
83. 教室を始めて
今年の5月から教室を始めた。
1年くらい前から、私に習いたいというメールを
頂いていたので、今年の1月に短期クラスを2ヶ月
間してみた。思いのほかこのクラスが好評だった
のと、自分がいままで欲しかった環境を自分が提
供したいと思ったので、若輩ながら教室を始める
ことにした。
だからといって、自分がプロになったとは微塵も
思っていないし、踊り手としても講師としても
自分がどれだけ未熟者か、よーく分かっている。
私は、教室の生徒さんより少しだけキャリアが
あって、少しだけ知識があるくらいのレベルだ。
なので私の教室の生徒さんには、私の事を先生と
呼ばないでとお願いしている。スペイン人の偉大
な先生を名前で呼び捨てにしているのに、私が
先生と呼ばれることに抵抗を感じてしまうのだ。
教室を始めてから意外だったことは、ギタリスト
やカンタオールの方から
「教室を開いたの?それはいいことだ。先生なん
だから、頑張りなよ!」とエールをもらうこと。
それから、教室の宣伝をネットでしかしていない
のに、フラメンコ関係者からかかってくる数々の
電話には驚かされる。某大手フラメンコ会社や、
東京のタブラオから、一番びっくりしたのは有名
な舞踊家長嶺やすこさんからの電話だった(この
ことはまた別の奮闘記で)。
自分の教室を始めてまだ数カ月しか経っていない
のに、たくさんのことを感じ、学び、反省をして
いる。代教で教えるのとは違って、生徒さんは私
に習いたくて来てくれるし、その純真でひたむき
な姿勢に、自分の責任をひしひしと感じる。皆の
個性を大切にしながら、どうやったら個々の苦手
な部分を克服できるか、悩む毎日だ。
また、昔分からなかった先生の気持ちが今は痛い
程分かる。同じように教室を構えている友人と
集まると「先生、あの当時はごめんなさい!」と
今頃反省会をしているくらいだ。
その時、ある友達がこう漏らした。
「先生は孤独と戦わないといけないのよ。」
昔の私だったら、この言葉に重みを感じなかった
だろうが、今は自分の進むべき道がみえるだけに、
この言葉が今でも耳から離れられない。
踊り手として精進しながら、後進の指導をしてい
くということは、それまでの倍以上のエネルギーを
必要とする。その大変さを、自分が始めて身を持っ
て感じている。
そんな私の心のオアシスは、生徒さんの成長する
姿をみること。日に日に成長して輝いていく生徒
さんの姿を見ていると、本当に嬉しいし、刺激も
受ける。
皆、ありがとう。
2002.07.17.
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