
82. スペイン女性のオシャレ
日本にいると、私は黒っぽい地味な服を好んで着る。
春でも夏でも、季節は関係ない。 それがスペイン
に行くと、特に春は、カラフルな服を身にまとった
スペイン人で賑わうので、この地味な服装は逆に
浮いてしまう。だからスペインに行くと、いつも
カラフルな服を買いあさる。値段は安いし、デザ
インも日本にはないようなオシャレなものが多い
ので、見ているだけでもうきうきしてくる。
買い物をしていてふと思うのは、スペイン人も
買い物が好きだなぁということ。私がスペインに
よく訪れる3月は特にどこのお店も買い物客で賑
わうのだ。
今年ホームステイした友達家族も、たくさん服を
購入していて、「ねえ、今日この服買ったの。
どう?」と、いつも家でお披露目会をしていた。
どの国の女性もファッションには興味津々なのだ。
だから私が買い物袋を下げて家に帰ると「何を
買ったの?どこで?見ていい?」と、どんな服を
買ったのかチェックしてくる。こういうやり取り
は、万国共通なんだなぁと実感する。
ある時、黒と赤のサマードレスを購入して友達に
見せたら、こんなことを言われた。
「セマナサンタの時はこれを着なさいよ。Mariは
いつも真っ黒な服ばっかり着てゴキブリみたいな
んだから。」
ゴキブリとは、ひどい!と思いながらも、彼女の
言葉に耳を傾けると、セマナ・サンタの時は皆正
装するので、一緒に行動する私も同様に正装する
よう遠回しで言われたのだ。
それを聞いて、スペイン人は3月下旬に行われる
セマナ・サンタで正装するため、新しい服や靴を
購入するということを知った。
そして、セマナ・サンタの日曜日、ホームステイ
先の家族が正装のための準備を始めだした。そこ
で私はある光景を見てびっくりした。
友達のアデがアイロン台の上に自分の長い髪を
のせて、その上からアイロンをかけているのだ。
「アデ、何をしているの?危ないわよ。」
「大丈夫、気をつけてやっているから。これを
しないと、髪がきれいに伸びないのよ。普段は
こんなことしないんだけど、セマナ・サンタや
結婚式とかの特別な時だけ、髪の毛にアイロンを
かけるのよ。」
他の友達に聞いたら、どうも髪の毛にアイロンを
かけるのは、彼女だけではないようだ。
こうしてドレスアップして変身した彼女達に心の
底からこう言った。
「ケ グアッパ!(なんてきれいなの)」
お世辞ではなく、その変身ぶりに驚いた。
ファッションのTPOが、日本よりはっきりして
いて、本当に感心してしまった。
日本に帰国してから、私も見習ってメリハリの
あるオシャレに励もうと張切ってオシャレしたら、
「お前、派手すぎるんとちゃう?」と旦那が一言。
「・・・・・。」
日本では地味でちょうどいいのかも・・・。
2002.07.08.
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