3月16日 Granada

ライオンの中庭ライオンの中庭

またしても快晴。いよいよアルハンブラ宮殿のあるグラナダを目指す。旅も後半に入った。まだ朝のひんやりとした空気に包まれたセビージャを後にする。グラナダまではバスで移動する。朝8時出発で、予定では11時にはグラナダに着くようだ。隣にはスペイン人のおじさんが座る。このおじさん、いろいろ話しかけてくる(当然言葉はわからない・・・)。ガイドブックを見せてあげたら、なんだかいろいろページをめくって説明してくれる。マドリッドからコルドバ、セビージャと来てグラナダに向かうのだと地図を指しながら説明してあげる。グラナダのページを広げ、アルバイシン、サクロモンテについては見た方がいいよ(多分そう)と言われる。ほかにもいろいろ教えて貰ったような気はするけど、やっぱり言葉が解らないって悔しいわ!何かカードを財布からとりだして300ptsと言ってたけど何のことかワカンナイし.......

予定通り11時にグラナダに着く。おじさんに別れを告げる。バスセンターに着いたはいいが、ここは一体どこなのだ?明らかに町外れなところ。ガイドにも載ってないバスセンターに着いたようだが......?ちょっと歩くもあきらめる。一か八か市内の路線バスに乗ろう。路線図も一応地図で書いてあるし。と、バスが来た。

なんと、バスの中でさっきの隣のおじさんにまた会う。まぁ、バスセンターからの路線バスだから乗ってても不思議じゃないんだけど。やっぱり話しかけられたけど言葉わかんないんだよ〜。ん・・・?どうやらバスの運賃について言ってるらしい?実は、バスに乗車時、125pts払わなくてはいけないのだが、どうも周遊券というものがあるらしいことに気づく。親切にもおじさん、運転手に言って代わりに周遊券を買ってくれた!300pts+25pts(たぶん消費税)。なるほど、さっきバスの中で言ってた300ptsとカードの謎が解けた!このカード型周遊券を、入り口の機械に差し込むと、初めて差し込んだ時間から24時間バスに乗り放題になる仕組みだ。しかし、この後市内の路線バスにまた乗るんかいな?とはいえ、おじさんの親切心に感謝。

周遊券
これが周遊券。便利だね〜

バスは順調にグラナダの市街へ向かっている模様。おじさんは途中で降りていってしまったが、一体自分はどこで降りたらいいのか?とりあえずグラン・ビアというところで降りてみる。たぶん、街の中心街だと思う。今日目指すのは、アルハンブラ宮殿のヘネラリフェ入り口そばにある「ワシントン・イルビング」というホテル。ここは、アランフェス協奏曲を献呈され、初演したギタリスト、レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサが常宿にしていたと聞く。なんとしても泊まっておきたいホテルだ。是が非でもアルハンブラを目指さなくてはいけない。

人通りの多い道を選んで歩くが、いまいち現在位置を把握できない。と、思ってたら案内図発見!現在位置がわかった。結構、無駄に歩いたことに気づく。場所はもうわかったのでまた歩く。アルハンブラへの道は坂道。登りがきつい。市庁舎の前を通り、イサベル・ラ・カトリカ広場に着く。もうここからはアルハンブラは目と鼻の先。アルハンブラの入り口前のヌエバ広場に到着。なんと、ラッキーなことにここからアルハンブラ宮殿まで往復バスが出ているのだ。その名も「アルハンブラ・バス」。

ゴメレス坂ゴメレス坂。狭いので上り下りは信号で交互に通るところもある。

さっきのおじさんが買ってくれた周遊券が役立つ。アルハンブラ宮殿は、ヌエバ広場前からゴメレス坂という急な坂を上る。歩けないこともないが、やはりバスが楽だ。狭い坂をバスはすいすいと上っていく。このゴメレス坂は、安いオスタルや、土産物屋、そしてギター工房(すごい高級なものを作っているわけじゃない。せいぜい、土産物レベルらしぃ。。。)が幾つもある。日本の旗を掲げたオスタルもあるぞ。まさかグラナダで日の丸を見るとは......。

ヘネラリフェ近くの入り口
ヘネラリフェ近くの入り口。チケット売場もある。しっかりアラビア語でも書いてある!

バスはヘネラリフェ近くの入り口で下ろされた。たくさんの観光バス。やっぱりここはスペイン屈指の観光スポットだ。とりあえず入場チケットを買う。アルハンブラは、チケットを買って直ぐに入場できるシステムではなく、チケット発行時に入場できる時刻が自動的に指定される。ってまえもって調べといたので、時間には余裕を持ってきたのだけど、昼にチケット買ったのに入場できるのは夕方4時半以降。待たせ過ぎ!!!

ワシントン・イルビングの部屋 中庭
左:ワシントン・イルビングの部屋を撮ってみた。 右:中庭

ヘネラリフェの入り口近くの「ワシントン・イルビング」は、容易に部屋を取ることができた。だめだったら、坂の途中の安いオスタルにでも泊まるつもりだったのだけど。部屋はツインで一泊9000ペセタ。3ツ星ホテルで今回の旅では一番高い贅沢宿だ。しかし、それでも日本から見れば随分安い。日本でこの値段じゃこんな部屋は借りられないよ。部屋はさすがに広い。完全に持て余してしまった(ツインだし・・)。カフェのサービスがあったのでチェアーでくつろぐ。ヘネラリフェ入り口まで1分もかからないくらいの距離だから、アルハンブラを見るには便利な宿だ。ただ、街へ出るのは面倒だけど。

ワシントン・イルビング チケット売場
左:ワシントン・イルビング 右:アルハンブラ宮殿のチケット売場。かつて作曲家・アルベニスが住んでいた家でもある。

ヘネラリフェ、というのは「離宮」のことで、アルハンブラの王宮から少し離れに建っている。ここの噴水の音をトレモロ奏法で模倣したのが、かの「アルハンブラの想い出」というギターの曲なのである。さて、シャワーも浴びて、いい感じで入場時刻が来たようだ。夕暮れのアルハンブラに向かおう。少し坂を下り、正面入り口から入る。正面口のチケット売場は、かつて作曲家のイサーク・アルベニスが住んでいた建物が使われている。もっとも、中は近代的に改装されてるけど・・・・

アルカサバ(城塞)とアルヒーベス広場 アルベニスが住んでいた家
左:アルカサバ(城塞)とアルヒーベス広場 右:チケット売場のかべ。作曲家、アルベニスが住んでいた家と書かれている。

チケット売場に面して、アルヒーベス広場という広場がある。そしてその向こうにそびえるのがアルカサバ(城塞)だ。9〜13世紀に建てられたものらしいけど、ここからさらにベラの塔という塔に上れる。ここから、アルバイシンとサクロモンテの丘、グラナダの街が一望できる。すばらしい眺めだ。

アルカサバよりアルバイシン(手前)とサクロモンテの丘(向こう) カルロス5世宮殿
左:アルカサバよりアルバイシン(手前)とサクロモンテの丘(向こう)を望む 右:カルロス5世宮殿

アルカサバから降りてカルロス5世宮殿へ。ここは円形状のスペイン・ルネッサンスを代表する建物。ベルリンフィルとカラヤンが昔ここでコンサートをした際、カラヤンはここの響きを気に入ったというエピソードがある。ぐるっと一回りして王宮に向かおう。

壁の模様に注目 王宮の入り口あたり
左:壁の模様に注目。 右:王宮の入り口あたり。 

王宮はアルハンブラの中でも最も見応えのある建物だ。壁の緻密な模様、アラヤネスの中庭、ライオンの中庭などなど。贅の限りを尽くしたアラブの王の夢の跡である。

アラヤネスの中庭 ライオンの中庭
左:アラヤネスの中庭 右:ライオンの中庭

王宮内部 パルタルの庭園
左:王宮内部 右:パルタルの庭園

王宮を出ると、パルタルの庭園へ。観光客の列に連なって道なりにいくと、やがてヘネラリフェへの道に出る。

ヘネラリフェ ヘネラリフェ

ヘネラリフェの美しさは言わずと知れたもの。建物は夕日に照らされ、周りはただ水音が響き渡り涼しげである。今回の旅で一番来たかった場所かも知れない・・・

アルハンブラの想い出
ここにギターを持ってきて「アルハンブラの想い出」を奏でてみたい。

ヘネラリフェのほとり
タレガの「アルハンブラの想い出」の他に、ロドリーゴが「ヘネラリフェのほとり」というギター曲を書いている。

帰りたくはなかったが、ヘネラリフェをあとにしてホテルへ戻る。7時前だっただろうか。とはいえ、まだまだスペインの空は明るい。午後8時半、ゴメレス坂を下り、食事に出かける。どの店に入ろうか、迷った挙げ句一軒の店に入る。片言スペイン語で、メニューを下さいといったら、なんと日本語のメニューを出され、腰くだける。豆のスープと煮込んだチキンを注文する。帰りはもちろん、アルハンブラ・バスでホテルまで。


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