46.新人公演の評論

8月の下旬、仕事から帰ってきたら、日本フラメ

ンコ協会から1通の封筒が届いていた。その中に

は、新人公演の審査委員による評論が寄せられた

会報が入っていた。それを見た途端、なぜか心臓

がばくばく鳴り出した。「あ〜どんなことが書か

れているんだろう。」

まるで判決を受けるような気分だった。

審査委員の評論は、公演全体の印象を書く方から、

特に印象に残った人だけの感想を書く方、バイレ

全員に一言コメント書く方、それぞれだった。

私に対する評論は、「印象に残った」「背中を

みせたとき素に戻るから注意。大らかさはよい。」

「体がしなやか。でももう少し」「楽しそう。

でもまだ振りを追ってる感じ。」「これから成長

を感じさせる気配あり。」など。

もっと厳しいことを言われると覚悟していたけど、

何故かそんなことはなかった。恐らく個々のい

い面にスポットを当てて、その人の個性を伸ば

そうという配慮なのかもしれない。

私は他の人達のバイレを観て感じたことは、自

分の舞台経験のなさである。正直にいって、私

はテアトロ(劇場)でソロを踊るのは、これが

2回目だ。(タブラオで2回ほど、後は群舞ばかり)

そんなひよっこの私に対して、出演者のなかに

は、自分の教室を持ってタブラオで活躍してい

るベテランもいる。私からみたら、とても新人

とは思えない。新人の定義って何だろう?とい

う疑問が湧いてきた。これは、審査委員のある方

も評論で「この人は本当に新人か?」と書かれ

ていた。主催する協会も、定義づけが出来ず困っ

ているのかもしれないけど。

今年から審査は採点方式になったらしいが、評

論を読む限りでは、審査委員の主観性で採点が

されている、と感じた。以前数人の友達が「審

査委員に気に入られなければ賞は取れないのよ。」

と言っていたけど、ある意味でそれを理解でき

た。もしかしたら、審査基準を明確に知らない私

や友達の勘違いかもしれないが。

それと、何で審査委員にカンテのプロがいない

のか?スペイン人がいないのか?それも不思議

でしょうがない。

私はこの新人公演を大きな目標として稽古に励

み、そのことでたくさんのことを学び、貴重な

経験をすることが出来き、こういう機会を与え

てくださった協会には心から感謝している。

恐らく、選考の公正を期するため協会は想像

以上の苦悩を強いられ、その苦労は運営して

いる者にしかわからないと思う。そんな苦労も

知らない私が、ただ感じたことをこの場で素

直に言い、それに対して関係者の方々に不愉

快な想いをさせたとしたら、それは心からお詫

びします。ただ、一部からは新人公演にでるの

はお金の無駄使いとか、賞をとっても意味が

ないとか、もう観に行きたくないという声が

聞かれる事実を、非常に残念に感じたからです。

今後の新人公演の発展を切に願います。

2001.09.21.

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