
今年の2月にスペインに行って、私はカンテに
対する考えがかなり変った。ぺーニャやカンテ
ライブで、生の歌声を聴いて、カンテの虜になっ
てしまった。 例えば、チャノ・ロバート。私は
彼のCDを持っているけど、そんなにいいとは思
わなかった。感動するほどはね。それが、ヘレス
で彼の生の歌を聴いて、身体がぞくぞくして、
すごく感動した。CDはダメだ。踊りもそうだけ
ど、フラメンコは生じゃないとダメだというこ
とが、はっきり分かった。
そして日本に帰って、スペイン人から歌を習い
たい、という気持ちがふつふつと湧いてきた。
私は音痴なので、人前で歌うのは苦手だ。だか
ら別にカンタオールになろう、という気はさら
さらない。歌を習いながら、フラメンコのこと
をもっと学びたいのだ。
カンテの個人レッスンは高いので、クラスレッ
スンを受けたかった。単発ではなく、安く、毎
週習いたい。でも、そんな都合のいいクラスは
関西にはない。だから、自分でそういうカンテ
クラスをつくることにした。自分の望む環境が
身近になければ、自分でそういう環境をつくれば
いいのだ。 そこで、大阪のEl Flamencoに出演
中のA氏に、交渉を始めた。彼を選んだのは、
声のトーンが高めなので、女性でも習いやすいと
思ったから。それと、いつも私が練習している
スタジオに、彼がよく出入りしているからだ。
A氏は、最初とんでもない値段を言ってきた。1時
間1人15000円、というのだ。
「そんな高いカンテクラスは、誰も取らないよぉ!
毎週習うから、もっと安くして」とお願いした。
でも、1回目の交渉は上手くいかなかった。
それから東京の美香先生に相談にのってもらっ
た。交渉の仕方を詳しく教えてもらって、その
マニュアル(?)を参考に、頑張って交渉した。
そしたら、かなり安くまで値切ることに成功し
た。値切りの達人になった気分だった。
次の問題は、人集めだ。友達は当てにならない。
「わぁ〜面白そう。是非参加させて。」と言っ
てくれても、絶対に期待してはいけない。蓋を
開けてみれば、本当に参加してくれるのは約6
割りだから。だからといって、友達を責めては
いけない。最初から行く気がなくても、お世辞
を言ってくれているのかもしれないし。日本
じゃ社交辞令だし。
初日の申し込みは友達の同情で、何とか6人集
めた。嬉しいことに、このホームページから
2人ほど申し込みがあったので、私を入れて全
部で9名揃った。でも、2回目以降の申し込みは
さっぱりだった。A氏から、最低5人以上、と言
われていたので、ひやひやした。人数が揃わな
かったら、その赤字を私が負担しなくてはいけな
くなるから。主催し、運営するのは、本当に骨が
折れる作業だ。
そして、カンテのクラスが始まった。A氏は丁寧
に教えてくれたので、受講者も皆満足してくれた
ようだ。このクラスが楽しかった、という評判が
まわったのか、突然申し込みのメールが殺到した。
びっくりだ。約2日間の申し込みで、5月下旬まで
ほとんどいっぱいになった。これで何とかやって
いけそうだと思って安心した。
しかし、そんな安心も束の間だった。
2001.05.01.
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