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抗原物質のエキスをくりかえし注射することで,アレルギー反応を弱めようという,古くから試みられてきた治療法です. 近年,良い抗原エキスが開発されてきたこともあって,経験のある医師が,うまく行えば,ある程度の効果が得られます. しかし,その方法は経験的要素にたよっており,どのようにして効果がでるのかという生物学的根拠が解明されていません. 長期におよぶ定期的な注射が必要なため,継続的な通院が必要です. また,ごく希ではありますが,重篤な全身的副作用を起こすことが報告されており,
この治療方法の普及をさまたげています.
後に述べるように有効性の高い薬剤が開発されてきていることもあり,減感作療法を行っている施設は限られており,当院でも現在のところ積極的にはすすめておりません. しかし,注射以外に舌下経路による投与の試みもあり,抗原エキスの改良もすすめられているため,将来的には選択すべき方法となると考えられます.
いろいろな工夫によって,ある程度の効果がえられるようです.
しかし鼻アレルギーの症状は基本的には生体防御としての生理的反応が強く起こっていると考えるべきであり,それを全て失わせるような治療法,つまりアレルギーの場を手術によって取り除くような治療法は,現時点では,できるだけ避けるべきではないでしょうか. この点を改良して,レーザを使い一時的に鼻粘膜を熱変性させることで,適当な効果をえる方法もありますが,現在ではもう一息というところです.
今後の耳鼻科医のさらなる工夫に期待します.
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