58.日本のカルチャー

最初にフラメンコを習い始めるきっかけって何

だろう?私の場合は、健康のために、だった。

本格的なフラメンコをしたくて始めたのではな

い。絶対にフラメンコが習いたかった訳でもな

い。たまたまフラメンコの体験レッスンという

広告が目にとまって、何となく受けてみたのが

きっかけだった。それから華やかな衣装が着た

くなって、上手になりたくなって、ハマって

いった。フラメンコにハマってしまうと、そう

でない人の気持ちがよく理解出来きなくなって

しまった。何で発表会にでないんだろう?何で

パルマクラスとか受けないんだろう?何で公演

を観に行かないんだろう?何でスペイン人のク

ルシージョを受けないんだろう?私はフラメン

コに夢中になるあまり、思いやり欠如病にかかっ

てしまった。そんな私を治療してくれたのは、

私がバイトで教えているカルチャーの生徒さん

達だ。 世の中には、フラメンコをあくまで趣

味として楽しみたいという人もいて、そういう

人は高いお金を払ってまで本格的なフラメンコ

を習いたいとは考えていない。それにはいろん

な事情があって、家族に内緒で習っているから

とか、家庭の事情でお金をかけられる上限がか

なりシビアにあるからなのだ。こういう人達は、

お金を払って生のギタリストに演奏してもらう

より、CDに合わせて楽しく踊れたらいいのだ。

そういうニーズにこたえるカルチャーの存在っ

て、すごぉーく貴重だということを、最近身を

もって知った。

私の友達の何人かは、もう自分の教室を開いて

教授活動をしている。まだ1人前の舞踊家でもな

いのに、早いんじゃない?と密かに思っていた。

そんな私の気持ちを見透かしてか、友達がこん

なことを言った。

「私は本物のフラメンコを教えることはできな

いけど、フラメンコを楽しむ環境や雰囲気を提

供することは出来ると思うの。普通の主婦やOL

は、そんなにお金をかけてフラメンコを習いた

いと思っていないから、安い値段でそういう場

を提供しているのよ。」

確かに、日本でスペイン人から習おうとすると、

グループレッスンで一人最低1時間5000円は

取られる。それを毎週受講すると月に2万円だ。

子供がいる普通の主婦に、そんなお金の余裕は

ないだろうし、OLや学生にだって最初はつらい

だろう。私がフラメンコを習い始めた時、そん

な大金を払ってまで習ったかといえば、それは

絶対にありえなかったと断言できる。それを考

えたら、日本人が手軽な値段で教室を開くこと

は良心的なことなんだぁーと感じる今日この頃だ。

2001.12.18.

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