妹は骨董コレクターだ。骨董の話を聞いている

と、何だかフラメンコと共通している面がある

から、面白い。

骨董品には、決った値段がない。例えば、年代

物のバカラのグラスは、無傷のきれいな状態だっ

たらいい値段だし、傷があったらもちろん価値

は下がる。骨董品の価値は品質が一番重要で、

その他に売り手のお店の看板、場所、人柄、

利益率などで価格が設定され、店頭に並ぶ。

その価格設定が適正かどうかは買い手の知識、

経験に委ねられる。骨董品は、まず正価で買わ

れることはない。必ず、値引き交渉がある。

そこでいかに安くさせるのかも、骨董を買う時

の醍醐味だ。買い手に知識がないと、ボラれる

ことはよくある。これは、だまされる方が悪い

となる。偽物だと見抜けなかったのは買い手の

責任なので、偽物だったからと返品するケース

はごく稀だ。だから買い手は必死で勉強し、

良いものをたくさん見て、見る目を養うのだ。

骨董のようにフラメンコのレッスン代も、相

場があるようで実はない。場所や、先生のキャ

リアや、人柄でレッスン代は違ってくる。だか

ら、練習生は習いたいスペイン人に直接交渉し

て、値段は決る。習い手に知識がないと、もち

ろんボラれる。だから同じ先生でも、人によっ

て値段はぜんぜん違う。習い手は、そのレッス

ンにそれだけの価値が本当にあるのか、もっと

勉強する必要があると思う。ぼったくる方も悪

いけど、払う方にも問題はある。

ただ、世の中には高いレッスン代を払うことを

自慢するような人がいるから、困ったものだ。

そういう人のことを、スペイン人の一部は、

日本サルだとか言ってバカにしている。同じ

日本人として、そういう話を聞かされるのは

心が痛む。この現状、何とかならないのかし

らん?

骨董コレクターの妹曰く「骨董の目利きにな

るには、まず買うことよ。買って毎日触るの。

そうするとね、興味がわいてきてマークがあっ

ているかどうか、色々調べたりするの。そこ

で初めてダマされた事に気が付くのよ。悔し

いわよ、とっても。だから次はダマされない

よう注意深く観察するようになるの。そうす

ると、今まで気付かなかった色んなことまで

見えるようになってくるのよ。」

これはフラメンコにも共通していることかも

しれない。スペイン人だからといって、言わ

れた値段をぽんぽん払ってはいけない。さて、

私もフラメンコの目利きになるため、いい公

演をたくさん観なきゃね。

2001.06.30.

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