70. コンク−ルドキュメント6

ロビーに着いたら、かなりの人が至る所でお

しゃべりをしていた。私は旦那と遠方の神奈川

県からわざわざ観に来てくれた両親を探した。

そんな私に、知り合いや友達が「良かったよ」

と声を掛けてくれた。やっと両親と旦那を見つ

けて、コンクールの感想を聞きながら結果発表

を待った。皆から良かったと言われたせいか、

微かな期待を持っていた。

しばらくすると、アナウンスが流れ、掲示板に

結果発表の紙が貼られた。そこにどっと人だか

りができ、私もその人込みの中に入って結果を

黙視した。

掲示板に貼られた予選通過者のリストには、

4人の名前が書かれていた。しかし何度読んで

もそこに私の名前はなかった。自分がダメだっ

たという事実を目の前で叩けつけられて、呆然

とした。もしかしたら、私の見間違いかと思っ

て、もう一度リストに書かれた名前をひとり

ひとり丁寧に見た。何度読んでも私の名前はな

いのだ。確かにミスをしたからしょうがないけ

ど、正直ショックだった。あんなに練習したの

に、何故?と悲嘆にくれてしまった。呆然とし

ている私の横で、誰かがやったーと叫んでいた。

そしておめでとう!という声が飛び交っていた。

きっと予選通過者が喜んでいたんだろう。

掲示板から背を向けた時、離れたところにいた

旦那と両親がどうだった?という顔で聞いてき

た。私は顔を横に振ってダメだったと合図をだ

した。悲しい気持ちを押さえて家族の元へ戻っ

た。

「ダメだった。ショック・・・。」

「そうか、残念だな。しょうがないな。」

そんな私のところに、友達が声を掛けてくれた。

「まりちゃん、あの審査結果おかしいよ。絶

対におかしいって!」と、励ましてくれた。

その言葉に少し救われた気分だった。

もうコンクール会場にいる必要がなくなったの

で、帰ることにした。外に出たら、まるで私の

心を映しだすかのようにしとしとと雨が降って

いた。

母は「今回は落ちて良かったんじゃないの?

何でもすんなりいったら良くないし。これから

もっと上達しなさいってことなのよ。」と、父

からは「コンクールの主旨は若手の育成とあ

るから、お前は選抜の対象外だったんだよ。」

と、旦那からは「日本のサッカーチームもドー

バーの悲劇で成長したんやから、お前もこれ

からが勝負や!」と、励ましてくれた。

帰宅してからたくさんの感想メールが届いて

びっくりした。どれも、私の踊りをみて感激

したので結果にめげずこれからも頑張って下

さい、という励ましの内容だった。 私の想い

がいく人かの観客に届いた事実を知って、私

は元気を取り戻すことができた。

応援してくれる人達に心から感謝します。

どうもありがとう。

2002.02.23.

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