64. メディオコンパス

私は振り付けのリズムを分析するのが好きで、

この振りのここは12でここは3でここは10、

といった具合にしてカウントを掛けながら振

りを覚えるようにしていた。こうすると、結

構時間が経っても振りを覚えていられるからだ。

しかし数年前にコンチャ・バルガスのブレリ

アのクルシージョを受講した時、この方法で振

りつけを覚えていたら、突然コンパスが合わな

くなり、ひどく戸惑ったことがあった。後でそ

の原因がメディオコンパスだということを知っ

た。 メディオコンパスとは半コンパスのことで、

通常1コンパスを12拍でカウントするのを、

6拍でカウントする。このメディオコンパスの

難しいところは、普通のコンパスの中に突然メ

ディオがひとつだけ入ったりすることだ。

これに決まった法則があるのかスペイン人に聞

いてみたら、ヘレスのブレリアは基本的にメディ

オコンパスだけど、他のブレリアに法則なんて

ないよぉと言っていた。彼らは感性で歌い踊る

から、これがメディオでどうたらこうたらと意

識する必要がないのだ。 踊り手はカンテを聞き

ながら踊らないといけないから、メディオコン

パスがはいってセンティードが変わったら踊り

のセンティードもそれに合わせないといけない。

それには、膨大な曲を知っていないと対応は出

来ない。こういうこと知ってしまうと、益々カ

ンテの勉強をしないといけない現実を実感する。

メディオコンパスのことをよく知らなかった時、

仕事でメディオコンパスの入った振り付けでブ

レリアを踊ろうとしたら、カンタオールの人に

歌いづらいから変えてと頼まれたことがあった。

それを聞いていたギタリストに、「変えなくて

いいよ、そのままメディオで踊るべきだ」と反

対された。私はどっちの意見を尊重したらいい

のか迷ったが、結局メディオで押し切った。今

考えてみたら、歌を聞きながら踊るんだから、

カンテにメディオがなければ踊りもそれに合わ

せないといけなかったんだと反省している。

スペイン人からブレリアを習う時、必ず歌付き

で習うはずだから、どの歌に合わせて振り付け

てあるのか、よく聞いておくべきだと思う。カ

ンテの一部にメディオが入れば、振り付けもメ

ディオになっているからだ。その関係が分かっ

てくると、踊りが一層楽しくなってくる。

2002.02.05.

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