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薬物療法
点鼻薬/点眼薬による局所療法と抗アレルギー剤の内服による全身療法があります.
近年,眠気などがすくなく,生活の質を損なわないようなすぐれた,抗アレルギー剤が開発されてきています.  やっかいな鼻閉にも効果のあるロイコトリエン拮抗薬,トロンボキサンA2拮抗薬も保険適用となり,病状にあわせて適切な薬剤を選択し, 花粉飛散の少し前より内服を開始(季節前投与)することによって,かなり良い効果を期待することができます. 薬物療法はアレルギーを専門とする内科医がもっとも得意とするところです.
また飛散量の多い時期は抗ヒスタミン剤/ステロイド剤の頓用や局所療法剤である点鼻薬を組み合わせて,コントロールします. 

その他の事項

漢方薬について
古くから,小青竜湯,小柴胡湯などが用いられ,ある特定の場合には効果があるようです.  しかし,副作用,有効性,作用機序などについてよく検討されておらず,科学的根拠のある治療薬とはいえません. 
当院では採用していません.
持続型ステロイド剤の筋肉注射について
マスコミにもとりあげられ,一部の医療機関で行われているようです. 確かに一応の効果はありますが,注射局所の脂肪組織や筋肉の萎縮の可能性があり, 強い全身的な副作用の懸念もあり危険です. 
注射のステロイドは点鼻のステロイドとは,全く異なる方法であり,花粉症の治療として,わたしには容認できません. 当院では持続型ステロイド剤の筋肉注射はしていません.

妊娠中の治療について
一般に妊娠中はうっ血傾向となり,鼻炎も悪化することも多いようです. 慎重に薬剤を選択すれば,いくつかの薬剤は妊娠中においても使用可能ですが,なるべく妊娠初期(4ヶ月まで)は内服治療は避け, 催奇形性の懸念の少ない点鼻薬を組み合わせ,局所療法を中心に治療します. これでもまずまずの効果があり,また安全性にも問題がないと考えられます.
終わりに
気管支喘息とちがい,花粉症は生命にかかわることはありませんが,生活の質を脅かすと言う点では,困った病気ですし,社会に与える影響も無視できません. 抗原回避とあわせ,きちんしたと薬物療法を行えば,多くの人に効果があります. 自分流にこだわらず,アレルギーに対して経験のある医療機関に一度ご相談されることをおすすめします.

当院で処方している代表的な処方薬
予防薬 :クラリチン,エバステル,ジルテック,ザジテン,セルテクト,ニポラジン,アレギサール,
アレジオン,ア レロック,アレグラ,オノン,バイナス
アレルギーの症状がない時期から飲みはじめ,症状が軽くなっても,きめられた時期まで飲み続けください 

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