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反戦訴え、全米各地で「同時多発デモ」
                           (朝日新聞10月1日)
 
 同時多発テロに対する報復として米国政府が軍事作戦を準備する中、ワシントンや米国西海岸のサンフランシスコ、ロサンゼルスなどで9月29日、平和解決を求める市民の「同時多発デモ」が行われた。
 ワシントンでは約1万人が、テロ事件後では最大規模の「反戦デモ」を繰り広げた。武装警官が道の両わきを警備、上空では警察のヘリコプターが旋回する中、「戦争では何も解決しない」と訴えながら行進した。
 この週末、ワシントンでは国際通貨基金(IMF)と世界銀行の総会が予定されていたが、テロ事件のため中止された。デモの参加者の多くは、この総会への抗議行動を予定していた。
 サンフランシスコでは町はずれの公園に、市民約5000人が集まった。手作りのプラカードには「アフガニスタンを第2のベトナムにするな」などと書かれていた。
 主催したのは「戦争をやめ人種差別をなくすため、いま行動を」という名の市民団体のネット組織だ。学生が多いが、ベトナム戦争の帰還兵ら年配者も目立った。アラブ系の顔立ちの人々も多かった。参加者は次々に前に立ち、「戦争は罪もない人々を殺すことになり、新たな敵を生み出すだけだ」などと訴えた。
 サンフランシスコや隣接したバークリーなど一帯は、ベトナム反戦運動の中心となった地域だ。今回のテロ事件でも発生直後から様々な市民団体が生まれ、平和解決を求める小規模な集会を連日のように開いてきた。そうした組織がまとまっての大集会となった。
 ロサンゼルスでも中心部の連邦政府ビル前で約300人が同様の集会を開いた。
(10/01)
 
 
テロの背景にイスラム世界の根強い反米感情 米分析
                           (朝日新聞9月29日)
 同時多発テロ事件の背景にイスラム世界の根強い反米感情があるという報道や分析が、米メディアに現れ始めた。イスラエルに偏った中東外交、唯一の超大国となったことから来る「傲慢(ごうまん)さ」などが遠因だと指摘。テロを糾弾しつつ、米国が憎悪の対象にされる理由の分析なしにテロは根絶できないとの視点がある。発生から約3週間。米国の論調は多面的な広がりを持ってきた。
 
 「なぜ彼らは我々を憎むのか」。外交記事に定評のあるクリスチャン・サイエンス・モニター紙は27日付で、ブッシュ大統領の議会演説の言葉を表題に特集を組んだ。
 大統領演説は、テロリストを糾弾し「彼らは民主的に選挙された政府が憎いのだ。我々の自由が憎いのだ」と米国民に説明している。一方、同紙は、イスラムの人々は米国の理念を嫌っているのではなく、米外交の実態が理念を裏切っていると見て、それがテロリストの土壌になると指摘。
 「米国とは、私たちを殺し、家を破壊するF16戦闘機、攻撃ヘリなどイスラエルが使っている道具のことだ」(パレスチナ難民)、「リビアへの報復爆撃で巻き添えになった娘への謝罪ひとつない。米国民は自分たちの政府が世界で何をしているのか見て欲しい」(レバノン在住者)などの声を紹介する。特集はイスラム世界の声をこう総括する。「彼らはこの攻撃が『文明』ではなく米国に対するものであると理解している」
 ニューヨーク・タイムズ紙も23日付で「(米国は)民主主義の理念を宣伝しながら、(サウジアラビアなど)権威主義的な政府を支えていることが裏切りと感じられている」。
 ABCテレビの看板番組「ナイトライン」も、21日の放送で「軍事力による反撃は過激派の力を強めるだけだ。注意深く正義を実行せねばならない」とまとめた。
 政治専門誌「ナショナルジャーナル」の最新号。米国のアフガニスタン政策を振り返って、冷戦時に侵攻したソ連に対抗させるため、米国はビンラディン氏らイスラム過激派を援助したが、ソ連が敗退するや同国を混乱の中に放置、タリバーン政権を生んだとする。
 同誌は「原因を根絶しなければ過激派が繁殖する沼を放置することになる」と警告。イスラム世界の民主化や経済発展を助ける長期的な政策への取り組みを提案する。
(09/29)
 
 
「望むのは食べ物と平和だけ」アフガン避難民疲れ果て
                           (朝日新聞9月29日)
 閉ざされたはずの国境から、米国の軍事行動を恐れたアフガニスタン避難民がパキスタンに流れ込んでいる。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はアフガンから周辺諸国に最高約150万人の難民流出を想定して緊急支援を呼びかけている。避難民たちは疲れ果て、たどり着いた町の片隅で息を潜めていた。
 「望むのは食べ物と平和だけ。タリバーンも米国も関係ない」。8日前に逃げてきたビビ・モマリさん(30)は、クエッタ郊外の同じ村出身者の家の庭にはったテントで暮らす。乳飲み子ら5人の子どもを連れ、持ってきたのはトランク一つだ。
 19日に反タリバーンの「北部同盟」支配下の村を出た。ロバ車やバスを乗り継ぎ、一昼夜歩き通した。1人1000ルピー(約2000円)を払ってガイドを雇い、検問を避けて国境を越えた。
 すでに200万人のアフガン難民を抱えるパキスタン政府は新たな難民受け入れを認めていない。だが、国境は約2400キロ。警備の目を盗んで入国するすべはいくらでもある。こうした避難民には援助の手は届かず、親せきなどの家に身を寄せたり、安ホテルに転がり込んだりしている。
 バス停そばの休憩所で出会った元公務員タフィーク・ファイズさん(32)は22日にペシャワルに入った。タリバーン政権下では決まった仕事もなく日々の糧にも事欠く生活だったが、「いつか平和になる」と信じていた。だが、ラジオで米国の軍事行動の可能性を知り、希望を失った。
 国境に向かったトラックには5家族、約25人が同乗していた。近所に住む人たちの半分以上が家を捨てて、パキスタンやイラン、アフガン北部を目指したという。
 北部バグランの村から来たシェド・オマールさん(22)は農家だが、この4年は厳しい干ばつで収穫がほとんどなかった。土地や家畜など財産すべてを売り払って、密入国ブローカーに話をつけ、パキスタンに入れた。アフガン側の国境の町では約1万人の避難民が立ち往生していたという。
 町の日雇い労働市場で仕事を探したが、声はかからなかった。将来像は描けない。「米国が正しいのかどうか分からないが、我々は十分苦しんできた。戦争には疲れ果てたよ」
(09/29)
 
ジャカルタで大規模反米デモ イスラム教徒3000人集結
                             (日経新聞9月29日)
【ジャカルタ28日=飯田展久】
 インドネシア・ジャカルタの中心部で28日、約三千人のイスラム教徒が集結、米国を非難するデモを展開した。同時テロが発生して以降では最大規模の反米デモ。大規模デモはジョクジャカルタやマカッサルなど地方都市でも発生、反米感情が全国に広がりつつある。
 デモに参加したイスラム教徒らは「真のテロリストはイスラエルと米国だ」などと書いた横断幕を掲げて気勢をあげた。
 
 
東京・渋谷では1800人がデモ
                      (週間金曜日9月28日号、No381)
 代々水公園では九月.24日、護憲や平和、人権、消費者団体などが呼びかけた市民集会(実行委員会主催)が開かれ、約1800人(主催者発表)がJR渋谷駅周辺をデモ行進した。幅広い年齢層の参加者らは、「WAR 1S NOT THE ANSWER(戦争は答えではない)」などと書かれたプラカードを掲げ、日本が報復戦争に加わることへの反対を道行く人々に訴えた。同実行委員会主催の次回の集会とデモは10月7目、東京・渋谷の宮下公園で開かれる。間い合わせは、「許すな! 憲法改悪・市民連絡会」tel03・3221・4668、日本消費者連盟tel 03・3771・7766。
 一方、若者たちのグループ「CHANCE!」(平和を創る人々のネットワーク、事務局・小林一朗さん/羽仁カンタさん)も9月23日、東京・代々木公園から渋谷までピース・ウォークを実施、約400人(主催者発表)が参加した。
 「CHANCE!」は、インターネットを使って呼びかけや情報提供を行なっており、今後、あらゆる暴力に反対する意思を、リボンやパッジで表現する「イエローリボン・プロジェクト」など、さまざまな取り組みを進めるという。ホームページはhttp://give-peace-a-chance.jp/
                          (編集部 伊田浩之、写貝も)
 
米国であがり始めた報復戦争反対の世論
                        (週間金曜日9月28日号、No381)
 無差別同時多発テロは憎んで余りある。しかし米国がいかなる国際機関をも飛び越えて報復攻撃に出るなら、それは「法の裁き」にはほど遠い「私刑(リンチ)」ではないか。ブッシユ米大統順に「我々の側につくかテロの側につくのか」などと迫られると、その傲慢さにあきれるばかりだ。米国内にも、ちょっと待ってくれ、と言う声が上がり始めている.
 9月20日付米紙「ニューヨーク・タイムズ」の「戦争の呼び声の中、平和の印」と題した記事がニューヨーク市内でひろった声は多様だ。
 「さらに多数に苦痛を与えてやろうではだめ。裁きは必要だが、戦争がその答えとは思わない」(教師・34歳)、「攻撃は安易な道だ。我々は攻撃の悲惨な結末をみたばかりじゃないか」(保険外交員・37歳)、「数日前は爆撃しろって思ったけど、冷静になってみると、やはり戦争はだめ。もっと殺そうというのと同じ意味だ」(雑誌編集・29歳)、「ホワイトハウスは血の代償を求め、テレビは戦争気分を煽るが、二者択一しかないのかね」(大学教授・政治学)など。
 しかし米国内世論は圧倒的に「主戦論」のようだ。「今は非暴力なんて言いにくくて。人からアンアメリカン(反米的)と思われそうで」(女優・40歳)などなど。リエージユ(ベルギー)22日発ロイター電によれば、同日、欧州では、ロンドンからベルリンまで主要各都市で米国の軍事報復に反対するデモが続いた。
 「私だって誰にも負けない愛国者だけど、いつどこでも戦争を始める大権を大統領に与えていいのか。私はあくまで議会がその権利を持つべきだと思う」と言うのはパーパラ・リー下院議員(民主・カリファルニア)だ。
 米議会は9月14日、ブッシユ大統領に武力行使を認める決議を上院では98対ゼロ、下院では420対1で可決した。リ一議員は議会で反対票を投じた唯一の議員だ。同議員には翌日から「殺す」「共産主義者め」と、いった嫌がらせ電話とメールが多数届き始め、護衛がついた。
 20日付米紙『ワシントン・ポスト』によると、リー議員は1999年、議会がクリントン大統領にセルビア空爆の決定を任せる決議をした際も唯一人反対した。「軍事行動は多面的な問題を一面的に解決しようとする問違った対応だ」と彼女は言う。
 多数が正しいわけではない。1964年、トンキン湾事件によってジョンソン大統領(当時)がベトナム北爆を決定したとき、議会で反対票を投じた誠員は2人しかいなかった。
                           (ジャーナリスト長沼節夫)
 
報復反対訴え 500人平和行進 大阪
                           (朝日新聞9月27日)
 同時多発テロに対する米国の軍事報復に反対する約500入が26日夜、大阪市北区で「ピース・ウォーク」を開いた。明かりをともしたロウソクやペンライト、花、戦争反対を訴える横断幕などを携えた市民らが市役所や米国総領事館の周辺など約2キロを行進した。
発起入は大阪府茨木市議の桂睦子さん(32)。参加者たちは約1時聞かけて市の中心部を練り歩いた。
 
 
カプール 旧米大使館に放火 2万人以上が反米デモ
                           (朝日新聞9月27日)
【イスラマバード26日=木村文】
 アフガニスタンのカブールで26日、2万人以上が参加して、軍事行動に向けた米国の動きに抗議するデモが行われ、カブール空港に近い旧米国大便館が放火された。米同時多発テロ以降では最大規模の反米行動となった。
 デモには学生や政府職員らが参加。「米国に死を」「プッシュ(大統領)に死を」「イスラムに勝利を」などと叫んで街頭を行進した。カブールの国連事務所にも投石があった。米大使館は内戦の間も被害を受けず、現地スタッフが管理していたが、デモ隊は本館にガソリンをかけて放火したという。
 カブールでは政治活動が許されていないため、大規模な抗議デモはタリバーン政権の動員の結果とみられる。
 
「国連とO1Cテロの調査を」 デモ隊が決議文
【イスラマバード26日=宇佐波雌策】
 アフガン・イスラム通信がカブールから伝えたところによると、26日、カブールの米国に抗議したデモ隊はデモ終了後、米国や国連に対して7カ条からなる決議文を発表した。@米政府が、アフガン国民に誤った行動をとらないよう求めるA米政府はアフガン攻撃の口実を探しているが、テロ事件についての国運とOIC(イスラム諸国会議機構)による独立した調査を求めるBもし米国が攻撃すればわれわれは死を恐れず聖戦に立ち上がるーーなどとなっている。
 
アフガン住民に世界の支援要請 国連事務総長
                           (朝日新聞9月27日)
【ニューヨーク26日=五十嵐浩司】
 アナン国連事務総長は25日、「アフガニスタンの人々は絶望的な状況に置かれている」との声明を発表し、国際社会に支援を求めた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、世界食糧計画(WFP)などによると、米国の軍事報復を恐れて約150万人が近隣諸国に脱出する可能性があり、食料不足などが心配されている。
 すでに難民計350万人を受け入れているパキスタンとイランに、それぞれ100万人、50万人規模の新たな難民が流入する恐れがある。国境では、双方の規制が厳しくなつており、タリバーンの本拠カンダハルに近い国境の町チャマンだけで、約1万人がパキスタン側への越境許可を待っているという。タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンにも相当数が逃れるとみられる。
 WFPは難民キャンプを合め約380万人に食糧を提供しているが、戦火にさらされれば600万人が飢餓に直面するという。食糧備蓄は3週間以内に底をつくという。UNHCRなど国連6機関は24日、共同声明を発表して、近隣諸国に対しアフガン難民に国境を開き脱出しやすくするよう要請した。
 
インドネシア ノスラム団体聖戦呼びかけ
                            (朝日新聞9月26日)
【ジャカルタ25日11真田正明】
 インドネシアのイスラム指導者団体「ウラマ評議会」と約40の主要イスラム団体は25日、「米国などがアフガニスタンやイスラム諸国を攻撃した場合は、全世界のイスラム教徒に聖戦を呼びかける」との声明を発表した。またハムザ・ハス副大統領は同日、報道陣に「米国がアフガニスタンを攻撃しないように願いたい」と、米国の自制を求めた。
 同国には人口2億1千万人の9割近くという世界最多のイスラム教徒がいる。ウラマ評議会にはイスラム諸団体の指導者が加盟しており、影響力は大きい。イスラム団体の中には聖戦志願の登録を始めたところもあり、「イスラム青年運動」は同日までに、約240人が登録したとしている。
 
報復攻撃にイラン慎重英外相、革命後初訪問
                            (朝日新聞9月26日)
【テヘラン25日=平田篤央】
 英国のストロー外相が25日、テヘランを訪れ、イランのハタミ大統領、ハラジ外相と、同時多発テロ事件への対応を話し合った。英外相のイラン訪問は79年のイスラム革命後初めて。イラン側は国連の枠組みによるテロ対策を強調し、報復攻撃に慎重な態度を崩さなかった。ハラジ外相は会談後の会見で、「アフガニスタンで何が起きているかを無視し、目先の利益だけ考えたことが今日の問題を生みだした」と、一時はタリバーン政権を支援した米国の外交姿勢を暗に批判。「性急な行動は罪のないアフガン国民を脅かす」と述べ、報復攻撃の動きをけん制した。
 
「攻撃協力国は報復の対象だ」 夕リバーン国防次官
                           (朝日新聞9月26日)
【カイロ25日=小森保良】
 アフガニスタン・タリバーン政権のムツラ・ヌール・アリ国防次富は25日、カタールの衛星テレビ局「アルジェジーラ」のインタビューに答え、「(アフガンに対する)攻撃に協力する者はすべて敵であり、報復の対象になる」と語った。(以下略)
 
民放労連が声明                   
                           (朝日新聞9月26日)
 日本民間放送労働組合連合会は23日の中央執行委員会で、同時多発テロ事件に対する米国の報復攻撃と、自衛隊による後方支援を打ち出した小泉首相の姿勢を批判する声明を決議した。「人類が過去に何度も経験した戦争の悲劇から学ぼうとせず、より多数の命が新たに失われることを勇ましくあおりたてている」と指摘。軍事行動ではなく法によって事件の容疑者を裁くよう主張すべきだと、日本政府に求めた。
 
インドネシア旅行に警告 反米感情高まると国務省
                  (神戸新聞Web NewS:2001年9月26日)
2001/09/27 11:04
 【ワシントン26日共同】米国務省は26日、インドネシアに居住または旅行する米国市民に対し、群衆や集会に近づかないことなどを呼び掛ける警告を出した。また、緊急要員以外の現地の米政府職員に対し、同国を離れることを認める決定を下した。
 
 米中枢同時テロで米国の報復攻撃が予想される中で、インドネシア国内に反米感情が高まっていることを受けた措置
 
報復支援なら邦人排斥も インドネシア強硬派
                   (神戸新聞Web NewS:2001年9月26日)
2001/09/26 19:06
 【ジャカルタ26日共同】インドネシアのイスラム強硬派組織「イスラム青年運動」のスアイブ・ディドゥ代表(35)は26日、ジャカルタの本部で共同通信と会見し、日本が米軍のアフガニスタンへの報復攻撃を後方支援すれば、インドネシア在留日本人に国外退去を求めるなど排斥運動を起こす考えを明らかにした。
 同国には約1万2000人の日本人が在留しており、別の強硬派組織が、日本が米軍を支援した場合、日本資産を攻撃すると警告したばかり。
 代表は、イスラム青年運動が募る聖戦義勇兵について、同日までに270人が志願したと説明。その役割を「米国人や、米軍の作戦を支持した国々の在留民を捜し出し、空港へ運び出国させる。ただし暴力は使わない」と説明した。
 
国連滞納金米下院が承認  一転、支払いへ
                           (朝日新聞9月25日)
【ワシントン24日=立野純二】
 米下院は24日、米国が滞納している国連分担金のうち今年分の約5億8千万ドルを支払う法案を可決した。下院は国連の活動内容に難色を示して支払いを渋ってきたが、テロ対策には国際社会の理解が必要と判断。与党の共和党がこれまで主張してきた反対理由を取り下げ、「国連尊重」の姿勢に転じた。
 上院は同法案を2月に可決しており、ブッシュ大統領が近く署名、支払いが行われる。
 下院共和党は当初、国際刑事裁判所(ICC)の設立について、海外の米軍訴追に利用される恐れがあると主張。ICCへの拠出は認めないなどの修正条項をつけようとしたため上院との調整がつかず、法案は宙に浮いていた。しかし同時多発テロで大統領が「戦時体制」を宣言したのを受けて、下院の共和党も軟化。共和党は修正要求を取り下げて、上院と同じ法−案を満場一致で可決した。
 
◆「オマル氏『会見』放送中止 VOAに国務省から圧力」(日経新聞、2001年9月24日)
 
 二十三日付のワシントン・ポスト紙によると、米政府海外向け放送(VOA)が、アフガニスタンを実効支配するイスラム原理主義勢力タリバンの最高指導者オマル師との電話インタビューに成功したものの、VOAに強い影響力を持つ国務省の圧力で放送を中止していたことが分かった。
 インタビューはアフガンの主要言語であるパシュトゥー語で行われ、オマル師は「米国の邪悪さは、私や(米側が同時テロの首謀者とみている)ウサマ・ビンラディンがたとえ殺されても消えるものではない。米国はイスラム諸国支配の企てをやめるべきだ」などと述べていた。VOAはこれを、ブッシュ大統領の議会演説に対するアフガン側の反応として二十日夜に放送する予定だったが、事前に察知した国務省が懸念を表明したため、放送は直前に差し止められた。国務省は「VOAはタリバンのメディアではない」と指摘、介入の正当性を強調している。(ワシントン=時事).
 
◆「報復より裁判求める欧・南米 米社31カ国調査」(朝日新聞、年9月23日)
 
【ジュネーブ支局22日】
 チューリヒ発のロイター通信によると、米の調査会社ギャラップは21日、米同時多発テロへの米軍による大規模な武力報復の是非について世界31カ国での調査結果を発表した。それによると、欧州や南米などでは8割から9割が武力行使よりもテロの容疑者の身柄引き渡しと裁判を求めていることが明らかになった。「支持」が半数を超えたのは米国とイスラエルの2国だけだつた。
 調査は17日〜19日の3日間に実施された。多くのイスラム諸国と敵対するイスラエルでは「支持」が77%、テロの標的となった米国では54%に達した。だが、NATO加盟国の中で「支持」が比較的高かったフランスやオランダでさえ3割弱にとどまった。調査対象には日本は含まれていない。
 
◆「反戦集会に数千人集結 NYで開催」(日経新聞、9月22日)
 
【ニューヨーク21日=窪田淳】
 米同時テロで、米政府が報復のための軍事行動の準備を着々と進めるなか、事件後初めての大規模な反戦集会が二十一日午後、ニューヨークで開かれた。集会には非政府組織(NGO)などのメンバーや学生ら数干人が繁結。「戦争が答えではない」「暴力ではなく法の裁きを」と訴え、夜の繁華街をデモ行進した。集会はニューヨークに本部を置くNGO「国際行動センター」などが呼び掛けた。行進の起点となった「ユニオンスクェア」は、崩壊した世界貿易センタービルから3キロほどの距離。参加した人々は「イスラムは敵ではない」「報復では私の心の傷はいやせない」などと書かれたプラカードを掲げて、米政府に軍事行動を踏みとどまるよう呼び掛けた。
 ニューヨーク市に住む会社員のカラ・バウラーさん(38)は「戦争には断固として反対する。犯罪行為には法の力で対処すべきだ」と強調。パキスタンからの留学生のファーリーン・ブットさん(21)は「大きな建物がほとんどないアフガニスタンを空爆しても効果は少ない。一般の人が巻き込まれて悲劇を繰り返すだけ」と話した。
 
タイムズスクエアで反戦集会 NYは平和を望む (asahi.com 9月24日)
          http://www2.asahi.com/national/ny/genchi/K2001092200520.html
 
 同時多発テロ事件でブッシュ大統領が強硬姿勢を示していることに対し、反対の声が出ている。21日午後9時(日本時間22日午前10時)すぎ、マンハッタンのタイムズスクエア周辺に若者たち数百人が集まり、プラカードを掲げて「ニューヨークは平和を望んでいる」と叫んだ。週末が始まった夜の繁華街で通行人が徐々に参加していき、通りを埋めるほどまで膨らんだ。
 ニューヨーク市立大学生のキャロリン・ブレットさん(19)によると、口コミや大学仲間の呼びかけで集まったという。「法的証拠がないまま、(イスラム過激派の指導者の)オサマ・ビンラディンの仕業と決めつけ、アラブ系住民に対する差別が広がっている。暴力に暴力でこたえても、新しい暴力を呼ぶだけ」と話した。「世界貿易センタービルで亡くなった人々の死を、戦争で汚すな」という声もあった。
 通りがかりのタクシー運転手らのなかには、クラクションを鳴らして「連帯」を示す人も。一方で、通行人には「戦争でしか解決できない」と激しく反論する姿もあり、周辺は一時、騒然とした。混乱や小競り合いを避けるため、多数の警察官が集会の参加者を取り囲んだ。
                                   (09/22)
 
◆「福島氏×小泉首相 米軍事報復の根拠で火花」(朝日新聞、9月20日)
 
 予想される米国の軍事報復の根拠は何かを巡って、19日の参院予算委員会で福島瑞穂氏氏(社民)が小泉首箱と火花をちらした、首相は「戦争状態」とする米国の認識を支持する姿勢を示し、軍事報復は「可能だ」と明書したものの、福島氏が求める法的根拠は示せなかつた。
 福島氏は「自衛権の行使のためには正規軍が侵略したといろような武力の攻撃が必要」と指摘。「米国は戦争状態と認識している」と述べた首相に、福島氏は「ある国が軍事行動だと考えれば、(報復のための)軍事行動ができるわけではない」と反論。首相は「可能だと私は思う」と押し切った。
 
◆「イスラム過激派 米への警告続々」(朝日新聞、2001年9月19日)
 
【カイロ18日=小森保良】
 アフリカやアジアのイスラム過激派組織が18日までに相次いで声明を出した。
 アルジェリアでは、同国のイスラム過激派組織「唱道と闘争」が声明を発表し、米国のイスラム・アラブ国家への報復攻撃があれば、アルジェリア国内の欧米の権益を攻撃すると警告した。
 インドネシアのイスラム過激派組織「イスラム防衛戦線」の代表ムハンマド・リジク・シハブ氏は、「米政府がどのイスラム諸国を攻撃しても、我々はちゅうちょせずに米大便館を襲撃し、米市民を捜し出して一掃する」と述べた。
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