3月13日 Valladolid → Cordoba

マドリッドの駅
Estacion Atocha - Puerta de Atocha (Madrid) 植物園のような、マドリッドのアトーチャ駅。日本で言えば東京駅にあたる?

「ジャスミンの香りをのせたそよ風が漂う夜の静寂を、

   椰子の木のため息にも似た甘い音色の一弦琴の響きがさえぎる」

イサーク・アルベニス 作曲 「コルドバ」(組曲「スペインの歌」より) 

疲れてるのになぜか目は早く覚める。時計を見るとまだ朝7時前。今日はコルドバへ向かう日。ホテルから程近い近くのバスターミナルから高速バスでまずマドリッドへ向かう。1580pts。着いた頃はもう昼の12時。地下鉄を乗り継いでマドリッドのプエルタ・デ・アトーチャ駅に着く。ここからスペインの新幹線"AVE"に乗るのだ。"AVE"は1992年のセビージャ万博開催にあわせてマドリッド−セビージャ間が開通した超特急。所要時間2時間30分、距離は573kmだから、いかに速いかがわかってもらえるだろう。因みにAVEとはスペイン語で『鳥』の意味があり、ロゴマークにも鳥の絵柄が採用されている。駅のチケットセンターでチケットを購入。マドリッド−コルドバ間で学割5400pts。国際学生証が威力を発揮した。午後2時マドリッド発。いよいよ、南へ。

AVE
これが"AVE"。鳥のロゴマークが描いてあるでしょー?(撮影はセビージャにて)

さて、このAVEなかなかすごい。まず、乗車には荷物のチェック(X線)がある。飛行機かと思わせる厳重さ。さらにAVE専用改札を通ると乗車口には客室乗務員が立っている。乗り込むと車内にはゆったりとした座席。天井にはテレビ設置(映画を上映)、ヘッドホンサービスで4chの音楽も楽しめる。しかもたまたまテーブル付きの座席だったのでゆったりと本が読める(備え付け電気スタンドもあり)。買ったチケットは、一番安いツーリスタ・クラスだったけど、値段のお高いプレフェレンテやクラブの席では食事サービスもあるらしい。さらには客室乗務員が車内販売用のブランド品のカタログまで持ってきた。限りなく飛行機に近いサービスを提供するこの列車、次に来るときは是非高い席に乗ってみようと思う。

コルドバ駅コルドバ駅

眠たそうな顔・・・眠たそうな顔・・・

コルドバに着いたのは午後3時40分。列車の途中、雨が降ったり黒い雨雲がたちこめるところもあったけど、コルドバは晴れている。気温は思ったほどに高くない。快適な気候だ。変わった木が生えている。やはりここは南の地方なんだと単純に理解する。昨日の反省を生かし今日は迷わないよう、地図と格闘してしっかりと現在位置を把握する。

テンディーリャス広場から直ぐのホテル・ボストンに宿が取れた。1泊3000ptsと安い。ホントは空き部屋がなかったのだが、従業員用の部屋でよければ、ということで泊めてもらえたのである。とはいえ、ちゃんとテレビ・バス・トイレも個別にあって有り難い。荷物を置いてさっさと歩き出そう。時計は午後4時をまわったばかり。

テンディーリャス広場
テンディーリャス広場。ここのすぐ近くに宿を取る。

コルドバと言えば、その昔イスラム教の伝来とともに学問や音楽が栄えた都と聞く。今もこの街に残るシンボル、メスキータは、イスラム教信者が祈りを捧げる場であった。さっきのテンディーリャス広場から南に向かうと、今まで近代的だった街並みがガラリと変わる。ユダヤ人街だ。白く塗られた壁、窓には幾つもの花の鉢が並べられている。ユダヤ人街と言っても、観光化されていて観光客も目立つ。この周辺の家は「パティオ」と呼ばれる中庭があり、いくつも置かれた鉢には花が咲き乱れるという。しかしまだシーズンには少し早かったようだ。

ユダヤ人街 メスキータ入り口 メスキータの塔
左:ユダヤ人街 中:メスキータ入り口 右:メスキータの塔

しばらくするとメスキータの塔が見える。観光客がごったがえしていた。川を挟んだ写真が撮りたかったため、直ぐに中へは入らずに素通りして近くのローマ橋を渡る。グアダルキビール川を挟んでメスキータ、ユダヤ人街が一望できる。2000年といえども、今も昔も変わらぬ風景。まるで時間が止まったかのようだった。

グアダルキビール川を挟んでメスキータを望む
グアダルキビール川を挟んでメスキータを望む

戻ってメスキータへ。免罪の門をくぐるとオレンジの中庭に出る。ここはホントに木にたくさんオレンジが生っている。メスキータ入場料は800pts。チケットを買い、中へ。中は薄暗く、ひんやりしていて静かだ。そして、目の前に広がるのは赤と白に塗り分けられた無数のアーチ、そしてステンドグラスから射し込む光。

メスキータん中

奇妙、というか神秘的というか、なんと言っていいのか、これほど個性的な歴史建造物は生まれて初めて見るものだ。強烈な印象を受けた。今までイスラム文化の建造物など見る機会がなかったせいもあるけど、やはり、キリスト教のそれとは全く異なるものである。とはいえ、このメスキータもレコンキスタのせいで、キリスト教徒により改造され中央部はカテドラルになっている。イスラム教徒の礼拝堂内にキリスト教の礼拝堂を作ったとは何とも奇妙な話だ。わかりやすく言えば、寺の中に教会を造ったようなもの?中をぐるっと一周するにはそんなに時間はかからない。

外へ出ると、だいぶ観光客の数も減ってきているようだ。夕方だし、一旦ホテルに戻り、夜また出直してレストランとフラメンコショーに出かけようと思う(しっかりと店の場所はチェックしておいた)。帰る途中、土産物屋を何軒も見て回る。どの店も大体同じかな?と思いつつ回っていると、花の小道と呼ばれる小さな路地に来た。ここも花の鉢が幾つも吊してあって花が咲き乱れるらしいのだが、残念ながらちょっとしか花は咲いてない。この路地の先にある土産物屋の一つに、カスタネットを鳴らしながら日本語で話しかけてくるオヤジがいた。何処で覚えたのかは定かではないが、日本語で「ドーゾ、ミテイッテクダサイ」。何を見せてくれるのやらと思ったら、店の奥に1000年前の井戸があるという。覗いてみたけど(かなり深かった)、ほんとーかぁ?他にも、ギターの「魔笛の主題による変奏曲」のやたらうまいのが聞こえたので入ってみるとCDだったりして、でも「おぉ、やっぱりここはスペインなんだ」と、妙に納得したり。ユダヤ人街は一通りの道を歩いてみるといいと思う。

花の小径 とびら
左:花の小径。残念ながら花はまだあまり咲いてない。メスキータの塔が向こうに見える。 右:観光案内所の中にあった扉。

スペインのレストランは早くても午後8時からだから、それまで何か軽く喰うことにする。帰りにスーパーマーケットがあったので入る。なぜかコーラ、カシューナッツ、チョコレート買い、部屋に戻る。後から気づいたのだが、多分テンディーリャス広場からだと思うが、時報の変わりにギターの音が鳴るのだ。しかもかなりでかい音で。スペインらしい!

テレビをつけながらバリボリとナッツを喰う。しかし!油断した隙に爆睡。夜7時くらいだったのが気がつくと夜中の1時!しばしショックを受けるも、だるいのでまた直ぐに眠ってしまう。結局、まともな飯にもありつけず、フラメンコも見れず…(セビージャで絶対見てやる)あっけなく3日目終了・・・

次の日へ

戻る