
タブラオで踊るのと、テアトロ(劇場)で踊る
のとでは、大きく違う。タブラオは比較的狭い
空間なので、踊り手と観客との距離が短い。観
客は繊細な振りやアイレを感じやすいし、踊り
手は観客の反応がみえるので踊りやすい。 一方
テアトロ(劇場)は、空間が広いのでタブラオ
と空気が全然違う。1000人近く入るホールの
後ろの観客に繊細な振りなど伝わらないのだ。
また観客の反応がみえないということもあっ
てか、舞台の上では孤独感に襲われ、魔物に
喰われそうになる。その上、何故か音響が悪い
ことが多いので、バックアーティストとのかけ
あいがタブラオより難しい。その反面、この
巨大空間を上手く使って踊りきれた時の爽快
感はこの上ないものらしい。残念ながら私は
まだその域に達していないのでその感覚が
よく分からないけど。
こういう状況から、テアトロでは舞台空間から
照明効果まで全てを計算にいれて踊りを作るの
で、タブラオと同じような踊り方をしないよう
美香先生から指導を受けている。
つまり同じ振りでもテアトロ用とタブラオ用
に踊りわけるよう言われているのに、ソロを
踊るだけで必死の私には、それがまだ出来ない。
それを理解するには経験を積み、そこから自
分で学ぶことが一番大切らしい。
新人公演が終わった次の日、美香先生から
12月の予定を聞かれた。
「12月15日にアルバの発表会をテアトロで
するから、経験を積むためにも、踊ってみる?」
まだ新人公演の余韻が残っている時だったので
このありがたい申し出に私は「はい」と即答す
ることが出来なかった。肉体的にも精神的にも
すごく疲れていたので、すぐ次の公演のことを
考える余裕がなかったし、一応既婚者なので家
庭のことや仕事のことが頭を過ったからだ。
でも大阪に帰って来たら、また東京に行きた
くなった。講師のバイトやタブラオの仕事を
通して、自分がこれから学ばなければいけな
いことがわかってきて、それを学べるのは東
京の美香先生しかいないからだ。
という訳で、今年12月15日にまた東京で踊る
ことになった。
大きな壁が待ち構えているとも知らずに・・・。
2001.11.17.
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