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  加納 京子


 毎日暑い日が続き、わが娘歩奈も初めての夏の暑さに少しいらいらし
夜泣きが始まってしまった。
私も新米ママで、夜中に暑いさなかとしてどうしていいのか分からなくなり
ボーっとしてしまいそうになることがある。

しかし赤ちゃんとは不思議な動物で暑いにもかかわらず、抱っこし、互い
にどんどん汗をかいてきているにもかかわらず落ち着いて泣き止んで
しまうのである。
私の胸の中で汗をかきながらもすやすや眠るわが娘を見ると途方もなく
可愛くて仕方がなくなってしまう。
夜中に起こされたいらいらもいつのまにか吹き飛んでしまうのである。

私も25年前の夏には母の胸の中で安心しきってすやすやと寝ていたの
だろう・・・
記憶はないが歩奈をみていると私もこんなときがあり愛情をたっぷり受け
て育ったのだろうとふと嬉しくなるときがある。

歩奈がこの世に生を受けて6ヶ月になろうとしている。
赤ちゃんの成長とは、すばらしいと日々感心してしまう。
産まれてすぐのときは乳首に吸い付くのも精一杯で体中の力が抜けた
状態だったのに、今では母乳を飲みながらも私の髪の毛で遊んだり、
笑いかけたり、時には何かを話そうとしてくれる。

他にも昨日初めて出来たことが今日はあたりまえのように出来るように
なっている。
寝返りが出来たのもつい最近と思っていたが、今では仰向けにしても
すぐに寝返りをして一人で遊ぼうとしてる。嬉しいものである。

しかし、寝返りがはじめて出来たときのなんともいえない感動!これが
今ではなくなってしまって・・・
あたりまえになってしまったのだ。
人生何でもそうなのかも知れない、初めてのときの感動をつい忘れて
次にと欲深くなってしまう。

歩奈が4ヶ月のころ音に反応がなくどこの病院に行っても難聴の可能性
があるといわれたときは、ショックで3日間ぐらい何を食べ何をしていたの
だろうか・・・
とめどなく涙があふれてきて代われるものなら代わりたいという思いだけ
であった。
何でもいいから好きなことをさせてあげようって思っていたのに・・・
実際音への反応が出てきて、先生に大丈夫ですよと言われたとたん次々
に彼女に対しての将来の夢が出てくる・・・・
まだまだ私も娘と自分の人生の区別が出来ていないようじゃ未熟だな
と思う。
いつになったら大人になったと思うのだろうか・・・?

私にとっての両親は常に手の届かない大人のような気がしているが・・・
歩奈にとって私もそんな存在になるのだろうか・・・

ふと暑い日々子育てをしながらこんなことを感じる余裕があることに娘を
非常に可愛がってくれる主人に感謝し、頭が下がる思いだ。

                                 加納 京子




 


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