ヒンサール

 

ニーダーユニット

本来は寒冷地で低気温のため不調をきたしたパワーボックスを補助するための装置。固まりかけたパワーオイルを揉みほぐしスムーズに流れるようにする。

地下の広大な人工空間ナラカで覇を争う少年戦闘グループの1つ〈水軍〉の一員となった庄野の愛機。ハユがベースと思われる) 。

常に物資が不足状態のナラカにあっては破格の10個ものパワーボックスを装着したものものしい姿だが、そこから想像されるようなパワフルな機体ではない。かといってバフローマンのようなパワーボックス運搬用機でもない。

グループの掟では、戦闘力の低い者は序列の下位に置かれ充分な物資の分配を受けられない。戦功を挙げて地位を向上させようにも、パワーボックスが足りずパワークを動かせなくてはそれもままならない。庄野もそんな悪循環に陥った下っ端組の1人だった。

ある日、寿命が尽きたパワーボックスがスクラップ置き場に山積みになっているのを見て彼女は考えた──油圧オイルが固化し内蔵バッテリーが切れた廃ボックスでも、数を集めれば動力として役立てられるのではないか──と。そしてこのアイディアを下っ端仲間に披露して協力を募り、その具現化に乗り出した。

まず多数の廃ボックスを連結させ、1個ごとにニーダーユニットを取り付ける。

出力と動作速度の不足を補うため、関節パーツを過剰と思えるほど増装。

電力は背中の大型のバッテリーから供給。

これらの方策を試みた結果、廃ボックス10個でパワーク1台を何とか動かせるだけの出力を確保できた。装置が増えた分だけ機体は重くなり普段は動きが鈍いのだが、全身の関節を同調させることで一瞬だけ強力かつ高速な動作ができる(パンチ、ジャンプなど)。

こうして完成したヒンサールは、(戦力としては心もとないが)廃ボックスだけで運用できる点が重宝がられ、援護部隊の一員として活用されるようになった。