数年前から自習をする時、いろんなギタリスト

に来てもらって練習をしている。どの教室にも

所属していないと、彼らの本音がたくさん聞け

るのでとても面白い。でもある時、私は驚愕の

事実を知ることになった。

それは、アレグリアスのエスコビージャの練習

をしていた時だった。あるギタリストが、

「そのパソのアセント(アクセント)、リズム

が変だよ。」と、まるで咽につまったものを吐

き出すかのようにつぶやいた。「えっ?変て、

どういう意味ですか?でもこのエスコビージャ

は、◇◇教室で練習していたパソで、◯◯さん

(ギタリスト)がいつもクラスで伴奏していた

じゃありませんか?」「そうなんだけどね。。

以前からアセントが変だなぁと思っていたんだ

けど、カリスマ的存在の先生には言えなくてね。

仕事が無くなるのも困るし。」つまりそのギタ

リストは、レッスン中にリズムがおかしくても、

見て見ぬ振りをしてギターを弾いていたという

のだ。(注:全てのパソが変だという意味では

ありません。ごく一部です)

そんなぁ!ということは、今まで私はおかしな

アセントのパソを、根性をいれてずっと練習し

ていたということになる。この衝撃的発言に私

の目の前は真っ暗になった。何でもっと早く教

えてくれなかったの!と、私はそのギタリスト

に対して、正直腹が立った。でもそんなことに

気付かなかった自分自身に、もっと腹が立った。

それから1週間くらいは、放心状態が続いた。

それからずっと根性をいれて練習していた悪い

癖を直すのに、かなりの時間を必要とした。

この話を先輩にしたら「だから前から言ってる

でしょ。先生の言うことを100%信じたらいけ

ないって。あなたは人のことを信用し過ぎなの

よ。信じていいのは自分の耳だけよ。」と、今

まで先生のいうことを信用しすぎていた自分を

責められてしまった。先生だって人間だから間

違えることだってある。先生のことを崇拝し過

ぎると、ちょっと変だなぁと思うことも、まあ

先生がそう言うんだしと信じてしまう。それが

後で違うと分かった時のショックは、言葉では

説明できないくらい大きい。そんなの私くらい

かしら?

さて、ここで大きな教訓。先生は神様ではない

んだから、尊敬はしても崇拝してはいけない。

これ本当です。

2001.06.16.

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