戦争を煽る旧冷戦「生き残り組」
   ー背後に軍需産業と石油資本の影ー
  成澤宗男    週間金曜日、2002年12月20日号
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イラク攻撃を前に、ブッシュ政権は「テロとの関係」や
「大量破壊兵器の保持」といったロ実を掲げるが、
本音は豊富な石油資源を奪うこと。
そして実際に作戦を立案しているのは、冷戦時代の残党だ。
 
 「イラクに対する戦争が成功すれば、
ビジネスにとって好都合だ。世界で
の石油供給を1日あたり300〜500
万バレル増加させることができ
る」(ラリー・リンゼー経済担当大統
領補佐官)
 「戦争は、見通を明るくしてくれる。
イラクの石油をコントロールできる
ようになるのは最も重要なこと。特
に、石油価格についてだ」(ウィリア
ム・セイドマン元連邦預金保険公社
総裁)。
 
 ブッシュ政権はこれまで、イラク
ヘの攻撃について「テロリストとの
関係」とか、「大量破壊兵器の保持」
といった名目を掲げてきた。だがそ
の裏では、このように本当の狙い
示唆しているような発言が飛び交っ
ている。
 すでに米巨大石油会社三社の役員
が今年(2002)10月、「フセイン後」のイラ
クの政権受け皿とされる反体制派の
「イラク国民会議」のメンバーと会
談。埋蔵原油の開発と配分の問題に
ついて協議した。ブッシュ政権も、
戦争後をにらんだ@石油の増産幅A
OPEC(石油輸出国機構)からの
脱退の是非ー等を検討する作業チ
ームを発足させた。
 
 すでに世界の石油業界にとって、
,戦争の目的は「フセイン大統領に代
わって米国の言いなりになる体制
つくり、イラクの石油をコントロー
することにある」(『オイル&ガス
インターナショナル』今年(2002)10月
30日号)。だがそもそも対イラク戦
争は、ブッシュ政権になって考え出
されたものではない。
 
蘇った冷戦の残党
 
 その青写真は、米国の「9・11事
件」が起きる一年前の一昨年(2000年)
9月に発表された、一つのレポートで
すでに詳しく練られていた。
『わが国国防政策の再構築ー戦略、
兵力そして資源』と題されたこのレ
ポートは、ワシントンのシンクタン
ク「米国の新世紀のためのプロジエ
クト」(PNAC)が作成したもの。
そしてこの集団を探ってみると、い
くつかの興味深い事実が浮かび上が
ってくる。
 まず、PNACの主要メンバーが、
現プッシュ政権内で戦争をしゃにむ
に推進している超タカ派集団そのも
のだという点。ディック・チェイニ
ー副大統領をはじめ、ドナルド・ラ
ムズフェルド国防長官、ポール・ウ
オルフォヴイッツ国防副長官、ルイ
ス・リビー副大統領主席補佐官、エ
リオット・エイブラムス国家安全保
障会議上級理事といた面々がずらり
だ。
 
 また、対イラク最強硬派で、国防
総省の諮問機関である国防政策委員
会のリチャード・パール委員長をは
じめ、エリオット・コーエン、フラ
ンク・ガフニー両委員もPNACか
ら入っている。
 このうち、フォード政権時代にも
同じ役職だったラムズフェルド国防
長官を除き、図のように大半が冷戦
時代にタカ派として知られたレーガ
ン政権とその亜流のブッシュ(父)
政権時代のスタッフだ。
(略)
 
ブッシュの軍事戦略のルーツ
 
 事実、「9・11事件」をきっかけ
にブッシュ政権内でアフガニスタン
空爆が決定された直後の9月19
日、中東での「無制限戦争計画」を
主張するウォルフォウイッツ国防副
長官は、パール委員長と会談。早く
も、フセイン大統領の追放や、石油
の奪取などを内容とする対イラク戦
争の骨子を決定している。
 
 常に敵を求める冷戦思考に凝り固
まった彼らは、旧ソ連に代わり、「テ
ロリスト」やビンラディン、フセイ
ンといった新たな敵を再び見出した
ようだ。
 次に気付くのが、このレポートに
盛り込まれた内容が、ことし(2002年)
9月に発表された米「国家安全保障戦略」
をはじめとする現ブッシュ政権の軍
事政策に酷似していること。
 
 すでにレポートでは、フセイン大
統領の追放を含む湾岸地帯での軍事
作戦を主張しているが、「国家安全
保障戦略」でも米国の外交目的は、
湾岸地域の石油を妨げられること
なくアクセス(入手)できるよう保
障」することにあると明記している。
さらに、@従来の「抑止と対話」
から先制攻撃の重視A軍事費の対G
DP比率3・8%までの上昇B超小
型核弾頭の開発と投入Cイラン、イ
ラク、北朝鮮の三国に対する軍事的
圧力の強化といった項目なども、
ほぼ両者は重なっている。
 
 このように、ブッシュ政権の政策
をコントロールしているPNACの
メンバーだが、単なる時代錯誤の戦
争熱にあおられた集団ではない。
ラムズフェルド国防長官は知る人
ぞ知る軍需産業の代理人だが、PN
ACを主宰していたブルース・ジャ
クソン前議長は、レーガン政権時代
に国防総省に勤務した後、全米第一
位の軍需企業であるロッキード・マ
ーティンの役員を務めたことがある。
こうした人脈のつながりから、イラ
ク攻撃に象徴されるブッシュ政権の
軍事政策が、軍産複合体の利益に添
ったものであることが想像される。
 
 また、国防政策委員の一人として
「冷戦に続いて”9・11”から第四
次世界大戦が始まった」などとして
イラクとの戦争を煽っているジェイ
ムス・ウールシー元CIA長官も、
マーチン・マリエッタ(現ロッキー
ド・マーティン)などいくつかの
手軍需企業の役員を歴任している。
 
暴露された石油征服の本音
 
 さらにチェイニー副大統領は、以
前巨大石油サーピス会社、ハリバー
トンの最高経営責任者で、「石油業界
で最もリッチで最も有力な大立者」
(英ガーディアン』紙今年(2002年)10
月6日付)。昨年自身が責任者となっ
て発表した「国家エネルギー政策レ
ポート」(チェイニー・レポート)で、
「米国が湾岸地帯の石油をアクセスす
るのを容易にする」必要性を強調して
いる。
 
 また副大統領の意向を受けて昨年
発表された、時の政権に最も影響力
が強いロックフェラー系(傘下に世
界最大の石油会社、エクソン・モー
ビルがある)シンクタンクの「外交間
題評議会」のレポートも、石油に対す
るあからさまな野望を示している。
(略)
 さらに、いまこそ「安全保障上の
緊急事項」として、軍事力を投入し
ても安く豊富な石油の「アクセス」
を急ぐべきだと提言するが、その対
象地として湾岸地域のみを挙げ、特
にイラクでの石油生産を拡大する必
要性を強調している。
 
 事実、米エネルギー省の試算では、
イラクの石油埋蔵量は1億1300
万バレルで、サウジアラビアに次ぐ
量とされてきたが、最近の調査では、
未開拓だった鉱脈を含むと米国の輸
入量の98年分に匹敵する2億2000
万バレルに修正されている。
 つまり、「この安く豊富な石油」を
有するイラクのみが、「今後米国が求
める水準の確保に応じることができ
る」(同『ガーディアン』紙)という。
 
 冷戦残党のタカ派が権力に復帰し、
ご用済みになるのを恐れる軍需産業
と、原油供給の先細りにおびえる
油資本の利害を代弁。新たな「敵」
への攻撃の口実を考えながら、再び
戦争を起こそうとする一一。これが、
イラク危機の本質ではないか。
 
(注)「Right-wing US group lobbies for war on
Iraq」http://www.wsws.org/articles/2002/nov/
2002/iraq-n23.shtml
 
PNAC主要メンバーの現在の肩書き
ディック・チェイニ7副大統領
ドナルドうムズフェルト国防長官
ポール・ウォルフォウィッツ国防副長官
ルイス・リビー副大統領主席補佐官
(略)
 
 
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9・11」事件の謎 ー6
  ユナイテッド機はなぜ落ちたか
  成澤宗男    週間金曜日、2002年12月13日号
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乗客が「ハイジャック犯」と格闘し、その結果墜落したとさ
れるのが、ユナイテッド航空93便だ。しかしその後明らかに
なったあらゆる事実は、この美談を疑わしいものにしている。
 
歴史的な惨事が生ずると、
時に崇高な自己犠牲の精神が
発揮される美談が生まれる。
古くはタイタニック号の遭難
(略)そして、昨年(2001年)の
「9・11」事件でも同じであった。
(略)「ハイジャック犯」
と格闘して旅客機がコントロ
ール不能となり、墜落して命
を落としたとされるユナイテ
ッド航空93便(以下、93便と
略)の乗客たちがいる。
 ブッシュ大統領をはじめF
BI(連邦捜査局)のモロー
長官など、米政府高官はこぞ
って後者の人々を「英雄」と
称え、米『ニューズウィーク』
誌は、「祖先のように圧制をは
ねのけて立ち上がった」、「市
民兵士」とまで呼んだ。
 だが、こうした「英雄神話」
だけで、93便の乗員・乗客四
五人が死亡した悲劇を単純化
することはできそうにもない。
 
さまざまな目撃証言
 
 昨年(2001年)9月11日の午前
10時6分、93便は、ペンシルベ
ニア州の片田舎にあるシャン
クスビルという村の旧炭坑近
くに墜落した。地面に激突し
た瞬間の唯一の目撃者という
L・パーボー氏の証言では、
「コントロール不能」で墜落
したという説が疑わしくなる。
 「ほんの一瞬でしたが、スロ
ーモーションの映画を見てい
るようでした。振動で機体が
揺れたかと思ったら急降下し、
機首を裂いて巨大な爆発があ
り、地面に突っ込んだのです。
即座に、誰も助からないだろ
うと思いましたね」(英『イン
デペンデント』紙今年(2002年)
8月13日付)
 
 衝突の瞬間は目撃せずと
も、93便を視界に収めた住民
が何人か存在するが、彼らの
証言はパーボー氏と食い違う。
その一人、K・レバーナイト
氏が、「煙はなかったよ。まっ
すぐ落ちたんだ」( デイリ
ー・アメリカン』紙昨年(2001年)
9月12日付)と述べるなど、「爆
発」について触れた目撃者は
現在までほかに現れていない。
 
 では、93便は地面に激突す
るほんの寸前に「爆発」した
のだろうか。さらに、この限
られた時間に目撃されたのは
93便だけではない。少なくと
も六人の住民が、低空を飛ぶ
謎のジエット機を見ている。
そのうち、最も詳しい証言
をしているのは、S・マック
ルウェーインさんという51
歳の女性だ。
「自動車を運転中に、頭上を
まっすぐ通過したのです。白
くてマークが何もなく、後ろ
にエンジンがあって巨大な尾
翼と二つのフィン(垂直安定
翼)がついてました。間違い
なく軍用機です」(英『デイ
リー・ミラー』紙今年(2002年)
9月13日付)
 
 パーボー氏も、「白い飛行機
が、墜落現場上空を二回旋回
するのを見ました」と語って
いるが、いずれもその特徴は
ほぼ共通している。
 
別の飛行機はいたのか
 
 同時に目撃談をもとに政府
側の発表を検討していくと、
実に不可解な印象を受ける。
 まずこの戦闘機らしき飛行機
は、当然「ハイジャック機」
を迎撃するため飛来した可能
性があるが、はたしてこの類
いの機種が現場にいたのかい
なかったのか、政府内部で食
い違いが生じているのだ。
 
 これまでの公式発表では、
州空軍統監のG・ウェバー将
軍は「州空軍をはじめ他のい
かなる軍用機も93便を追跡す
るため迎撃していない」と述
べているが、国防総省のP・
ウォルフォウィッツ副長官は
「空軍は93便を追尾していた」
と言明。一方、北米防空司令
部(NORAD)の広報官は、
「93便を追跡していたかどう
かについては否定も肯定もし
ない」と発表している。
 
 さらに、当初FBIは「墜
落現場付近に他に飛行機はい
なかった」という見解だった。
だが、途中から目撃証言が報
道されたのを意識してか、「民
間のビジネスジエット機のフ
ァルコン機が、当局からの要
請で現場を観察していた」(英
『インデペンデント』紙今年
(2002年)8月23日付)と変
わっている。
 
 だが、当日9時45分の時
点で、全米の飛行空域では
間航空機は直ちに最寄の飛行
場に着陸するよう緊急指示が
出ていた。上空を飛んでいる
こと自体、ありえないのだ
(略)
 一方、ニューハンプシャー
州のある管制官は、報道規制
を無視して「1機のF16が93
便を追跡し、墜落も見ていた
はずだ」と証言。現場から約
96キロ離れた地震観測所の
計器も、9時22分に音速機
(ほぼ軍用に限られる)の衝
撃波音を記録している。
 
 軍全体が一致してF16の存
在を認めてかまわないはずだ
が、なぜ見解がまちまちなの
か。しかもかりに上空にいた
としても、識別マークのない
配備中の戦闘機・戦闘爆撃機
は存在しないので、話はミス
テリーじみてくる。
 
 だが、ホワイトハウスと軍、
FBIが一致する見解はあ
る。墜落は「英雄」たちの決
死的行為の結果、機体操縦が
不可能になったのが原因で、
当然93便は「撃墜もされてい
ない」(注1)というものだ。
だがこの点についても、現
在までのさまざまな報道で疑
問が投げかけられている。
 
「英雄」美談の真実
 
 この「英雄」たちのストー
リーが誕生したのは、乗客で
「ハイジャック犯」と闘ったと
いうT・バーネット氏やJ・
グリック氏らが機内から数回
かけたという携帯電話を、家
族がメモや記憶で再現したも
のに多くを負っている。
 
 これまで「自分が死ぬのは
分かっている。われわれ三人
は、あることをやろうとして
いる」(注2)といったバーネ
ット氏らの「肉声」などが断
片的に新聞などで伝えられて
きたが、実際に機内で何が起
きたかについてはほとんど伝
えられてこなかった
 
 その最大の理由は、「9・11」
事件で「ハイジャック」され
た四機の旅客機のうち、唯一
機能が維持されたまま回収さ
れたという93便のブラックボ
ックスが、これまでの航空機
事故の例に反して公開されて
こなかったため。パイロット
と航空管制官のやり取りも非
公開のままで、さらに管制官
に対してはなぜか現在も報道
関係者のインタビューが禁止
されている。
 
 ブラックボックスは、事故
30分前から操縦室内の声を
録音するコックピット・ボイ
ス・レコーダー(CVR)と、
25時間にわたって飛行機の
高度やスピード、エンジンデ
ータなどを記録するフライ
ト・データ・レコーダー(F
DR)の二つによって構成。
 
 特にCVRについては、異
例にもFBIは「捜査中」と
か「かえって遺族を傷つける
ことになる」との理由で、公
開を拒んできた。しかし、当
の遺族の強い要求で今年(2002年)
4月、ニュージャージー州のホ
テルで、遺族だけを集めてや
つとCVRが初めて公開され
たものの、かえって事件の闇
を深める結果になった。
当日出席したK・ナック氏
は、事故で兄を亡くしている
が、「衝撃的な録音はなかった。
音質がひどかった」と証言し、
テープは衝突三分前で音が途
切れているという。別の匿名
の遺族は、争ったような音が
聞こえたというが、やはり最
も決定的と思われる最後の三
分間が無音だったという
((『フィラデルフィア・デイリ
ー・ニュース』紙今年(2002年)9
月16日付)。
 
 このため、機内の状態を客
観的に示す唯一の公式記録で
あるCVRの内容からは、「
客と”犯人”との格闘で墜落
したというのは推測にすぎな
い」(前出『デイリー・ミラ
⊥紙)という結論を導き出
されざるをえないだろう。3
分間の空白についても、FBI
をはじめすべての捜査機関
からは何の説明もない。
 
 では、墜落原因は謎のまま
なのだろうか。残された手が
かりは存在する。ここで、再
び事故当日の現場に戻ろう。
 
なぜ破片が空から
降ってきたか
 
 特に関心を引くのは、「空か
ら飛行機の破片が落ちてきた
との、多くの住民の証言だろ
う。さらに、93便が積んでい
た郵便物やシートの破片など
が、現場から13キロも先で
見つかり、1トン以上あるエ
ンジン部分も胴体から離れ、
1・8キロ離れた場所に転が
っていた
 
 FBI側は、これについて
「風で郵便物などが運ばれた。
また、墜落時の衝撃が強いた
めにエンジン部分が飛ばされ
た」と説明している。だが、
当日の風速はごく弱く、紙類
をそんな遠くに飛ばすのは考
えられない状態だった。また、
現場はきわめて柔らかい士壌
で、衝突直後にエンジンだけ
をはずみで1・8キロも先に
飛ばすのは困難だ
 
 しかも、胴体部分を除き
残った最も大きな残骸部分
が、電話帳よりもやや大きい
ぐらい」(注3)というほど
体が細分化していたという。
 
 もはや、93便が単純に地上
に落下した可能性は薄いこと
がうかがえよう。前述のパー
ボー氏の証言が再び注目され
るゆえんだ。では飛行機が航
行中に爆破したとして、内部
からなのか、それとも外部か
らの攻撃によるものなのか。
興味深い証言がある。地元
シャンクスビルの村長が、「
サイルの発射音を聞いた人間
を二人知っている。F16も近
くにいた」と事件後に発言し
ているのだ(『フィラデルフィ
ア・デイリー・ニュース』昨
年(2001年)11月15日付)。
 
 いずれにせよ93便のように
「9・11」事件では、なぜこ
れほどまでに不可解な事例と
理解しがたい情報規制が多い
のか。(略)
 
 このため六月には、ジャー
ナリストや民間の研究者らが
集まり、「政府や議会では『9・
11』の実態が解明されない」
として、ワシントンで独自の
真相究明を目指す「未解答の
疑問」という名のグループを
発足させた(注4)。
 
 その共同設立者の一人であ
るK・ヘンス氏は、93便につ
いては「ミサイル撃墜」説を
とりながら次のように語る。
“ハイジャック機”の撃墜
は、大統領が認めれば可能
す。ただ93便は、さまざまな
情報から重要施設に追突する
はずだったのが、何かの原因
で着陸する状態に向ったと推
測できる。そのため、誰かが
それを阻止したのではないか。
本当にハイジャックがあった
のかなど、事件の謎の核心が
明るみに出ると困る勢力が動
いたのだと思います」
 「いかに困難でも、真実は必
ず明らかになるでしょう。で
も、ブッシュは『9・11』を
口実にイラクヘの攻撃などを
行なおうとしています。であ
る以上、少なくとも政府の事
件についての説明が疑わしい
という事実を当面訴えていき
たい。この怪しげで疑惑だら
けの事件が、大量の血が流さ
れる戦争の名目にされてはな
らないのですから」
(注1)「Operation911-NoSuicidePilots」
http:www.rense.com/genera118/opp.htm
(注2)バーネット氏らの会話内容は「FLIGT 93
TIMELINE」
http://www.unansweredquestions./timeline/
AAflight93.htmlから参考。なお、「機内か
らの携帯電話」は墜落八分前からすべて止まったと
され、機内の様子をさらに分からなくしている。
(注3)(注1)と同。なお、胴体部の各破片も、大
きめのテーブルほどの大きさしかなかったと報道さ
れている。
(注4)「UnansweredQuestions.Org」
http://www.unansweredquestions.org/topic-php?tid=59
を参照。
※今回の連載にあたっては、時間・場所等の基本的
データは「THECOMPLETE9/llTIMELINE」
(http://www-unansweredquestions.net)を主に参
照した。
 
 
9・11」事件の謎 ー5
  誰かが事前に知っていた
  成澤宗男    週間金曜日、2002年12月6日号
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「9・11」事件の直前、事件に巻き込まれて株価が暴落し
た企業の株が、軒並み大量に売られていた、この動きを探
っていくと、諜報機関をめぐる奇怪な動きが見えてくる。
 
 「え、『9・11』前後の株価の
動きに関して取材したい?
前後といっても、前の方でし
ょう。それなら、いっさい質
問には答えられません
 取りつく島もないというか、
米国証券取引委員会(SEC)
のJ・ネスター広報官は、こ
ちらの説明についてろくに耳
を傾けないまま一方的に電話
を切った。今年(2002年)九月
半ばのことだ。
 
 SECは約2000人の職
員を擁し、不正な証券取引を
摘発する権限を持つ。だが、
記者の取材目的である「史上
最大規模のインサイダー取引」
とされる「9・11」事件直前
の不可解な株取引について、な
ぜか取材されるのを極度に警
戒している気配が感じられた。
 
 株売買の形態の一種に、「オ
プション取引」がある。実際
に株を所有しなくとも、「特定
の銘柄を決められた期日まで
に、決められた価格で、売っ
たり買ったりする権利」を一
定の金額を払って、取引の材
料とするやり方だ。
 このうち、プット・オプシヨ
ンと呼ばれる「売る権利」は、
相場が下落すると予測される
ときに購入される。なぜなら
株価が下がる前に、「売る権利」
を行使して売っておけば、結
果として損はしないからだ。
 
 そしておかしなことに、
「9・11」事件に直接巻き込
まれ、自社株が大幅に値下が
りした会社に限り、あたかも
事件発生を完全に見越したか
のようにその直前、プット・
オプション(プット・オプシ
ョン1枚分は100株で構
成)が大量に購入されている。
 
 この取引が大量に行なわれ
たのは、シカゴオプション取引
所だ。たとえば、事件で「ハイ
ジャック」されたとされる旅
客機の航空会社二社のうち、
ユナイテッド航空の親会社
UALの株が、昨年(2001年)9月
6日から10日までの土・日曜を除く
三日間で、プット・オプション
が4744枚購入された。この
数字は、それまでの取引平均
値の実に180倍にあたる。
もう一社のアメリカン航空
の親会社AMRは4516枚
で、やはり120倍という異
常な動き。ところがデルタや
コンチネンタルといった、「事
件」に巻き込まれなかった航
空他社は、ほとんど取引高に
変化はないから、不自然さは
際立っている。
 
事前に分かっていた
株価の急落
 
 ちなみに、米国の株式市場
は、事件当日から四日間閉鎖
されたが、再開された17日
には、UALの株価は43%、
AMRの株価は39%それぞ
れ暴落している。この下落幅
は、同じ期間のダウ平均の落
ち込み率7・123%より
も、はるかに上回っていた。
(略) 
 さらに、株の信用取引には、
やはり相場の下落を見越して
行なう「カラ売り」というプッ
ト・オプションと類似したや
り方があるが、ニューヨーク証
券取引所では、同時期にUA
LとAMRの両銘柄を狙った
「カラ売り」が異常に増加した。
そこでは、UALが439
万株「カラ売り」され、前月
と比較して40%も上昇、A
MRは298万株、20%の
上昇だった。捜査当局も「事
前に何が起きるかを知ってい
た誰かが、株の下落によって
利益を得ようとした」(米『サ
ンフランシスコ・クロニクル』
紙昨年9月22日付)と見な
している。これがシカゴでの
動きと連動したものであるこ
とは、まず間違いないだろう。
 
 ただ、ニューヨーク証券取
引所執行局のD・ドハーティ
ー副局長は、「取引所はその内
部で起きた出来事は自分で管
理する」とのコメントを出し
ただけ。現在まで独自の調査
を行なっているかどうか、不
明のままだ。
 
取引実行者が
事件の犯人?■
 
 世界で最初にこの奇怪な動
きを公表したのは、イスラエ
ルの「対テロリズム国際政策
協会」というシンクタンクだ
った。そこに勤務する株取引
の知識が深いA・D・ラドロ
ール氏は、昨年(2001年)9月
19日に次のように指摘している。
 「『9・11』事件が起きる以
前に、それについての詳しい
情報をあらかじめ知っていた
何者かが、インサイダー取引
に共犯者として関与している
はずだ。あるいは、この取引
を行なった人間と、攻撃その
ものを画策した人間が、同一
人物である可能性が極めて高
い」(注1)
 
 では、米国政府が「9・11」
事件の実行犯と特定したア
ル・カイダとビンラディンら
が、この疑惑の取引の当事者
なのだろうか。SECは、「事
件の1ヶ月以内に司法省と共
同で、世界の証券会社に38
の株式銘柄を提示し、事件に
関連して、事前に予測するこ
とで利益を得ていたような
ット・オプションの買い手に
ついての情報を求めた」(注2)
という。しかし、事件後一年以
上たっても、なぜか何一つ詳
しい情報は公表されていない
 
 確かに、「取引当事者は偽名
や幽霊団体の名称を使ってい
るだろうから、彼らの追跡は
困難」(前出、ラドロール氏)
なことは間違いない。だがS
ECの調査能力のみならず、
「9・11」事件そのものの巨
大さ、そしてこの「歴史上最
も悪質で、最も恐ろしく、そ
して最も悪魔的なやり方のイ
ンサイダー取引」(『ブルンバ
ーグ・ビジネスニュース』昨
年9月20日号)の実態を考
えると、誰一人として名前が
浮かび上がってこないのは、
あまりに不自然に見える。
(略)
 無論、CIAが疑惑の取引
とどのような関係があったの
かは謎のままだ。だが、少な
くともCIAは人的な結合の
みならず、証券を始めとする
金融の世界に極めて深くかか
わっているのは事実だ。
「追跡者用情報処理システ
ム」(PROMIS)と呼ば
れる、特殊なコンピューター
ソフトがある。CIAが開発
したもので、広範な金融の
個々の取引実態を世界レベル
で瞬時に把握することが可能
とされており、当然、インサ
イダー取引のような違法行為
はこれで摘発可能だ。
 
 CIAは国内での活動を法
律で禁止されているが、問題
の取引は米国以外の国でも行
なわれている。当然、何らか
の情報があがっているはずだ
が、やはり何の発表もない。
米国政府が「9・11」の犯人
とした、「テロリスト」との関
わりについても同様だ。
では、諜報機関はインサイ
ダー取引について、異常な値
動きが観測された時点から何
の情報収集もできず、事件の
勃発も事前にキャッチできな
かったのだろうか。実は、そ
うではない可能性がある。
 
「極秘情報」の
恐るべき内容
 
 米国の捜査当局は今年五
月、カリフォルニァ州サンディ
エゴに住むA・1・エルジン
ディーというエジプト出身の
株ブローカーを、インサイダー
取引や詐欺の容疑で逮捕した。
起訴状によると、エルジンデ
ィーは昨年(2001年)9月10日、
ソロモン.スミス・バー二ーの社員
に対し、「ダウ平均は9600
ドルから12000ドルに下が
ると述べ、自分が保有してい
た30万ドル相当の株を売却
するよう指示した」とされる。
問題は、この人物の逮捕と
連座し、FBIの現職職員と
元職員も逮捕されている点。
 
 このうち、昨年(2001年)12月に退職
したJ・ローヤーという元職
員は、在職中にFBIの極秘
ファイル「国家犯罪情報セン
ターデータベース」に違法に
アクセスし、さらに辞めた後
も、L・ウインゲートという
職員を通じ、内部の「極秘情
報」を入手し続けていた。
起訴状によれば、エルジン
デイーはローヤーに資金を渡
し、その「極秘情報」を得る
ことによって「『9・11』事
件を知ることができ、それに
よって利益を得ようと試みた」
(注4)という。この事件は、
ニューヨーク・ブルックリン
の地方裁判所の管轄になって
いるが、現在までのところ
 
「極秘情報」の内容は明らか
にされていない。
だが、その「極秘情報」
は、エルジンデイーの容疑か
らすると、「9・11」という日
を正確に特定した上で、その
日に何かが起きることを事前
に予知していた内容であった
ことは間違いない。
 
 この事件は米国ではなぜか
あまり注目はされていないが、
これまで米国政府が発表して
きた内容を根本から覆す可能
性を秘めている。なぜなら、
CIAやFBIによる「9・
11」事件勃発を事前に察知で
きなかったとの説明が、まっ
たく疑わしくなるからだ。
では「史上最大規模のイン
サイダー取引」の実行犯は、
やはりエルジンディーの事件
と同じように流出した「極秘
情報」を入手していたのだろ
うか。それとも「極秘情報」
の出所自体が、疑惑の取引と
直接関係しているのか。
(略)
 
(主1)「Revealing 9-11 Stock Trades
Could Expose The Terrorist Masterminds」
(http://www.americanfreepress.net/
05130-Co/revealing 9-ll_stock_trades_
co.html
(注2)「Still Silence From 9-ll Stock
Speculation Probe」
(http://www.newsmax.com/archieves/
articles/2002/6/2/62018.shtml)
(注3)「SUPPRESSED DETAILS OF
CRIMINAL INSIDER TRADING LEAD
DIRECTLY INTO THE CIA'S
HIGHEST RANKS」
(http://www.fromthewilderness.com/
free/ww3/10_09_01_krongard.html)
(注4)「Feds:Ex-Agent Had Key Data」
(http://propagandamatrix.com/Ex_Age-
nt_Had_Key_Data.htm)
 
 
9・11」事件の謎 ー4
  国防総省の怪
  成澤宗男    週間金曜日、2002年11月22日号
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「9・11」に国防総省に衝突した飛行機の翼や胴体を、
誰も見てはいない。実際に、そこで何が起きたのか。
 
「9・11」事件の翌日の、国
防総省内記者会見室ー。同省
に隣接するアーリントン地区
のE・プロパー消防署長が、
マスコミの質問に応じた。 
 事件当日は、アメリカン航
空77便のジェット旅客機・ボ
ーイング757-200型機(以下B
757と略)がハイジャックされ、
ワシントンの国防総省に衝突
したとされる。直後に消火作
業にあたった部隊の一つが、
この消防署だった。以下は、
そのときのやり取りの一部だ。
 
 「何か飛行機については残っ
ていないのでしょうか」
「まず飛行機についての質問
だが、消火作業で(建物)内
部にいくつかの飛行機の小さ
な破片があった。それは、大
きな部分ではない」
「言い換えれば、胴体部分と
か、そういった類のものはな
かったということですね
「わかっているだろう、それ
についてはコメントしたくな
いね。飛行機が接近した時に
実際何が起きたかについての
情報なら、君に提供してくれ
る多くの目撃者がいるんだ。
だからわれわれは知らんし、
私も知らん」(注1)
 
 この「9・11」後から数日
間は、大統領も含めさまざま
な記者会見が行なわれた。だ
が、この記者会見ほど奇妙だ
ったのは、他に例がない。
真っ先に現場に急行したは
ずの消防隊の責任者が、そこ
に飛行機の「胴体部分とか、
そういった類のもの」があっ
たかどうかというごくありふ
れた質問に対し、なぜか「コ
メントしたくない」と言った
かと思えば、意味不明な「目
撃者」云々の後、最後に「知
らん」と言いだすのだから。
 
(略)、この国防総
省で「実際何が起きたか」とい
う問題ほど、大きな論争を呼
んでいるテーマは他にないだ
ろう。その主な理由は、米国政
府の説明に多くの不明瞭な点
があるからであり、冒頭のプ
ロパー消防署長の奇妙な発言
はそれを象徴しているようだ。
 
 昨年九月一五日に国防総省
で行なわれた同省「被害修復
委員会」のL・工ーベイ委員
長の記者会見によれば、B757
は五角形の形をした建物が五
重になっている同省の西側の
一階と二階の間に衝突し、「さ
らに1棟から3棟まで貫通
した」と説明している。
だが、これまで公開された
多くの写真を見る限り、誰し
も多くの疑問が生じてくるの
ではないか。以下、四つの写
真をもとに説明してみよう。
 
不可解な写真の数々
 
 @は、衝突直後の写真だ。
B757は100トン近くある。
当日は低空を時速400キロ
以上で飛行したとされている
が、それが直撃しても建物の
柱に異常なく、穴もあいてい
ないのは、あまりに不自然と
の指摘が数多くある。(注2)
とりわけ疑問なのは、ここ
では旅客機の主要部分が映っ
ていない。前出の記者会見で
述べられていたように、細か
く飛び散った飛行機の破片ら
しき別の写真はいくつか存在
する。だが、肝心の胴体や主翼
が映った写真は皆無だ。建物
にのめり込んだ形跡もない
 
 これについて、以前ボーイ
ング704ジャンボ機のパイロッ
トだった人物は、次のように
語っている。
「飛行機の胴体には燃料タン
クや荷物が入っているが、そ
うした残骸はこれらの写真に
は出てこない。それにシート
は? 乗客は? 私は地上か
水面、あるいは建物であれ、
飛行機が消えている航空機事
故というものをかつて見たこ
とがない。これらの写真が事
故三日以内に撮られているな
ら、必ず残骸があるはずだが」
(注3)
 
 国防総省側の発表による
と、「飛行機の機首部分が建物
の外側に残されて、さらに機
首の後部の破片部分が内部に
残された」(工ーベイ委員長)
というが、少なくともそうし
た写真は公開されてはいない。
(注4)
 
 B757は、約3万2500リ
ットルのケロシン燃料が事故
直前に残っていたと計算され
る。そのため巨大な火の玉が
発生したのを示す写真は存在
するが、両翼で幅38メート
ルという巨大な主翼や、地上
から13・6メートルの高さ
になる尾翼、長さ47・3メ
ートル・幅7・3メートルの
胴体、計64人の乗客・乗務
員を、跡も残さず燃え尽きさ
せるほどの強力なものなのか。
 
 写真Aは、一部が崩壊し太
建物だ。衝突の約30分後に
崩れたというが、国防総省の
説明と矛盾する。なぜなら、
両翼38メートルの飛行機が
45度の角度で衝突した場
合、損傷部分は少なくとも55
メートルに及ぶ。ところが、
実際にダメージを受けた建物
部分が22メートルほどでし
かない。
 
 また、火災が起きたにして
は、崩れた屋根部分がほぼ無
傷で、露出した建物内側にも
特に激しく燃えたような形跡
がないのはなぜなのか。さら
に、そこで何と木製のイスと
その上に置かれた本がそのま
まになっていたと報じられた
事実を、どう解釈すればいい
のだろう。(注5)
 
 写真Bは、国防総省によれ
ば、三棟目に残されたB757の
貫通跡という。直径二・三メ
ートルあまりだが、「飛行機
の機首部分が建物の外側に残
され」ながらも、機体のどの
部分が三棟に大穴を開けたの
だろうか。
 建物の外壁は米軍の中枢だ
けあって、外部の攻撃にも耐
えられるよう厚さが約61セ
ンチもある。さらに近年の改
修で鋼鉄のみならず、防弾チ
ョッキや宇宙ステーションの
材質などにも使用されている
特殊な繊維によって徹底的に
強化が施されている。
 それを、材質が主に軽合金
で製造されている旅客機が、
いくら高速で衝突したとはい
え3棟までも貫通できるもの
なのか。
 
 写真Cは、旅客機の残骸ら
しきものと、放水中の様子が
映っている。国防総省によれ
ば当時の状況は、「首都ワシン
トン地区空港消防局が、飛行
機が建物西側に衝突した直
後、煙が渦巻く崩壊した衝突
地点に放水した」という。
だが、こうした説明は、
来なら航空機事故ではありえ
ないことなのだ。なぜなら、
油に火がついたら絶対水をか
けてならないように、飛行機
事故では燃料が残っている可
能性があるため、必ず泡状の
化学消火剤を使用する。
 
 米連邦航空局(FAA)も
厳しい規定を定めているが、
B757が「衝突した直後」にあ
えて使ってはならないはずの
水をかけていたと認めたのは、
問題は建物の火災だけで、
体そのものは「崩壊した衝突
地点」近くに存在していなか
ったということなのだろうか。
では、同じこの写真に映っ
ている飛行機の切れ端らしき
ものは何なのだろう。
この程度の大きさのものな
らいくつかの写真に撮られて
いるが、かりに燃え尽きても、
主翼など巨大な部分が少し残
ってしまうのなら話はわかる
が、なぜこんな小さな部分だ
け燃えつきもせず残っている
のか。
 
何が飛来し、
何が衝突したのか
 
 これらの写真が示す事故直
後の現場の様子をうかがう限
り、国防総省の説明は簡単に
納得させてくれない。(略)
 特に問題を複雑にしている
のは、国防総省の上空を飛ん
だり、あるいは衝突直前のB
757の写真が、なぜか首都にも
かかわらず一枚も存在してい
い点だ。また、証言の内容
も異なっている。
 確かに、同省めがけて飛来
するアメリカン航空B757の目
撃者は多い。ごく一例を挙げ
れば、陸軍のL・リブナーと
いう大尉は、AFP通信の記
者に対し、「大きなアメリカン
航空機がスピードを上げ、低
空で飛行してくるのを見た」
と証言し、雑誌編集者のJ・
オキーフ氏は『ニューヨー
ク・ロージャーナル』誌に、
「銀色の飛行機だった。すぐ
アメリカン航空機だと分かっ
た」と寄稿している。
 
 ところが『USAトゥデー』
紙のM・ウォルター記者のよ
うに、「翼のついた、巡航ミサ
イルのような飛行物体を見た。
自分がいた右方向から国防総
省に衝突した」というような
証言も存在する。また「戦闘
機のようなカン高い音を出す、
8人から12人乗りの飛行
機」(【ワシントン・ポスト」紙
に掲載されたS・パターソン
氏の証言)も、事件直前に何
人かから目撃されているが、
これらが同一のものか不明だ。
(略)
 昼は深まるばかりだが、こ
とし三月七日になって、米C
NN放送は、初めて国防総省
にB757が衝突して炎上する模
様を捉えたとする約五秒間の
画像を公開した。(D、注7)
このため、「B757は衝突して
いなかったなどという噂が誤
りであることが、これで決定
的に証明された」といった評
価も生まれた。しかし、問題
はそれほど単純ではない。
 
出所不明の
ビデオの画像
 
 まずこの画像は、国防総省
の北側にある防犯ビデオが捉
えたとされるが、不思議なこ
とに同省は、「防犯カメラから
のいかなるビデオや写真も公
開していない。(この画像が)
公式なものかどうかは、コメ
ントできない」(C・イルウィ
ン広報官)という立場だ。
 
 画像の最初の時間も「9月
12日17時37分」とな
っている。事件は同省の公式
発表だと、9月11日9時37
分で、これでは何かの裁判
証拠として提出されても、
採用されないだろう。
 しかも画像には、爆発して
大きな火炎が生じる前に、ほ
んの一瞬だけぼんやりした尾
翼らしきものが映っている。
どう考えても「アメリカン航
空機ははっきりと映ってはい
ない」(『ワシントン・ポスト』
2002年3月7日号)とい
う評価が正確だろう。また、
「建物の大きさをもとに計算
してみると、B757機の尾翼よ
り小さい」(注8)という。
 
 では、「実際に何が起きた
か」を立証することはできな
いのか。しかし、これまでの
情報を総合すると、衝突場面
記録したと思われるビデオ
が少なくとも二本存在する。
その一つが、名前は特定さ
れていないが、国防総省近ぐ
のホテルの防犯カメラだ。従
業員は何か「ショッキングで
恐ろしいフィルム」を実際に
見たというが、FBIによっ
て捜査の名目で押収されてい
る。(注9)
 
 また、国防総省職員専用の
ガソリンスタンドの防犯カメ
ラも現場を記録していた。そ
こで働くプエルトリコ出身の
J・ヴェラスケス氏によれ
ば、映像は見ていなかったが、
衝突から数分以内にFBI
がやってきて、ビデオを押収
していった」(『リッチモンド・
タイムズ』2001年12月
11日)と証言している。
消防車ですら現場に到着す
るまで衝突後5分から10分
近くかかっているのに、なぜ
わずか数分以内にFBIが予
期していたかのように駆け付
けたのか。しかも事件直後は
大混乱で、捜査どころの話で
はなかったはずなのだ。
  
 国防総省は今春、「事件は米
国政府の自作自演」と主張す
る『恐るべき疑惑』という題
名の本がフランスで出版され
たことに対し、「アメリカ人の
顔を平手打ちにした」と抗議
の談話を発表している。
だが、もし著作が間違って
いるなら、FBIが所蔵して
いるビデオを公開すればよい
だけの話ではないか。なぜそ
れが一年以上たっても未公開
なのか。
 
(注1)「So where is the plane?」
(注2)「The PowerHour.com」
(注3)「Pilot's Views on Flight 77」
(注4)http://www2.hawaii.edu%7Ejulianr/damage.html
(注5)注2と同じ
(注6)EYEWITNESS ACCOUNTS :Boeing 757 or military craft?
(注7)「Where is the Plane,Flight 77?」
(注8)「Pentagon Video Evidence Shows Fraud Of War On Terror」
    http://www.rense.com/general26/penta.htm
(注9)「The Gertz File」
 
9・11」事件の謎 ー3
消えた「ビル崩壊の証拠」
 
  成澤宗男    週間金曜日、2002年11月15日号
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ワールド・トレード・センター(WTC)ビルが崩壊した
原因は何かー。米国の公式機関で、これに真正面から
明確に回答しているところはない。なぜなら、原因を調
査する前に、何者かが証拠となる残骸をどこかに持ち
出してしまったからだ。なぜこんなことが起きたのか。
 
 ニューヨーク市に住むS・
レジェンハードさんは、消防
士だった息子のクリスチャン
さんを昨年の「9・11」で亡
くした。彼は同年1月に採用
され、所定の訓練を6ヵ月受
けた後、同市ブルックリン地
区の消防署に配属されたばか
りだった。
 だが、全壊したWTCビル
で救出活動にあたっている最
中、他の342人の同僚と運
命を共にしてしまう。享年2
8。若すぎる死だった。
 
 母親として悲しみが癒えな
いレジェンハードさんだった
が、昨年11月の感謝祭で思
いがけない訪問者を迎えた。
ドイツのテレビ局ZDTが、
「9・11」の犠牲者の取材に
米国を訪れ、亡き息子の職場
を通じてインタビューを申し
込んできたのだ。
 取材に応じた彼女は、米国
のマスコミがほとんど触れて
いない重要な事実をあえて取
り上げ、カメラの前で切々と
訴えた。
「私も、そして他の犠牲者の
遺族も、なぜWTCビルが崩
壊したか明確な回答を得ては
いないのです」
 「それに、専門家によると、
事故調査の証拠として最も重
要なのはビルに使われた鉄骨
だといいます。ところがちゃ
んと跡地が保管されないまま、
そうした証拠は組織的な犯罪
によって奪われてしまいまし
た。さらにひどいことに、切
断され、溶解されて、いくつ
かの国に売られてしまったと
いうではありませんか」
 
 米国では、人災であれ天災
であれ、建物が壊れた場合、
原因究明のため、政府機関が
残骸の保管を管理者に命じる
ことができる。残骸が調査に
とって不可欠だからだが、し
かし奇怪なことに、高層ビル
が全壊するという世界の建築
史上極めて特殊な事故になっ
WTCビルに限り、なぜか
こうした常識は通じない
 
 米国に『ファイア・エンジ
ニアリング』という、創刊1
25年になる火災事故専門誌
がある。その昨年11月号に
掲載された「調査を売り渡す」
という記事で、編集長のビ
ル・マニング氏も、レジェン
ハードさんと同じ憤りを表明
している。
 「この三カ月以上というもの、
WTCビルの基盤となった鉄
骨が切断されてスクラップと
して売られ、現在もそうした
状態は続いている。証拠の破
壊と持ち出しは、ただちに中
止されねばならない」
 
なぜ貴重な証拠を闇に葬るのか
 
 だが、事件からこれまでの
経過は、WTCビルの事故処
理には、特定の意図が働いて
いたことをうかがわせる。
 
 米下院の科学委員会は今年
3月6日、WTCビルの事故
原因調査のため、専門家を集
めて公聴会を開催すると同時
に、『9・11から学ぶ"WTC
崩壊の原因を理解する』と題
した公文書を発表した。これ
までの国の各機関による事故
究明調査活動の実態を記録し
たこの文書には、信じられな
いような現場の実態が記録さ
れている。
 
 「誰が現場を管理するのかが
混乱していたうえ、検証する
調査官の権限がなかったため、
建物の大部分の証拠は、初期
の生存者の救出と探索の間に
失われてしまった。・・・なぜ
崩壊数時間後に、作業員が
鉄骨の大部分をごみ処理堺や
リサイクル工場に持っていっ
たため、検証が不能になった」
 
 また、大災害の発生時に住
民の救出・物資支援を行なう
米連邦緊急事態管理局(FE
MA)も、現地対策本部を設
置すると共に、23人によっ
て構成される崩壊原因を調査
するための建物機能評価チー
ム(BPAT)を派遣したが、
同じ目にあっているようだ。
 「事件が起きてからBPAT
が活動を始めた1ヶ月の間に、
顕著な数の鉄鋼の残骸が現場
から運び出され、小さく裁断
され、リサイクル工場で溶か
されたり、船で国外に持ち出
された。ビル上部を支える骨
組み構造や内部の支柱を含
む、調査にとって最も重要な
鉄鋼の部分は、BPATの調
査員が現場に到着する前に持
ち出されてしまった」(注1)
 
 建築事故研究者や学者で組
織する国家科学委員会も、事
件後にデータ収集を始めたも
のの、「貴重な証拠が破壊され
たのに気付き、市当局に残骸
を残すよう要請したが、市は
鉄をリサイクルする業者との
契約をやめようとはしなかっ
」という。
 
「理由はノーコメント」
 
 ここまでくると、レジェン
ハードさんが言うように「組
織的な犯罪」に近い。なぜ、
こんな事態になってしまった
のか。
 
 本誌は、この疑問について
の回答を得るため、FEMA
の広報官であるD・ウェルテ
ィ氏との間で、文書で以下の
ようなやり取りを行なった。
・・・・・
「今回の、WTCビルの場合
はどうだったのか」
「管理者はニューヨーク市だ。
だから、残骸処理などについ
ての君の質問は、そちらの方
にしてくれ」1。
 だが、ニューヨーク市側の
回答はすでに出ていた。ニュ
ーヨーク・タイムズ』紙20
01年12月25日付によれ
ば、「ビルを支えていた鋼鉄の
柱や梁(はり)などをあっと
いう間にリサイクルに回した
のは重要な過失だ」とする事
故原因調査メンバーの抗議に
対し、市側からそっけない回
答が返ってきている。
 「市長室の担当者は、誰が鉄
をリサイクルにすることを決
定したかという問題や、その
決定が捜査を妨げているとい
う懸念については、文書でも
口頭でも回答は拒否する」(注
2)
 当時、市政を担当していた
のは、R・ジュリアー二前市
長。WTCビルの残骸処理を
請け負ったのは四社で、なぜ
かうち三社が外国資本だった。
 しかも唯一の米国建設企業
「トゥーリー・コンストラク
ション・オブフラッシング」
社の関係者の証言によると、
「残骸処理」の話を持ちかけら
れたのは、何と事件当日だと
いう。
 異様なまでの手回しの早さ
だが、別の一社の「AMEC」
という英国の大手建設会社
は、最初から残骸を事故現場
から約30キロ離れた島のゴ
ミ埋立地に運び、さらに隣接
するニュージャージー州で鉄
骨のリサイクルをするよう命
じられていた。
 さらに、「ラトナー」という
同州の金属売買会社がリサイ
クルした鉄を1トンあたり1
20ドルで、中国・上海の
「バオスティール」という会社
に計5万トン以上売りつけて
いた。
 
 もはや、意図的に「証拠を
極度の秘密にして隠している」
(同下院科学委員会のメンバ
ー議員)どころか、証拠その
ものの抹殺を狙った動きであ
るのは明らかだ。・・・
 
 信じがたい巷の「通説」
 
 もっとも、米国の一般のマ
スコミは、WTCビル全壊に
ついて事故直後から原因はも
はや確定しているような報道
を続けている。大部分の国民
も、それで納得しているよう
だ。つまり、「ビルに衝突した
旅客機に残っていたジエツト
燃料が燃えて火災が起き、ビ
ルの支柱の鋼鉄を溶かして崩
壊に至った」という説である。
 
 だが、FEMAの現在まで
の公式見解は、原因について
は「最終的には確認すること
ができなかった」というもの
だ。BPATもこれまでのと
ころ、「原因に関するさまざま
な仮説を検証することができ
なかった」という判断を崩し
ていない。一般に流布してい
るような「通説」に、学術的
裏付けがあるわけではない。
なにしろ、結論を出そうにも
証拠が消えたのだから。
 
 それでも、報道され、多く
の人々が信じ込まされている
「通説」については、矛盾を
指摘するのは困難ではない。
そもそも、「旅客機の衝突と
ジェット燃料の発火による建
物の構造へのダメージは、全
壊に至らせるには不充分だ」
(前出『ファイア・エンジニ
アリング』誌)という見解を
支持する研究者が少なくない。
 
 しかも、今年夏になって、
WTC南棟で救出活動中死亡
した消防士たちの78分間の
交信記録が、司法省によって
発表された。ビル内の彼らの
活動を示す唯一の肉声記録だ
が、これまでの「通説」を崩
すような内容となっている。
 O・パルマーとR・プカと
いうベテランの消防士は、旅
客機が直撃した付近の78階
までたどり着いているが、声
は冷静で、「出火しているのは
2ヶ所で、コントロールでき
ない状態ではない」と判断し
ている。しかも互いに消火と
負傷者の運搬を試みようとし
た様子が記録されている。鉄
骨を溶かしてビルを崩壊させ
るには、少なくとも900度
から1000度の熱を出す火
災が発生しないと不可能とさ
れるが、衝突現場は、そうし
た状況からほど遠かったこと
が証明されたのだ。(注3)
・・・・
 
ビル下位部分で内部爆発の証言
 
 特に不可解なのは、旅客機
衝突した階の下の部分で、
内部爆発があったとする証言
が消防士も含め少なくない点
だ。その例を挙げてみよう。
 @WTC近くのビルに勤務
していた男性はAFPのイン
タビューに対し、「南棟の十階
付近で、バリバリという音を
伴い、閃光が六回発したのを
見た」と証言している。
 AWTCビル北棟に最初に
突入した消防士のL・カッチ
オーリさんは、米週刊誌『ピー
プル』で、「24階付近に到着
したら近くで爆発音がした。
仲間も、ビル内部に仕掛けら
れた爆弾があったと思ってい
る」と寄稿している。
 B米テレビ局のフォックス
は「9・11」当日の実況ニュ
ース番組で、現場のレポータ
ーが南棟が全壊する直前に、
北棟も含めて「ビルの底の方
で爆発が起きてます…下から
白い雲が上がってきます…何
かがビルの下で爆発した模様
です」と中継している。
 
 これまでの「通説」からす
れば、荒唐無稽(こうとうむ
けい)な話のようだが、爆弾
について最高権威とされるエ
ネルギー物質研究センターの
V.ロメロ前局長も「9・11」
直後に、WTCビル全壊のビ
デオを見て、地元紙に「うま
く仕掛けられた爆発物によっ
て崩壊の引き金が引かれたよ
うだ」と解説している。
ところが数日たって、ロメ
ロ副会長は最初の解説をなぜ
か突然取り消してしまう。
 
 ブッシュ政権は、WTCの
崩壊原因の正式な調査を求め
る犠牲者遺族や研究者らの声
に押され、やっと今年10月
になって政府の建築物事故の
専門調査機関である国立標準
技術協会(NIST)に対し、
新たに二年間を予定してWT
Cの事故原因調査を命じた。
だが、本誌の取材に対し、
NIST広報担当のM・ニュ
ーマン氏は、「自分たちが保存
している証拠は鉄骨など15
0点に過ぎない」と述べてい
る。これでは、新調査も今後
が思いやられそうだ。
・・・
(注1)『COMMITTEE ON SCIENCE U.S HOUSE
OF REPRESENTATIVES HEARING CHARTER
learning from 9/11:Understanding the Collapse of
the World Trade Center』
(注2)ニューヨーク市の現市長は
プルムバーグ氏だが、本誌は市の広
報担当官に対して9月20日、電話
連絡の上、WTCの鉄屑を保管せ
ず、大量にリサイクルした理由につ
いて文書で質問したが、11月1日
まで回答は寄せられていない。
(3)「New York Firefighters' Final Words Fuel
Burning Questions About 9-11」『American Free
press』,http://www.americanfreepress.net/08_09
_02/New_York_Firefighters_/new_york_firefighters
_.html
 
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9・11」事件の謎 ー2
テロリスト国家アメリカ
 
  成澤宗男    週間金曜日、2002年11月8日号
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
「反テロリスト戦争」を声高に叫び続けるアメリカ。し
かし、CIAとビンラディンの結びつきを示唆する事実
が次第に明らかにされている。
アメリカのいう「テロリスト」とは誰のことなのか。
「9・11」度後に出た二つの報道をもとに探る。
 
 昨年の「9・11」の報復と
して、米軍がアフガニスタン
ヘの空爆を開始した翌10
月。・・・、注目すべき二
つの情報があった。
 
諜報機関長官が「犯人」に送金
 
 一つは、10月29日付『タ
イムズ・オブ・インディア』
紙の記事だ。同月7日に突如
解任されたパキスタンの諜報
機関・三軍軍事情報部(IS
I)長官のマムード・アウマ
ド将軍が、代理人を通じて
「9・11」の主犯とされるエ
ジプト人のモハメド・アタに
対し、「9・11」数日前に10
万ドル(約1250万円)以
上を送金していたという内容
だった。
 ISIは要員15万人を擁
し、世界最精強の諜報機関と
呼ばれるイスラエルのモサド
に匹敵する力があるとの評価
を受けている。アウマド将軍
の送金の件は、パキスタンの
宿敵であるインドの諜報機
関・中央調査局(CBI)が
米国政府に通報して発覚した
とされ、辞任もこれと連動し
たものと見られる。
 
 このため同紙は「パキスタ
ンがテロリストと共謀してい
たという事実は、米国にとっ
て対テロの戦線にこの国を加
える上での信頼を揺るがしか
ねない」と指摘した。だが、
問題はそれほど単純ではない。
 
 このISIは「CIA(米中
央情報局)の協力と米軍の巨額
な援助によって巨大な権力を獲
得した」(1999年11月・
12月号 米『フオーリン・ア
ァェアーズ』誌)とされ、そ
の歴代トップの人事はすべて
米国の意向が反映される。そ
して主な役割もCIAの意向
を受け、米国が直接手を下せ
ない対外秘密工作などを請け
負うことにあり、「CIAの出
先機関」とも呼ばれている。
 
 事実、99年に長官となっ
たアウマド将軍は、CIAの
みならず国防情報局(DIA)
や国防総省と密接な協力関係
にあり、しかも「9・11」当
日を含め、昨年9月4日から
22日まで米国に滞在。R・
アーミテージ国務副長官や
G・テネットCIA長官らと
会談を重ねており、問題の送
金もこの期間に行なっている。
『タイムズ・オブ・インデイ
ア』紙の報道が事実なら、将
軍は米国にとって「事件」の
重要容疑者とされて当然だ
が、これまでまったく捜査対
象になっていない。
 
 二つ目は、仏『フィガロ』
紙2001年10月31日付
が一面でスクープした記事だ
(写真参照)。「事件」に先立つ
2ヶ月前の7月、アラブ首長
国連邦の首都・ドバイにある
米資本の世界的な高級病院チ
エーン「アメリカンホスピタ
ル」に腎臓病治療のため入院
していたビンラディンが、一
人のCIAの現地要員と会談
していたという内容だった。
 
 会談の中身は明らかにされ
ていないが、すでにこの7月
当時、ビンラディンは98年
に起きたアフリカの米大使館
爆破事件などの容疑者。それ
が逮捕もされないままCIA
要員と話し合っていたという
のは驚きだが、空爆が始まり、
ビンラディンが「悪魔」か何
かのように描かれた情報が世
界中に氾濫していた時期だっ
ただけに、『フィガロ』紙の記
事は注目に値した。
 
 これに対し当のCIAは同
日、「事実無根」との声明を出
したが、同様の報道は続く。
 
 英『ガーディアン』紙は11
月1日付で、『フィガロ』紙
のスクープは「仏諜報機関の
リークによるもの」と解説。
また、ビンラディンが会談し
た相手のCIA要員は一人で
はなく二人で、さらにサウジ
アラビアの諜報機関を二十数
年間一手に握りながら、理由
が公表されないまま「9・11」
発生二週間後に突然サウジア
ラビアの諜報機関のトップの
座を解任されたタルキ・アル
ファイサル同国王子も、やは
りビンラディンと会談してい
たと報じた。
 
 さらに同日の仏海外放送
「ラジオ・フランス・インタ
ーナショナル」は、問題のC
IA要員をアラブ首長国連邦
の米領事代理、ラリー・ミッ
チェル氏と特定。会談の日時
も7月12日であったと報じ
た。さらに同氏はビンラディ
ンが退院した14日の翌日に
米国に帰国し、CIA本部に
直行したとされるが、なぜか
本人の弁明はこれまで何も発
表されていない。またフィ
ガロ』紙に対し、同病院のビ
ンラディンの主治医は一切取
材を断り続けている。
 
米国とビンラディンを
結ぶライン
 
 これら二つの記事から浮か
んでくるISIーCIA一ビ
ンラディンという線は、実は
これまでさまざまなメディアを
通じ報道されてきた。このライ
ンは、70年代末の旧ソ連によ
るアフガニスタン侵攻をきっか
けに形成されている。
 
 1979年以降、旧ソ連軍と
親ソ連派政府軍に闘いを挑んだ
アフガニスタンのムジャヒディン
(イスラム聖戦士)を支援するため、
CIAは創設以来の大規模な
秘密活動を開始。70年代か
ら1992年までにムジャヒ
ディンヘの援助は総額200
億ドル(約2兆5000億
円)、87年だけでも供与さ
れた軍事物資は年間6万50
00トンにのぼったとされる。
 
 さらに、世界の40のイス
ラム教国から4万人近いイス
ラム義勇軍が送り込まれたが、
ISIはこの時、CIAの資
金で義勇軍の応募や武器供
与、アフガニスタン内部の軍
事訓練施設建設などさまざま
な役割を担った。また、ヴァー
ジニア州にあるCIAの軍事
キャンプで、テロ活動訓練も
行なっている。参加したメン
ーの多くはは、イスラム原理
主義者か、後にそれに加わる
ことになる中東出身者だった。
 
 そして、両者の共闘にさら
に欠くことのできないパート
ナーが加わる。サウジアラビ
ア有数の建築会社を経営する
大富豪ファミリー出身で、サ
ウジ王室とも繋がりの深いビ
ンラディンであった。
 彼は月額で実に2500万
ドル(約31億2500万円)
もの資金をサウジアラビアや
湾岸諸国から集めてムジャヒ
ディンのために投じ、89年に
はISIが操るムジャヒディ
ン支援組織「マクタブ・アル
キダマー」の責任者となった。
 
 同時に、CIAの資金援助
で、アフガニスタンとパキス
タンの国境付近に多数の武器
貯蔵庫やトンネル、軍事キャ
ンプなどを建設する。
 
 また、米国のジャーナリス
トであるJ・グレイブ氏らの
調査では、ビンラディンはC
IAによってティム・オスマ
ンという偽名を与えられてい
。86年春にはカリフォル
ニア州のシャーマン・オーク
スのヒルトンホテルで、CI
Aの代理人とスティンガー対
空ミサイルのムジャヒディン
ヘの供与について交渉したほ
か、米軍基地への立ち入りや、
最新兵器の見学も自由に認め
られていたという(注1)。
 ・・・・・
 89年、旧ソ連軍がアフガ
ニスタンからの撤退に追い込
まれ、旧ソ連も91年には解
体する。だが、このISIー
CIA一ビンラディンという
関係は冷戦後も切れることな
く、米国の世界戦略の上で新
たな役割を与えられていく。
 
 同時に、このラインによっ
て育成されたムジャヒディン
は、ビンラディンとその組織
であるアルカイダの戦力の中
核として温存され、「国際テロ
ネットワーク」へ発展する。
 これについて、カナダ・オ
タワ大学のミッシェル・チョ
フドフスキー教授は言う。
「CIAの基準からすれば、
テロ組織と呼ばれるアルカイ
ダは『諜報活動の道具』に他
ならない。こうしたテロ組織
に対する支援は、米国の対外
政策の不可欠な部分を構成し
ている。アルカイダなどの組
織は今日まで世界のさまざま
な地域で行なわれるCIAの
秘密作戦に参加し続け、CI
Aとビンラディンの結合も、
過去の話ではない」(注2)
 
 チョフドフスキー教授の指
摘を裏付ける情報は少なくな
いが、ここでは以下の三点だ
けを挙げる。
@米共和党がクリントン政
権時代の97年に発表した報
告書によると、CIAは内戦
が続いていたボスニアで、I
SIと共にビンラディンやテ
ロ組織と関係が深いスーダン
の「第三世界救援委員会」な
る団体やイスラム原理主義組
織、イランの革命防衛隊と協
力して、イスラム勢力を支援
するために秘密の武器供与作
戦を展開した。
・・・
A今年4月22日付『ガー
ディアン』紙によるとマケド
ニアでは少なくとも2001
年前半まで、アルバニア人武
装勢力で、麻薬など犯罪組織
にも関与しているコソボ解放
軍(KLA)の支援下でマケド
ニア政府軍と闘っていたイス
ラム武装勢力に対し、米軍事
顧問団がアルカイダと共に支
援活動を展開したという。
 
 B「9・11」後、米国政府
は中東を中心にビンラディン
の海外送金ルートを断ち切る
ための調査を行なったが、な
ぜかテロリストに使用されて
いると欧州などから指摘され
ている銀行は除外されていた。
このため、「ビンラディンのテ
ロの問題は、補捉されないよ
うになっていた。なぜなら彼
は、米国政府の強い後ろ盾が
あるからだ」(『トロント・ス
ター』紙、2001年11月2
7日)という指摘も出ている。
・・・・・
 前出の『フィガロ』の記事
は、最後に「ドバイでCIA
とビンラディンが会談してい
たという事実は、"特定の米国
の外交政策"の論理にそった
ものに過ぎない」と結論付け、
格別驚くべき事実ではないこ
とを示唆している。
 
 確かに一方で自分が養成
し、支援し、共闘した相手を
一転して敵扱いにし、巨大な
軍事力を動員してつぶしにか
かるような”特定の米国の外
交政策"は過去にも実行され
ていた。
 米国はかつて、CIAの協
力者としてキューバや旧サン
ディニスタ左派政権のニカラ
グア撹乱工作に利用したパナ
マのノリエガ将軍を、89年
に突如同国に侵攻して「麻薬
容疑」で捕らえたことがある。
 
 また今でこそイラクのフセ
インを悪玉にしたてているが、
革命直後のイランに80年に
一方的に攻め込んだフセイン
に、軍事援助を続け、中東随
一の軍事大国になるのを手助
けした。しかも現在米国が、
イラクが保有していると騒ぎ
立てている生物・化学兵器の
原料も、この時期米国によっ
て大量に売却されている。
 
 今回のビンラディンのケー
スが、同じパターンなのかど
うかはわからない。ただ、「テ
ロリストをかくまう国があれ
ば、それはテロリストだ。
ロリストを訓練し、武器を与
える国があれば、それはテロ
リストだ」という、ブッシユ
大統領の言明に忠実に従うの
なら、米国こそまぎれもない
「テロリスト」に他ならないと
いう事実だろう。その米国が
叫ぶ「反テロ戦争」とは、い
ったい何なのだろうか。
 
(注1) 「When Osama Bin Ladin Was
Tim Osman」(http://www.orlin grabbe.com
/binladin-timos man.htm)
(注2)チョフドフスキー教授の「9・
11」関係の論文は、「Center for Research
on Globalization」のホームページに収め
られている。
※記事執筆にあたっては、『THE WAR ON
FREEDOM』(Nafeez Mosaddeq Ahmed著)
を主に参考とした。
 
 
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9・11」事件の謎 ー1
生きていた「自爆テロリスト」
 
  成澤宗男    週間金曜日、2002年11月1日号
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 米国が、まだ完全にはやめていないアフガニスタンヘの
空爆に続き、イラクに対する攻撃の準備を着々と進め
ている。国際法ではとても認められない無法な戦争を
実施する大義名分が、「9・11」である。
 だが、あの痛ましい事件には、少なくない謎が残されて
いる。どのような証拠をもとに「テロリストの犯人」と
される19人が特定されたのか、ワールド・トレード・
センター(WTC)ビルはなぜ崩壊したのか……。・・・
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
「米国には二六の諜報機関が
あり、予算は合計300億ド
ルですよ。……ところが(9
月11日のテロリストによる)
攻撃前の決定的な六〇分に、
軍と諜報機関は戦闘機を発着
させないままにしておいたの
です。48時間たってFBI
(連邦捜査局)が犯人だとい
う19人のリストを発表した
が、しかし10日たってみる
と、そのうち7人が生きてい
というじゃないですか」
 今年1月13日、ドイツの
日刊紙『ターゲスシユピーゲ
ル』(注1)に掲載されたイ
ンタビュー記事で、アンドレ
ア・フォン・ブロー元国防相
はこう述べた。世界を揺るが
した米国での「テロ事件」に
ついて、主要な政治家が正面
から疑問を投げかけたのは、
アラブ圏を除きこれがほぼ初
めてだった。
 
 ドイツ社会民主党の長老
で、米CIA(中央情報局)
についての著作もある諜報分
野の専門家は、「なぜこの事件
にまつわる多くの疑問が問わ
れないのか、私は不思議に思
います」と強調した。
 
 さらに「戦争を政府が行な
うのであれば、まず攻撃した
者、敵が誰なのかを立証せね
ばなりません。ところが米国
は、その点について裁判に通
用する証拠を一つも示せない
でいるではありませんか」と
述べ、その例として「テロリス
トの犯人」とされた一九人の
リストの不自然さを指摘した。
 
・・・・・・ブロー元国防相
の指摘が正しければ、ブッシ
ュ政権の「対テロ戦争」なる
ものの大義名分は根底から問
われることになる。誰が「9・
11」を起したのかという最も
肝心な点について、何も「立
証」されていないからだ。
 
このリストは、9月14日
にFBIが公表した。・・・・
 発生から実質わずか48
時間で「犯人」の名前と顔を
特定した。そして22日にホ
ワイトハウスから「攻撃の背
後にいる」と名指しされたビ
ンラディンと結び付けられ、
その身柄を引き渡さないー
との理由で、10月7日には
アフガニスタンヘ空爆を開始
している。
 
 つまり「反テロ戦争」のそ
もそもの出発点が、この19
人のリストなのだが、「決して
反米主義者ではない」と自ら
を称するブロー元国防相が指
摘するように、リストをめぐ
っては重大な疑問が生じてい
る。
 
名乗り出た「容疑者」たち
 
 「9・11」でまだ米国が大混
乱に陥っているさなかの昨年
9月20日、サウジアラビア
のサウド・アル・ファイサル
外相がワシントンを訪れた。
・・・・
 だが会見後、アラブ通信と
会見したサウド外相は重要な
情報を明らかにした。FBI
の「犯人」リストのうちから
4人の名前を挙げ、「事件とは
まったく関係ない」と明言し
たのだ。
 サウジアラビアは中東では、
イスラエルを除き米国の最大
の同盟国だ。いくら「9・11」
で立場が悪くなっているとは
いえ、現職の外務大臣が米国
の公式発表を否定するのはき
わめて異例の事態だった。
 この四人とは、サイード・
アルガムディ、モハルド・ア
ルシェフリ、アブドラアジ
ズ・アルオマリ、サレム・ア
ルハムジの各氏で、ワシント
ンの同国大使館も、「この四人
は死んではいない」と発表
た。しかし、米国の大手マス
コミの大半はなぜかこうした
情報を無視した。
 
 このうちアルガムディ氏は、
サウジアラビア航空のパイロ
ツトで、英『テレグラフ』紙
の昨年9月23日付に登場。
「大変ショックだ。過去10
カ月間、他の22名のパイロ
ットと共にエアバス320機
の訓練を受けていたんだ。F
BIは私が事件に関わったと
いう証拠も示していないじゃ
ないか」と怒りを露にした。
 
 アルオマリ氏は、取材した
サウジの日刊紙『アルワタン』
によるとやはりサウジアラビ
ア航空のパイロット。サウジ
第二の都市ジッダでサウジ内
務省の役人が同席して米大使
館関係者に抗議したところ、
「事実誤認を認めて謝罪した」
という。
 
 アルハムジ氏はサウジ国営
企業で石油化学の技術者とし
て働いている。「この二年間
外国には行っていない。米国
には行ったことすらない」と
『テレグラフ』紙に語っている。
「事件に無関係」と主張して
いるリスト掲載者はまだいる。
 
 英BBCの昨年9月22日の
放送によると、サウジアラビ
ア航空のパイロットとしてモ
ロッコで訓練を受けていたワ
リード・アルシェフリ氏の場
合、自分の顔が写し出され世
界中に「犯人」として報道さ
れていることに激怒。米大使
館で「事件当時自分はモロッ
コにいた。事件とは何の関係
もない」と抗議し、謝罪され
たという。
 
 サウジアラビア航空のパイ
ロットで、首都リヤド在住の
アフメド・アルナミ氏は、取
材した『テレグラフ』紙の記
者に対し、「あなたが見ての通
り、私はここに生きている
米国が私の名を使っているの
は非常にショックだ。私がハ
イジャックしたという飛行機
が墜落したペンシルベニアな
んて、まったく知らない」と
語っている。
 
 これについてFBIの広報
官は、「容疑者」の身元につい
ていくつかの不明な点がある
ことを認めながら、米国側が
本人に謝罪したか否かについ
てはノーコメント。同時に、
「間違っていたなら残念だが、
これは範囲が広く複雑な捜査
だから」(『テレグラフ』紙)と
弁明している。
 
 それなら、なぜわずか実質
四八時間で全「犯人」を特定
できたのか。'しかも現在も、
FBIの公式ホームページに
はなぜか一年前と同じ「犯人」
の顔が掲載されている。
 
謎だらけの「乗客リスト」
 
 「9・11」事件についての疑
問はまだある。ハイジャック
されたという四機の旅客機の
搭乗者名簿が、事件後一年経
っても公式に公開されていな
。それを確認できるのは、
捜査機関から提供されたと思
われるリストを転載している
CNNのホームページ(注2)
のみだが、そこにはなぜか
「犯人」の名が一切見当たら
ないのだ。
 
 もちろん偽名を使った可能
性があるが、米マスコミは、
「一九人の犯人」のうち、「生
きている」と確認された人々
も含め九人の座席番号を報道
している。これも捜査当局の
情報だろうが、偽名を使って
いても、座席番号がわかれば
本名と並んで発表できるはず
だ。しかもモラー長官は、リ
ストは「乗客名簿と追跡調査
に基づいている」と言明して
いる以上、なおさらだろう。
・・・・・このCNNのリストに
は、「ハイジャック」されたと
いう四機とも、すべて政府発
表の乗客数よりも少ない名前
しか見当たらない。
 
 たとえば、WTCビルに衝
突したユナイテッド航空175
便は、56人の乗客がいた
はずなのに47人の名前しか
ない。やはり同ビルに衝突し
たアメリカン航空の11便は、
81人のところが76人。国
防総省に衝突したとされるア
メリカン航空77便は58人
が50人で、ペンシルベニア
州で墜落したというユナイテ
ッド航空93便は、38人が
26人という具合だ。
 
 いったい完全なリストはど
こにあり、そこから削除され
た乗客は誰なのか。・・・・
今回は「テロ事件」という扱い
のためすべて関係書類はFBIが
管理しているという。それで
も、なぜ一般の航空機事故の
ように全員の名前が公表でき
ないのか
 
 空爆が大方収まった今年4
月19日、FBIのモラー長
は驚くべき発表を行なう。
(犯人がやったという)確た
る証拠を見つけることはでき
なかった」と言い出したのだ。
長官によれば、「ここ合州国
だけでなくアフガニスタンや
別の場所で発見された情報も
含め、そこから事件を裏付け
る一片の文書も見つけ出せな
かった」という。
 
 これでは生きている「自爆
犯」だけでなく、残る12人
についても「犯人」だという
根拠は不明という話になる。
それなら、七ヵ月間捜査し
て証拠を見つけだせなかった
FBIが、なぜ実質四八時間
で全「犯人」を割り出せたと
発表したのだろうか。
・・・・
それがおびただしい数のアフ
ガン人が犠牲になった後にな
って、「証拠がなかった」で
済まされるのだろうか。
 
 この空爆があらかじめ予定
されていたのではないかとい
う報道もある。英BBCは、
アフガニスタンの旧タリバン
政権を支援していた隣国パキ
スタンのニアズ・ナイク前外
相が、「9・11」2カ月前の
年7月中旬、ベルリンで米国
のある高官から極秘の作戦計
画を伝えられた、というニュ
ースを昨年9月18日に放送
した。作戦計画とは、「10月
半ばまでに米軍は、アフガニ
スタンに対し軍事行動を起す
という内容であった(注3)。
 
 これが事実なら、米国で
「テロリスト」による「9・
11」が起きる数ヶ月前から、
空爆は既定のスケジュールだ
つたことになる。言い換えれ
ばブッシュ政権は、「9・11」
を戦争の口実に使ったものの、
戦争の前に「まず攻撃した者、
敵が誰なのかを立証」(プロ
ー元国防相)するという当た
り前のルールは、最初から眼
中になかったように見える。
事実、「9・11」2日前の9
月9日、ホワイトハウスの大
統領執務室に、CIAを始め
とする諜報機関や国防総省、
国務省が加わって作成した一
通の極秘文書が届けられた。
「国家安全保障大統領指令」
と呼ばれる戦争計画書で、そ
こには旧タリバン政権に対す
る外交面も含む壊滅工作が明
記されていた。そしてブッシ
ュ大統領は運命の11日に、
これにサインしたと報じられ
ている(「NBCニュース」今
年5月16日・注4)。
 
 ・・・・・・・・・・・
だが世界は現在に至るまで
「テロリスト」がいったい
誰だったのか、「ビンラディ
ン」とどう繋がっていたの
かを実証する証拠をまだ目
にしていない。
 
(注1)
http://www.rense.com/general19/minis.htm
(注2)
http:〃www.cnn.com/SPCIALS/2001/trade.center/victims/AA11.victims.html
http://www.cnn.com/SPECIALS/2001/trade.center/victims/AA77.victis.html
http://www.cnn.com/SPECIALS/2001/trade.center/victims/ua175.victims.html
http://www.cnn.com/SPECIALS/2001/trade.center/victims/ua93.victims.html
(注3)
http://nwes.bbc.co.uk/1/hi/world/south_asia/1550366.stm
(注4)
http://www.unansweredquestions.net/timeline/2002/msnbc051602.html
この記事の執筆にあたり、出典に関しては上記引用紙・誌のほか、
www.mujahideen.fsnet.co.ukなどの海外のホームページを参照した。
・・・・・・・・・
 
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石油と麻薬がアメリカを戦争に駆りたてる
     米国評論家ミカエル・ラパート氏の見方
                 聞き手:成澤宗男
 
米国は、アフガニスタンでの戦火が消えないうちからイラク
ヘの無法な戦争を始めようとしている。
その背景にあるのは、エネルギーと資金への飽くことなき米国
支配層の欲望に他ならない。
 
ーラパートさんは昨年九月一一日の
事件直後から、ご自身が開設してい
る政治間題のウェッブサイト「フラ
ン・ザ・ワイルダーネス」(注)で、
この事件は謎が非常に多く、政府の
発表やマスコミの報道は必ずしもそ
のまま受け止めることができない
指摘してこられました。実際、事件
後の一年間で、政府の発表が疑わし
いとする報道やレポートが米国内外
で数多く出ましたね。
 
 そのとおりです。この事件の不自
然さはいくつも挙げることができま
す。まず、9月11日事件の計画をか
なりの部分まで事前に諜報機関が掴
み、ブッシュ大統領も知っていた
もかかわらず、なぜか何の手も打た
なかったという事実です。
 そもそも、アラブの19人が「犯
人」とされた点については何一つ証
拠が示されておらず、旅客機がハイ
ジャックされたことを証明する客観
的な資料すら何も公開されてはいま
せん
 さらに世界貿易センタービルが全
壊した点についても、実は政府自身
その本当の原因を特定できていない
ほど謎だらけなのです。・・・そこ
で、ここでは特に政府が事件に何ら
かの形で関与していた事実が誰の目
にも明らかな具体例を一つ挙げるだ
けに留めたいと思います。
 
アメリカン航空機が迎撃されなかった謎
 
ーそれは何でしょうか。
 
 ペンタゴン(国防総省)がアメリ
カン航空の77便旅客機で攻撃された
際の、迎撃(インターセプト)の問題
です。通常最も警戒態勢が厳しい首
都の上空で、ハイジヤックされたと
いうAA77便がペンタゴンに追突す
るまでの間に、一機の戦闘機からも
迎撃されなかったとう事態は絶対
に起こり得ません。それが、なぜかこ
の日に限って起きてしまったのです。
 しかも衝突一五分後にF16機が二
機(三機という説あり)飛来しまし
たが、これはワシントンから二〇〇
キロ以上も離れているラングレー空
軍基地からでした。わずか約16キ
ロという近さにある、首都防空を
使命としたアンドリュー空軍基地から
戦闘機が飛び立ったのは、何と衝突
が起きた後でした。
 すでに衝突前にニューヨークの世
界貿易センタービルが攻撃され、ペ
ンタゴンにも同市から「テロリスト
のアタックがあった」という通報が
入っていたにもかかわらずこうした
異常事態が生じたのは、政府と軍と
が何らかの意図を持って動いたので
ない限りおよそ不可能です。
 
ーでは、ブッシュ政権が何らかの意
図を持って動いていたのでしょうか
 
 ・・・その後政府の立場が非常に
有利になり、フリーハンドの状態に
なったという。・・・ よく報道さ
れているような「対テロリズム戦争」
という意味では決してありません。
「石油と、麻薬から生じるキャッシ
ュを得るための行動」という意味に
おいてです。
 
ーもう少し詳しく説明して下さい
 
 現在の世界情勢を理解する上で最
も必要なのは、石油が間もなく
信頼すべきデータでは2020年の
前後とされますがー世界的に枯渇
し始めるという点です。・・・ 今
後石油という資源はますます貴重に
なっていくでしょう。したがって米
国は、自分が生き残るためにも世界
の覇権を維持するためにも、この石
油を直接コントロール下に置くこと
が死活的に重要な意味を持っている
のです。
 現在、米軍によるイラクヘの攻撃
が切迫していますが、私はその次に
米軍が攻撃を準備しているのはサウ
ジアラビアであると予測しています。
なぜならサウジには世界の石油埋蔵
量の25%が存在しています。イラ
クは11%とされており、米国が両
国を自分の直接の影響下に置けば36
%の石油埋蔵量を握れます。また、
この二国だけが世界で即時増産が可
能なくらい石油資源が豊富なのです。
しかもサウジアラビアは、・・・あま
り報道されてはいませんが内戦の危険
性が指摘されるほど社会情勢が緊迫し、
米軍が介入しやすい状態になっています。
 
ーではアフガニスタンとの戦争は、本
来どのような意味があったのでしょ
う。麻薬がこれと関係しているとい
うことなのですか。
 
 それを説明する前に、ウォールス
トリート(ニューヨークの金融街)の
金融資本にとって麻薬がどれほど巨
額な利益をもたらしているかお教え
しましょう。実は世界中のヘロイン
やコカイン、マリファナといった麻
薬から得た収入がマネーロンダリン
グ(資金洗浄)される場として米国
の巨大金融機関が利用されており、
それによって彼らには推定年間60
00億ドルから9000億ドルもの
途方もないキャッシュが流れ込んで
いるのです。・・・
 
 アフガニスタンとの関係で言えば、
旧タリバン政権はケシの実から採れ
るオピアム(アヘン)を根絶やしに
しました。それによって以前は世界
最大のヘロイン産出国の一つであっ
たこの国からの麻薬流出は激減し、
米国の金融資本は大変な損失を被り
ました。そのためこのことは米国に
とって、旧タリバン政権による宣戦
布告にも等しい行為であったのです。
 ところが現在はどうでしょう。米
諜報機関がコントロールする現アフ
ガニスタン政権が史上最大規模で再
びケシの栽培を開始し、あらゆるデ
ータがまたもアフガニスタンから大
規模なヘロインの流出が始まった
とを裏付けています。これは決して
偶然ではありません。ですから米国
の戦争政策の根底にあるのは、「反テ
ロリズム」とか「大量破壊兵器」が
どうのこうのという話ではなく、極
めて物質的な欲望なのです。
 
イラク攻撃で危惧される核戦争
 
ーこうした恐ろしい計画は誰が決め
ているのでしょう。大統領ですか、そ
れとも金融資本なのでしょうか
 
 少なくともあの出来の悪い大統領
ではないですね(笑)。ぜひ知って
いただきたいのは、諜報機関と巨大
金融資本は常に一体の関係にあると
いうことです。・・・
金融資本とつながりのある歴代長官
は珍しくありません。この二つが融
合した何らかの意志決定機関が、究
極的にこの国の重要な方針を決定し
ていると見てよいでしょう。大統領
などは彼らの雇われ人の一人に過ぎ
ません。
 ただ私が現在最も危惧しているの
は、ブッシュ政権が行なおうとして
いるイラクとの戦争で核兵器が使用
される恐れがかなり高いということ
です。なぜならすでに今春、政府の
核戦略に関する極秘文書が暴露され
ましたが、核攻撃を想定した対象国
としてイラクの他に、シリア、リビ
ア、イラン、北朝鮮など七カ国が名
しされているのです。
 
 私たちが現在直面しているのは、
この惑星の上で巨大な破壊行為が企
てられているという危機だと思いま
す。・・・ですがこうした恐ろしい
戦争政策をくい止めるためにも、ぜ
ひ真実を訴え続けていかねばならな
いと思っています。
 
(注)http://www.fromthewilderness.com
 
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