンスとして今晩三人の精霊が現れると言い残し去って行った。
 その言葉通りに現れた精霊のうち、最初の精霊はスクルージの少年時代、まだ純真で周囲の人々から愛されていた過去の世界へ彼を誘う。二番目の精霊が見せたのはスクルージが生きる現在の世界。彼の使用人の家族、唯一の身寄りである甥の家、思い思いにクリスマスを祝う多くの家々。そこには貧しくとも心豊かな時間を過ごす人々の姿があった。最後の精霊はある男の未来を見せる。誰も愛することなく誰にも愛されなかった男の死を悲しむものはいない。精霊に導かれ死んだ男の墓をみるスクルージ。墓碑に刻まれた自分の名に彼は恐怖と繊悔の涙を流す…。

作者紹介
チャールズ・ディケンズ/Charles Dickens(1812-1870)

 イギリスの国民的作家。裕福な家庭に生まれるが、借金がもとで父親が投獄され、10歳で一家の働き手になる。環境が一変し、屈辱と絶望に満ちた少年時代を送るが、同時にこれに負けまいとする野心と夢を培うことになった。虐げられた者たちの悲哀や活力、優しい心に直に触れたこの経験は作家となった時にあらゆる階層の読者を魅了する源になった。なかでも「クリスマス・キャロル」には、少年時代の共感や観察が生み出したと思われる人々のつつましい、陽気な情感に溢れたシーンがたびたび取り上げられている。クリスマスの贈リ物として書かれた「クリスマス・ブック」は5篇からなり、『クリスマス・キャロル』はその最初に納められている。

●演出ノート

演出家 松本永実子(まつもと えみこ)
‘ 忙しい 'スクルージ

 21世紀の到来を祝った昨年に比べ、今年は一転、世界中に暗雲たちこめる年の暮れとなりました。今回のテロ事件の犯人の内二人が、第1弾の「クリスマス・キャロル」翻訳を脱稿したニュージャージーのあの部屋と同じ町の住人でした。それで思い出した二つの出来事…
 1993年、世界貿易センタービルの地下駐車場でテロ爆破事件が起こりました。その直後その町で運転していたら、前を走っていたマイクロバスが突然パトカーに止められました。中には数人のアラブ人が乗車しており、警官からかなり執拗な尋問を受けていました。アラブ人たちはひどく脅え、その様子は気の毒なくらいでした。
 ちょうどその何日か前、マンハッタンのビジネス街にある大手の銀行で働くアメリカ人に物を届けに行きました。初対面のその人と受付嬢は、いかにも演劇の学生風の“質素な身なり”の私を、「忙しいんだ、邪魔するな」とばかり、1分で追い返しました。
 マンハッタンや東京にたくさんいる現代のスクルージは、世界中に経済格差を広げ、格差の影で脅える人々を作り上げ、さらにその人たちを追い払おうとしています。「さ、こっちは忙しいんだ、私は他人のことまで構ってられない!」....放っておけばすぐにこのスクルージのせりふを吐く私たちが、景気優先・効率重視の社会をせっせとこしらえた結果、脅える第三世界を、脅える子供たちを、脅える障害者たちを生み出し、挙げ句の果てに彼らが爆発したとしても、どうして責められるでしょう?
 何だか今年のキャロルは、より一層、現実味を帯びてきました。

(2000年上演時のもの) 松本永実子

 死後の世界はあるのだろうか?病気になれば誰でも一度は考えるこの問い。ディケンズは「第一にマーレイは生きていない」という書き出しで「クリスマス・キャロル」の小説を始めます。そしてマーレイの死について2ぺージに渡ってこだわり、肝心のスクルージの話が始まるのはその後です。マーレイは死の世界の住人です。ディケンズはそのマーレイを生の世界に引き戻し、「死後の世界はきちんとあるのだよ、それだけじやない、そこでは生前見えなかったことが見え、生前し損なったことが悔やまれ、死んでから平安に暮らせるために何をすべきかが見えるんだ」とスクルージに諭させます。御伽噺のような話ですが、身近に人の死を経験すると、急に現実味を帯びてくるから不思議です。この世の住人としては見えていないことが山程あるのだろうなと思いつつ、今年もまたバカなことをしてしまい、「慈しみ・哀れみ・寛大」というマーレイが「仕事」と呼ぶことを怠り、1年が過ぎていきました。「人が意味のあることをするためには生命は余りにも短かすぎる」今年は、そんな想いを抱きながら、再演に臨みたいと考えています。
 「メリー・クリスマス」という挨拶をせりふとして使うことさえ揮られた初演時の9年前と比べ、日本のクリスマス事情は大きく変化しました。他劇団でもこの芝居の別バージョンの上演が始まリ、クリスマスの特別公演を組む新劇団もぼつぼつ登場してきています。この芝居を本邦初演した昴としては責任重大なところです。言いだしっぺとしては、今年もこの芝居で観客の皆さんに「1年の棚卸し」をしていただいて、清々しい新年を迎えていただけるような素晴らしい公演にいたします。


◎松本永実子 PROFlLE
 日米の大学・大学院で演技・演出・舞台美術の実技から演劇史・演技理論に至るまで、幅広く演劇を学ぶ。8年に渡る滞米中には舞台やビデオの出演、宝塚、富良野塾などのN.Y公演の通訳を務め、日米演劇人の交流をはかった。また在米日本人の為の新聞OSCニユースや「アサヒグラフ」「鳩よ」等に劇評を執筆。翻訳作品には今回の『クリスマス・キャロル』のほか、『麗しき姉妹たち』『六人向こうのあなた』(劇団昴演劇学校)や『沈黙』(昴)『PARENT-thetical−親』(現代演劇協会)などがある。1996年に現代演劇協会の一員になってからは、劇団附属の演劇学校での講義、演劇学校公演の演出や劇団内ワークショップの指導にもあたっている。1997年にはS.マクファーソン作『マー一ヴィンの部屋』を翻訳、同作品でsubaru/P.BOX第1回公演として昴本公演初演出を果たす。また、而立書房から戯曲『マーヴィンの部屋』が刊行されている。

キャスト

スクルージ●石波義人
現在の精霊/他●牛山茂
ジェイコブ・マーレイ/オールド・ジョー/他●緒方愛香
紳士1/葬儀屋/他●武藤与志則
ボブ・クラチット/他●やなせさとる
紳士2/ディック/トッパー/他●永井誠
フレッド/未来の精霊/他●坂本岳大
少年スクルージ2/青年スクルージ/他●鉄野正豊
フェジウィッグ/他●飯田和平
過去の精霊/ディルバーのかみさん/他●土井美加
フェジウィッグ夫人/洗濯女/他●江川泰子
クラチット夫人/他●服部幸子
ベル/フレッド夫人/他●米倉紀之子
エマ/他●新野美知
ファン/マーサ/他●木村由美子
ピーター/少年スクルージ1/小僧/「無知」/他●半沢昇(劇団ひまわり)
ベリンダ/「貧困」/他●浅井暁美(劇団ひまわり)
ニィム/他●上村祐翔(劇団ひまわり)

スタッフ
原作/チャールズ・ディケンズ
訳/松本永実子
脚本・演出/松本永実子・菊池准

美術/大田創
照明/皿田圭作
衣裳/早船文恵(浜井ファクトリー)
音楽/川崎晴美
音響/山北史郎
振付/神崎由布子
歌唱指導/柏熊康江
舞台監督/黒木辰男
宣伝美術/北村武士
絵/出久根育
制作/村上典子

劇団昴 http://www.bekkoame.ne.jp/~darts/indexj.html

昴のサイトの『クリスマス・キャロル』紹介ページ
http://www.bekkoame.ne.jp/~darts/pagej020.html



12月例会『クリスマス・キャロル』例会運営担当サークル 
スケジュール


名演ウェブ トップページにもどる

入会案内 / 名演からのお知らせ / これからの上演作品 /サイトマップ
過去の上演作品/管理人日誌/リンク集 / 名古屋演劇情報/掲示板/

                                          最終更新日 2002/01/29